長友の牙城を切り崩せるか ハリル監督も期待、代表初選出DF車屋紳太郎とは何者か?

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ハリル監督が求める「左利きの左サイドバック」 かねてより車屋に熱視線

 今の日本代表で補強したいポジションは「後方のレフティー」。

 バヒド・ハリルホジッチ監督はそんな思いを抱えているのかもしれない。28日にキリンチャレンジカップのニュージーランド戦(10月6日/豊田スタジアム)、ハイチ戦(同10日/日産スタジアム)の日本代表メンバー発表があり、ロシア・ワールドカップ(W杯)出場権を勝ち取ったオーストラリア戦とサウジアラビア戦でベースになったメンバーが数多く招集された。そのなかで川崎フロンターレの25歳DF車屋紳太郎が初選出されたのは象徴的だった。

「車屋がメンバーに入ったが、左利きの左サイドバックを探している。サイドバックというのは攻撃でも守備でも大きな役割を担う。車屋の場合は攻撃も守備もできる選手だと見ている。ただ、どこまでのレベルでできるかを見たい」

 ハリルホジッチ監督もこう口にする車屋は、かねてより代表招集が噂される存在だった。今年3月にAFC(アジアサッカー連盟)公式サイトがリスト化した日本代表出場登録選手97人の中に車屋の名前は記されており、ハリルホジッチ監督は長期間にわたって熱視線を送っていたことが分かる。

 9月に行われた浦和レッズとのAFCチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦、車屋は浦和FW興梠慎三との球際の競り合いの際に足を高く上げ、一発レッドで退場する憂き目にあった。しかし今シーズンはリーグ戦第27節終了時点で全試合スタメン出場。途中交代したのは3試合だけとタフネスさとクオリティーを両立したパフォーマンスを見せ続けている。

風間監督から薫陶を受け、J優秀選手賞も受賞

 車屋は筑波大在学中の2014年には特別指定選手として川崎で選手登録された逸材で、2015年に川崎に入団。ルーキーイヤーの同年3月に早くもハリル監督率いる日本代表のバックアップメンバーとして選出されている。その後、当時川崎を率いていた風間八宏監督(現・名古屋グランパス監督)の下で頭角を現し、2年連続でリーグ戦30試合出場。2016年にはJリーグ優秀選手賞も受賞した実力者だ。

 日本代表の“左の翼”と言えばDF長友佑都(インテル)もしくはDF酒井高徳(ハンブルガーSV)が長年務めている。ただし両者ともに利き足は右で、左足のサイドバックという“本職”を指揮官は求めている模様だ。

 レフティーの車屋は、無尽蔵のスタミナに加え、対人プレーにも強く、足元の技術も一定水準にある。また、柔らかいボールタッチとスピードを駆使したドリブルで1対1の突破も果敢に挑む。さらに主戦場のサイドバックだけでなく、川崎ではウイングバック、センターバック、3バックの一角など複数のポジションをこなす対応力と戦術理解力も魅力の一つだ。サイズは178センチながら、能力値は攻守ともにバランスが取れ、大きな短所は見当たらない。

 果たしてその運動量と左足の精度で、長友が君臨する左サイドバックの序列を切り崩せるか――。車屋にとって10月シリーズは、初選出ながらロシアW杯に向けた大きなターニングポイントになりそうだ。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images