10月の2試合に臨む日本代表のメンバーは、広く理解を得られるものだろう。

 初選出は車屋紳太郎ひとりにとどまる。しかし、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は長谷部誠、本田圭佑、岡崎慎司らの招集を見送ることで、これまで出場機会の少なかった選手を起用する状況を整えている。テストという位置づけがはっきりと見える意味で、理解を得られると思うのだ。

 11月の欧州遠征は、ブラジルらの強豪と対戦する。テストではなく現時点の実力をはかる機会とするべきだ。年内最後の活動となる12月の東アジアE−1選手権は、国内組の最終的な振り分けの舞台と位置づけられる。

 そう考えると、これまで出場機会の少ない選手を起用するタイミングとしては、今回の2試合がふさわしい。海外組をテストするなら「ここしかない」と言ってもいい。

 GKでは川島永嗣を除くふたりを、1試合ずつ起用していい。DFではレギュラー格の吉田麻也と昌子源を別々に起用し、槙野智章、植田直通をテストしたい。吉田と昌子だけでなく長友佑都や酒井宏樹らの主力は、できるだけ別々に起用するべきだ。彼らとバックアップ層の選手をミックスすることで、守備の安定感を担保するのである。

 それによって、中盤や前線の選手のテストが実効性を持つことができる。MFやFWが守備に引っ張られてばかりいるようでは、テストなどままならない。

 今回の2試合でまず抑えておきたいのは、香川の生かし方だろう。

 4−3−3のシステムが今後もファーストチョイスになるなら、最終予選終盤の長谷部、山口蛍、井手口陽介の組み合わせは優先順位が高い。守備力と運動量を両立し、素早く前線へ飛び出していくこともできる彼ら3人は、ボールを持たれることを前提とした戦いで効果的だ。W杯を意識した組み合わせ、と言い換えるころもできる。

 さて、香川をどうやって使うのか。現実的にはインサイドハーフの1枚になるが、その機能性はチェックしておく必要がある。小林祐希も同様だ。攻撃的なMFのひとりとして、テストをしておかなければならない。

 FWは分かりやすい。

 左の乾貴士と原口元気、右の久保裕也と浅野拓磨は──彼らが所属クラブでのパフォーマンスを維持できれば──このままW杯へ臨んでもおかしくないものである。国内のテストマッチだけにJリーガーを試しても良かったが、いまこの瞬間に試しておくべき“旬の選手”が見当たらないのも事実だ。

 3トップ中央のポジションは、文字どおりのサバイバルになる。大迫勇也と岡崎慎司に次ぐ3番手を巡る競争だ。武藤嘉紀と杉本健勇による争いは、最前線でしっかりとボールを収め、なおかつ自らもゴールへ迫っていけるかどうかが評価の分かれ目となる。

 ニュージーランドとハイチという相手は、W杯へのテストマッチとしては物足りない。その一方で、ロシアへのテストとしては格好の相手と言える。ハリルホジッチ監督を悩ませるだけでなく、長谷部や本田を慌てさせるようなアピールが繰り広げられれば、ロシアW杯への期待は高まっていく。