「長安CS55」発表イベントの様子。(写真: 長安汽車の発表資料より)

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 中国第3の自動車メーカーが欧州輸出に挑戦している。長安汽車のSUV「長安CS55」を英国に売り込もうとしているようだ。AUTOCAR JAPANが報じている。数々の問題があるようだがSUVの長安・CS55の出来は良いようだ。しかし、中国産と聞くと、マックナゲット事件、高速鉄道事故、さらには日本の新幹線車両そっくりなのに独自の技術として、輸出している事実を思い出す。つまり「信頼性」がないのだ。

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 我々が自動車を買うとき、意識せずにいるのが「故障しないか?」と言うことだ。日本車、欧州車、アメ車など、日本で売られている自動車が故障だらけになるようなことは、誰も思っていないのだ。そこは殆ど意識せずとも買える環境が、日本には揃っている。しかし、中国産となると意識は「信頼性」に集中してしまう。

 この信頼性を基礎とすることが当然となっている社会が「文明国」と呼ばれるのだ。長安・CS55はかなりの良い出来であるとの記事だが、日本の車とは同列に語る気がしてこないのが中国産の現実だ。

 「信頼性」の基礎の基礎は、自動車会社の社員が「まじめに造っている」との前提で成り立つ。マックナゲットの生産現場では材料の肉が腐りかけていたり、ラインから床に落ちた肉を持ち上げて使うなど、モラルのかけらもない作業態度が見えてしまった。

 自動車製造作業者がマニュアルを守らない、またはマニュアルがひどいモラルだとなると、安心して乗ることはできない。その、自動車会社作業者のモラルのありようは、どのようにして出来上がっていくものであるのか、考えたことがあろうか?

 まず経営者が「よいクルマをつくろう」と考えなければならない。社員が顧客を意識して「喜んでもらおう」と考えなければモラルは生まれない。この意識が基礎の、またその基礎となるものだ。

 長安汽車はフォード、マツダなどと合併事業を行う会社だが、この基礎を徹底出来ているであろうか?こんな心配をするのは、失礼にあたるのかもしれないが、過去、現在に至るも著作権無視など中国社会の成熟度に疑問符はつくからだ。

 そして素材の品質、製造技術、生産技術、販売技術、メンテナンス技術などの体制が問われることになる。自動車生産には、多くの産業レベルが高くないと成り立たない。「知識集約型産業」と言われるのだが、この基礎が「モラル」のレベルなのだ。

 かつてゴルフの世界でのこと、アコーディア・ゴルフの運営するゴルフ場では、メンテナンスが不十分で、クラブハウスが雨漏りする、グリーンが雑草で出来ているなど、多くの品質の悪さが指摘されてきた。この経営レベルは、コーポレートガバナンスを議論する前に、「良いゴルフを提供しよう」との意識が低いことが問題だ。また現場を運営する社員のモラルも、社員自身の待遇が低いと、下がってしまうことを社員自身も知らなかった。給与だけでなく「会社に大切にされている」との感触がない体質だと、社員の退職率も高くなり、モラル全体が下がってしまうのだ。

 このように企業が商品を成り立たせるには、多くの分野の技術が集大成していなければならず、株価や金融だけの動きで捉えていないで、ビジネスモデル全般を理解せねばならない。

 ブラック企業などを見ていると、サイコパスの経営者、管理職がいて、極めて幼稚な認識で人間社会を見ている。企業は社会インフラであり人間社会そのものだ。金融だけの認識で経営が出来ると勘違いしてはならない。

 中国の企業も世界で認められようと努力する中で、「品質とは何か?」を学ぶことになるのだろう。かつての日本も同様であった。ブラック企業が増える中で、ビジネスマンが学ばなければならない基本は、「社会的責任」だ。