北朝鮮当局が住民に配給する食糧が、国連が推奨する量の半分まで減少したと、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

VOAは、国連世界食糧計画(WFP)の資料を引用し、北朝鮮当局が先月、住民に配給した食糧は1日1人あたり300グラムまで減ったと報じた。これは、北朝鮮当局とWPFがそれぞれ定める1日1人あたりの配給目標である573グラムと600グラムに遥かに満たない量だが、2011年以降で最も少なかった2014年8月の250グラムほどではない。

北朝鮮経済を研究する米ジョージタウン大学のウィリアム・ブラウン教授は、収穫の遅れや国際社会からの支援の減少が配給量の減少の原因と見ているが、同時にこれが必ずしも食糧不足を意味するわけではないと説明した。

食糧不足に陥れば、市場でのコメとトウモロコシの価格差が狭まる傾向があるが、今のところ1対3の価格差を維持しており、その兆しは見られないとブラウン氏は語った。

デイリーNK内部情報筋が伝えてきた9月下旬現在のコメとトウモロコシの1キロあたりの価格は、6100北朝鮮ウォン(約79円)と2390北朝鮮ウォン(約29円)だ。(いずれも平壌での価格)

一方、米国企業公共政策研究所(AEI)のニコラス・エバスタット氏は、配給量統計そのものを懐疑的に見ている。数字は北朝鮮当局が提供したもので、正確な状況を現していない可能性があり、食糧配給を受けられるのは一部の住民に限られ、ほとんどの住民は市場で調達しているというのがその理由だ。

住民の多くが配給に頼っていないという状況は、WFPの調査結果にも現れている。

WFPが2013年7月に行った調査によると、家計支出全体に占める食糧費の割合(エンゲル係数)は43%という極めて高い数値を示した。配給で食べ物が得られるのならありえない数値だろう。

また、北朝鮮国民の66%が個人耕作地を持ち、その平均は20坪、70%は家畜を飼っている。さらに89%は野生食品、つまり山菜の採取を行っている。

北朝鮮のコメ価格は、3回目の核実験の後の2013年3月末に7000北朝鮮ウォン(約91円)に達したが、それ以降は概ね5000北朝鮮ウォン(約65円)台を維持してきた。今年の春からは、日照りの影響で凶作となるだろうとの展望が広がった上に、経済制裁による燃料不足で輸送コストが増したため、価格が上昇傾向にある。