レゲエに傾倒したきっかけやレゲエの魅力などを語るRAY

 レゲエシンガーのRAYが、20日にメジャー1stアルバム『レイシング』をリリース。弾き語りのストリートミュージシャンからレゲエシンガーに転身、2014年にアルバム『ポガティブ』が、オリコン・インディーズ・チャート2位を獲得。今年配信した「アイライフ」や「鼻歌」、「I&I」は、全てiTunesレゲエ・チャート1位を獲得し、アルバム『レイシング』はiTunes総合チャートでも6位を記録、YouTubeの総再生回数は600万回超えの人気を得た。「レゲエカルチャーと呼ばれる文化そのものからパンチを食らった」と衝撃を受けた、レゲエの魅力など話を聞いた。

もともとはフォークをやっていた

RAY

――どういうきっかけでレゲエをやろうと?

 僕は、もともと19さんやコブクロさんなどのフォークをルーツとしたようなシンガーソングライターを目指して、アコースティックギターを弾きながら路上ライブをやっていたんです。

――まったくレゲエじゃなかったんですね。

 そうなんです。それである時、友だちのところに録音機材を借りに行ったら、そいつがレゲエをやっていて。トラックを渡すからレゲエの曲を歌ってくれないかと頼まれて数曲作って、その友だちがやっていたイベントで歌ったのが最初でした。

――意外な入り口ですね。

 レゲエの入り方としては、すごく特殊だと思います。その流れでクラブに通うようになって、自分の中で占めるレゲエの割り合いがどんどん大きくなって、今に至っています。

――レゲエのどういうところに魅力を感じて、傾倒していったのですか?

 音楽そのものよりも、レゲエカルチャーと呼ばれる文化そのものからパンチを食らった感じです。ほとんど行ったことがなかったクラブに行くようになり、お酒を飲みながら流れている音楽が楽しければ声を出す。ライブのやり方も俺が知っていたものとはまったく違って、例えば“ラバダブ”というカルチャーがあって、オケだけ流しておくと好きなやつが勝手にステージに上がって歌うというもので。フォークソングをやっていた俺からすると、最初にそれを見た時は本当に訳がわからなかったです。でもそのインパクトが大きくて。

――そこに新鮮さを感じて、楽しいと思ったんですね。

 そうです。それからいろんなレゲエを聴くようになって、ボブ・マーリーを聴いて格好いいと思ったり、どんどんいろんなレゲエのアーティストに興味を持つようになっていきました。それで、日本人で最初に衝撃を受けたのはBESさんというアーティストで、その人に憧れたのもレゲエを歌うようになったきっかけです。

――BESさんのどういうところに憧れて?

 レゲエのアーティストにこういう人もおるんや! という。レゲエだけどすごく聴きやすくて、純粋に格好いいと思いました。レゲエのアーティストによっては、聴きやすいという言われ方を嫌がる人もいますが、俺は純粋に聴きやすくてそこが良いと思ったんです。それにレゲエをやっている人には、いろいろな方がいますけど、基本的に気の良い人が多いので、そういう部分も自分に合っていたと思うし。

結局一番のライバルは自分

メジャー1stアルバム『レイシング』

――RAYさんの楽曲は、歌う内容やメッセージが重要だと思いますが、内容とかメッセージの部分で、何か決めていることは?

 決め事はないです。たとえば洋楽のヒップホップで人をディスった曲は多いですけど、ディスってる側は気持ちいいだろうし。レゲエが好きだと歌っているだけでも、嫌悪を感じる人は感じるだろうし。受け取る側の気持ちと言うか。だから、基本的に線引きはせずに、俺が歌いたいと思うことを歌いたいと思っています。

――人生観を歌ったり応援歌だったりが多い気がしますが。

 日常的に感じたことが、やっぱり歌詞になりますね。将来はどうなるか分からないけど、フィクションの歌は今のところ書けなくて。だから、出てくるエピソードも実体験ばかりです。それが良いか悪いか分かりませんけど。

――「鼻歌」は?

