BATEボリソフ戦でハイパフォーマンスを披露したウィルシェア。手応えを得た本人の表情も自身に満ち溢れていた。 (C) REUTERS/AFLO

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 長らく怪我に悩まされ続けてきた“ガラスの天才”が、いよいよ完全復活か。9月28日のヨーロッパリーグ第2節のBATEボリソフ戦でアシストをマークしたアーセナルのジャック・ウィルシェアに、絶賛の声が集まっている。
 
 ウィルシェアは9歳からアーセナルのアカデミーに在籍し、2008年にはクラブ史上最年少となる16歳と256日でプレミアリーグ・デビューを飾るなど、その将来を大いに嘱望されてきた。
 
 しかし、この早熟の司令塔は、度重なる怪我に悩まされる。2011-12シーズンに足首の手術のため全休すると、その後も膝やふくらはぎなど、あらゆる箇所を痛めて欠場続き……。再起を期してボーンマスにレンタル移籍した昨シーズンも、4月に腓骨を骨折して残りのシーズンを棒に振った。
 
 そうした故障癖に加え、喫煙がリークされるなどプライベートでの素行不良もあり、25歳となったウィルシェアのキャリアは、「終わった」と取り上げるメディアも少なくなかった。
 
 しかし、そんなウィルシェアを見捨てなかったのが、アーセナルの指揮官アーセン・ヴェンゲルだった。手塩にかけてきた教え子を「信頼している」と語った老将は、批判を繰り返すメディアにも「あなた方も彼を信じなければならない」と釘を刺していた。
 
 そんなヴェンゲルは、ウィルシェアを開幕直後からU-23チームに置いてコンディションを整えさせると、9月14日のEL1節のケルン戦(〇3-1)で68分から起用。続く20日に行なわれたリーグカップのドンカスター戦(〇1-0)では、先発フル出場させていた。
 
 恩師の気遣いもあり、満を持して迎えたBATEボリソフ戦でウィルシェアはついに躍動する。先発としてピッチに立つと、9分には味方とのワンツーパスから相手ペナルティーエリア内に侵入。最後は絶妙なクロスでセオ・ウォルコットの先制点をお膳立てした。
 
 試合終了の瞬間までピッチ上で際立った存在感を見せつけたウィルシェアには、これまで非難してきたメディアも手のひらを返し、賛辞を送っている。
 
 英紙『ミラー』は、「アーセナルFCではなく、“ジャック・ウィルシェアFC”だった」と見出しを打ち、「ベストな状態に戻った。そのプレーはファンを興奮させた」と手放しで称賛。
 
 同じく英紙『サン』も、「彼は強くなり、その強さをBTAEボリソフ相手に容赦なく示した」とそのパフォーマンスは褒めちぎった。
 
 またヴェンゲル監督も、メディアの論調に賛同するかのように、「ジャックはベストな状態に戻ってきたと思う」と、教え子の完全復活を仄めかすコメントしている。
 
「その年齢からすれば、通常どの選手も脂の乗る時期だ。ただ、ジャックは負傷によって欠場する日々が続いた。これ以上、何も問題が起きないことを祈っている。彼はますます強くなっていくだろう。今日の試合で、ジャックの質が失われていないことは証明された」
 
 傑出したプレーで称賛を勝ち取ったウィルシェア。そのハイクオリティーなパフォーマンスを披露し続けることはできるのか? まずは、10月1日のブライトン戦(7節)で、今シーズン初のプレミアリーグ出場を目指す。