今年1月のアフリカ選手権では準優勝に貢献し、W杯最終予選でも堅牢を築くエル=ハダリ。老いてますます盛んだ。(C)Getty Images

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 28年ぶり3回目のワールドカップ出場に王手をかけているのが、北アフリカの強豪エジプトだ。現在、アフリカ最終予選のグループEで首位。10月8日のコンゴ戦に勝利し、2位のウガンダがガーナ戦で引き分けるか敗れれば、本大会行きの切符を手中に収める。
 
 サッカーが国技であるエジプトの国民はその瞬間をいまかいまかと待ちわびているが、もうひとつ、彼らが切望しているものがある。代表チームの守護神、エサム・エル=ハダリの大記録更新だ。
 
 エル=ハダリは、1973年1月15日生まれの44歳。名門アル・アハリで数多のタイトルを獲得し、一時代を築いた名手だ。老いてますます盛んな男は今夏、サウジアラビアのタアウーンFCに移籍。新天地でもすぐさまレギュラーの座を掴み、代表チームでも最終予選に入ってから4戦連続で先発出場中だ。4試合で喫した失点はわずか2で、2度のクリーンシートを達成している。
 
 もしエジプトがワールドカップ出場を果たし、本大会のピッチにエル=ハダリが立てば……。およそ45歳6か月での出場となり、晴れて大会最年長記録を更新することになる。現在の記録は、コロンビア代表のGKファリド・モンドラゴンが2014年ブラジル大会でマークした、43歳と3日。奇しくも日本戦で達成した偉業だっただけに、覚えているファンも多いだろう。エル=ハダリはその記録を2歳半も更新するのだ。
 
 ザ・ファラオズ(エジプト代表の愛称)の英雄は、FIFA.comのインタビューで想いを明かした。
 
「僕はもう、キャリアにおいてなすべきことはすべて成し遂げた。37個のトロフィーを獲得したし、2009年のコンフェデレーションズ・カップでイタリアに勝ったのが最高に美しい記憶だ。心残りはただひとつ、ワールドカップの舞台に立ちたいんだ。そのために全身全霊で取り組んできたし、いまでも若い頃と変わらない鍛錬を積んでいる。代表のキーパーコーチはこう言ってくれたよ。『50歳までやれるんじゃないか?』ってね。冗談じゃないよ(笑)」
 
 プロデビューは1993年で、代表デビューは1996年。23歳だった。現代表のチームメイトで、ストーク・シティで活躍する新鋭アタッカー、ラマダン・ソブヒはまだこの世に生を受けていない(1997年生まれ)。
 
「まあクラブチームでは息子くらいの選手もいるけど、メンタルも体力も衰えていないよ。繰り返すが、ワールドカップに出場できるかもしれないという現実が、僕のモチベーションを駆り立てている。これまでプレーオフまで行って負けたり、ぎりぎりのところで逃したこともある。(予選は)5回も経験しているんでね。今回こそ、なんとしても勝ち取りたい」
 
 エジプト代表は充実のスカッドを誇る。FWモハメド・サラー(チェルシー)、MFモハメド・エルネニー(アーセナル)、FWアハメド・ハッサン(ブラガ)、そして先述のソブヒなどタレントが集い、今年1月のアフリカ・ネーションズカップでもファイナリストとなった(カメルーンに敗れて準優勝)。エル=ハダリも「この10年で最強のチームだ」と太鼓判を押す。
 
「自分の記録はさておき、エジプトの国民みんなにワールドカップ出場の歓喜をもたらしたい。もう寝ても覚めてもそのことしか考えていない。次(10月8日)で決まるといいね」
 
 母国を28年ぶりの悲願成就に導けるか。そして来夏のロシアで、新記録を更新できるか。底抜けに明るい守護神が、世界中のフォーティーズに勇気を与える!