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2017年8月5日に採択された国連安保理決議第2371号では、北朝鮮に対する追加的経済制裁措置として、加盟国が北朝鮮から石炭や鉄および鉄鉱石、鉛および鉛鉱石、海産物(魚、甲殻類、軟体動物およびその他のすべての形態の水生無脊椎動物を含む)を輸入することを禁止するとともに、追加的な北朝鮮労働者の雇用、北朝鮮との新規の合弁企業もしくは共同事業体(JV)の開設または既存の合弁企業の拡大を禁止した。さらに、9月3日の核実験を受けて11日に採択された国連安保理決議第2375号では、加盟国の石油製品の対北朝鮮輸出を年間200万バレル(約27万トン)に制限、原油の年間の対北朝鮮輸出を過去12カ月の実績(約30.4万トン)を上限に設定するとともに、北朝鮮からの衣類と繊維製品も全面禁輸となった。

対中禁輸で大打撃か

今回の制裁措置は、核実験と日本列島の上空を超える弾道ミサイルの発射という「大きな違反行為」に国際社会が一致団結して対応するためのものであった。

とはいえ、米韓合同軍事演習は何があってもやめない方針の米国と、核実験やミサイル発射の停止とバーターで、北朝鮮の嫌がる米韓合同軍事演習の停止を検討すべきと共同提案する中ロの間には大きな隔たりがあり、それが制裁決議の内容にも反映された(米国が主張する金正恩朝鮮労働党委員長の渡航禁止や資産凍結の追加や、原油・石油製品の全面禁輸は見送られた)。

安保理の2回にわたる決議による制裁は、主に北朝鮮の中国に対する輸出(16年の北朝鮮の輸出の88%は対中輸出)の上位品目を狙い撃ちにしている。この制裁の狙いは一義的に、北朝鮮の外貨獲得源を絶つことによって核、ミサイル開発の資金調達を困難にすることだ。同時に、経済開発と核武力開発が両立しないこと、すなわち13年3月に北朝鮮が打ち出した「並進路線」は実行不可能であることを、金委員長をはじめとする北朝鮮の指導部に分からせることも目的であると考えてよいだろう。

図は、今回新たに制裁の対象となった品目が12〜16年の北朝鮮の対中輸出に占める割合を計算したものだ。年によって若干の違いはあるが、87〜90%を占めている。従って、北朝鮮の対中輸出は大打撃を受けることになる。

労働者の賃金については、ロシアの方が高く(建設労働者は時間外のアルバイトによる副収入も多い)、中国は相対的に低い。ただし、人数拡大の余地は中国の方が可能性が高く、中国がこれ以上労働者数を増やさないとすれば、ロシアの動向が鍵となる。

三村光弘(環日本海経済研究所主任研究員)※時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」より転載