初代レガシィツーリングワゴンが火を付けた

 1990年代ぐらいまでだろうか、クルマの基本はセダンと言っていたのは。それが今ではミニバンやSUVなど、スタイルもさまざまになり基本がどこにあるのかというのは誰も意識しない時代になった。便利に使えたり、快適に使えたりすればそれでOKといったところだろう。

 その意識変化の先駆けとなったのが、ステーションワゴンブームだ。もちろん1960年代ぐらいからワゴンというボディ形状はあったが、あくまでも商用として開発されたバンの乗用車登録というもので、乗り心地も走りも今ひとつだったし、メーカーもユーザーもそれでいいと思っていた。あくまでも、扱いはどうであれ、すべてライトバンだった。

 それが一気に変わったのが、1989年に登場したレガシィ・ツーリングワゴンだ。大ヒットになったことを覚えている方もいるかもしれないが、ポイントはワゴン専用設計だったこと。もちろんバンはなく、それゆえ乗用車的なテイストに溢れていた。また2リッターターボも搭載して、スポーツカー的な走りを楽しむことができたのもヒットした理由のひとつだろう。

 またワゴンだけに、前を向いて乗っているぶんには、慣れ親しんできたセダンと大きく違わないのもユーザーとしては違和感なかったのもある。それでいて、荷物もセダンの比でないほど積めるのだからヒットしないわけはなかった。ちなみに大ヒットにより、倒産もささやかれていたSUBARU(元 富士重工)の業績も一気に回復した。

 そのヒットを受けて、他社も指をくわえて見ているわけはなかった。これにより、ワゴンブームが到来する。

 トヨタのカルディナと、日産のアベニールが、レガシィも含めた三巨頭で、当時流行っていたアウトドア(ワゴンが火を点けたとも言えるが)の足として活躍したり、ドレスアップやチューニングを楽しむユーザーも多かった。

 もちろん3台以外にも、マツダのカペラカーゴ、その兄弟車のフォードのテルスター。よりコンパクトなクラスとして、カローラワゴンやインプレッサ・スポーツワゴン、ウイングロード(サニーカリフォルニア)なども人気があった。また輸入車ではボルボやアウディの人気も高かった。

 じつは筆者はワゴン専門誌に在籍していたことがあるのだが、取材のネタに事欠くことはなく、読者イベントの電話参加受付をしたら、回線がパンクしたりしたほど。ステッカーはちょっとしたステータスだったりと、改めて振り返るとものすごい熱気だったのは確かだ。

 ただ、1990年代後半になると、さらに使い勝手が良く、多人数で乗れるミニバンに人気が移行していくと、ワゴンブームも下火に。現在では日本車全体でも数えるほどのモデルしかラインアップされていないのはさびしいところではある。