ワクチンは足りるのか(写真はイメージ)

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9月後半になって、早くもインフルエンザの流行がみられる。首都圏では学級閉鎖となる学校が急増している。

小中学生の子を持つ親としては、早めに予防接種をと考える人もいるだろう。だが今年は、ワクチンの製造量が例年より少なくなる。影響が不安視される。

休校2件、学年閉鎖6件、学級閉鎖22件

インフルエンザは例年、秋から徐々に患者が増えて1〜2月の寒い時期に流行のピークを迎える。ところが2017年は、気温が高めの9月でも患者の報告が多くなっている。

厚生労働省の2017年9月22日付発表によると、最新となる第37週(9月11日〜17日)のインフルエンザ報告数は、全国の総数が1081人で、前年同期比で約2.4倍となった。定点当たりの報告数は0.22人で、前週(第36週)の0.18人から上昇傾向だ。最も多かったのは沖縄県で3.98人と突出しており、福井県1.09人、広島県0.74人と続く。

小中学校では、インフルエンザ流行により学級閉鎖が続出している。東京都大田区では9月6日〜7日、小学校3年生の1学級で、千葉県勝浦市では9月8日に中学校2年生の1学級で、さらに埼玉県さいたま市では9月12日〜14日に小学校2年生の1学級で、それぞれ学級閉鎖をしたと各都県が発表した。直近では兵庫県神戸市が9月26日〜27日の2日間、小学校1年生の1学級を学級閉鎖にしたことを明らかにしている。

全国では、第36週は休校ゼロ、学年閉鎖5件、学級閉鎖4件だったが第37週になると休校2件、学年閉鎖6件、学級閉鎖22件にまで増えた。1年前、東京都がインフルエンザの流行を発表したのは2016年11月24日。記録が残っている1999年以降で最も早い「流行宣言」となった。現時点では昨年を上回るハイペースで患者の報告数が増えていることから、さらに流行のスタート時期が「前倒し」になる可能性もある。

ツイッターを見ると、子どもに早めの予防接種を望む親の投稿が見られる。ただ今年は、ワクチンの製造量が減る見込みだ。

去年の使用量より今年の製造量が少ないが...

厚労省の「厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産流通部会)」は2017年8月25日の会合で、17〜18年のインフルエンザワクチンを議題に挙げた。公開資料を見ると、2017年度のワクチン製造量は2528万本で、昨年より256万本減、過去10年間でも2009年度の2313万本に次いで2番目の少なさだ。

実はインフルエンザワクチンは「日本脳炎や麻疹と違って、毎年製造株が違うため、つくっても(有効なのは)1年限りです」と厚労省健康局健康課の担当者がJ-CASTヘルスケアの取材にこたえた。今年度の場合、最初に選定した製造株の増殖率が想定より悪く、途中で見直して別の製造株に切り替えたため、結果として総製造量の低下につながったという。

昨年度に実際に使用されたワクチン量は2642万本で、今年度の製造量を上回っており、心配だ。対策として厚労省は、13歳以上の人が接種を受ける際に「医師が特に必要と認める場合を除き、1回注射であることを周知徹底」するとある。世界保健機関(WHO)は、9歳以上が1回接種を奨励している点を説明している。

ワクチンの効率活用もかぎとなる。厚労省健康課の担当者によると、多くの製剤は1cc入りで、これはおとな2回分(1回0.5cc)、子ども4回分(1回0.25cc)が充填されている計算となる。正しく管理すれば、24時間以内なら複数人に使えるが、過去には1回注射に使ったら残った製剤を捨ててしまっていたこともあるという。在庫管理をコントロールして減産分を補うよう、同省では促している。

インターネットの医療介護情報サイト「CBニュース」は9月26日付記事で、今シーズンのワクチン製造量に触れ、「ワクチンの供給が滞り、入手が困難な地域が増えつつある」と報じた。「ワクチンを確保できず、いつから予約ができるようになるのか分からない」といった医療機関の担当者のコメントも掲載した。ツイッターには、予防接種の予約をしたと書き込む人が多いが、少数ながら「予約ができない」との投稿があった。健康課の担当者は「ある程度の地域の偏在はあり得ます」と話す。現状では、場所によっては不足気味のところがあるようだ。

厚労省は9月15日に都道府県に宛てて、ワクチン供給に関する通知を出した。ここでもワクチンの製造予定量を示しつつ、「13歳以上は1回注射」「効率的な活用の徹底」を改めて依頼し、医療機関や製造販売業者、卸売販売業者らとの連携を呼びかけた。