 最初の歌詞に<お先にどうぞ>というのがあるんですけど、それは車を運転しているときに、後ろからめっちゃ煽られて、ムカついたけどそんなに急いでるなら先に行っていいよって譲ったことがあって。そういうことがあって出来た歌詞なんです。「この音が」という曲は、完全に俺の日常を歌っていて、聴けば一発で俺がそういう生活を送ってるんだと分かると思います。

――「YOU」は、ラブソングですよね?

 「YOU」は、レゲエに対しての愛を歌っているんですけど、これをラブソングとして聴いてもらっても、ぜんぜんいいです。前のアルバムにもラブソングが1曲ありますけど、恥ずかしくなってしまってラブソングはなかなか書けないんですよね(笑)。今は、ラブソングよりも書きたいことがあるし。まあ、将来は分からないですけど。

――アルバムの『レイシング』というタイトルはどういう意味で?

 レイとシングを合わせて、単純にRAYが歌うという意味です。あと「レーシング」にもかけていて。今回メジャーなので、競っていかないといけないし。いろんな相手と競うんですけど、でも結局いちばんのライバルは自分自身だと思うし。

賛否の否のやつも巻き込みたい

RAY

――レゲエの魅力の一つにはファミリー感もあると思いますが、そういう部分で思うことは?

 俺の曲も、絆や繋がりを歌ったものが多くて、アルバムの後半の曲は、ほとんどそういうテーマで歌っています。今の時代と言うと大げさだけど、人と人の繋がりが薄くなっていると感じるので、そういう部分で少しでも何か感じてもらえたら嬉しいし。

――世の中は、ネットでの繋がりがメインになっていますよね。

 そうですよね。それで繋がってるつもりになっている人が多いと思います。俺らのように、クラブの現場で直接顔を合わせて仲良くなった繋がりは、絆がすごく強いと思います。

 お互いに本名を知らないけど、毎週クラブで会う仲が良い人もいて。そういう名前も知らないけど、音楽を通して仲良くなれるのは、レゲエカルチャーのいいところの一つだと思うし。誰かが困っていればみんなで助け合う、そういう温かさがあると言うか。

――そうした温かさを大切にしながら、今後やりたいことや目標とかは?

 最近はレゲエ以外のジャンルのアーティストも出演するフェスなどに出ることが増えていて、そこでいかに俺がレゲエという枠に守られていたかを実感しました。そこに出ている全員がアウェイではあると思うけど、そこを自分のホームに出来るくらいの知名度、集客力、実力が必要だなと改めて思いました。今の目標としては、そこで戦えるノウハウを身につけることですね。その先駆けとして、このアルバムが広がってくれたら嬉しいです。

――YouTubeの総再生数が600万超えでも、そういう感じなんですね。

 YouTubeの再生数やコメント数は、すごく嬉しいけどそれが必ずしも集客に繋がるわけではないので。不意に出会った人も多いと思うし、文句を言いたいだけの人もいるだろうし。

 そういうネットのコメントで、ディスられることも多いですよ。「こんなのレゲエじゃない」とか。でも、そういうのも「どんと来い!」という気持ちでいます。逆に「面白い」と言って守ってくれる人もいるし。

 それに俺をディスるやつって、すごくレゲエに詳しいやつが多くて、俺も昔は似たようなことを思っていたので、そいつらの気持ちも分かるんです。そう分かった上でやってるから、クラブの現場ではそいつらに対してガンガン言い返しています。だから文句言ってるネットのやつらも、もっとクラブに来てくれたらいいんですよ。それでお互い言いたいことを言えば。そうやって、賛否の否のやつらもどんどん巻き込んで、シーンを広げていきたいと思っています。

【取材・撮影=榑林史章】

レゲエに傾倒したきっかけやレゲエの魅力などを語るRAY RAY RAY RAY メジャー1stアルバム『レイシング』

作品情報

RAY
メジャー1stアルバム『レイシング』
CD 2700円(税抜)VICL-64851
01. レイシング(Intro)
02. Yu know mi
03. 鼻歌
04. 遊び
05. DON’T STOP DA MUSIC
06. NIGHT PLAYER
07. AMBITION
08. 621
09. 人間
10. Chrono feat. RAM HEAD
11. アイライフ
12. I & I
13. この音が
14. YOU

公演情報

▽メジャー1stアルバム『レイシング』発売記念Special Live
10月25日 大阪・心斎橋SUNHALL