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▶ シボレー・コルベット・スティングレー vs ジャガーE-タイプ vs トヨタ2000GT(1) ▶ シボレー・コルベット・スティングレー vs ジャガーE-タイプ vs トヨタ2000GT(2)

もくじ

ー 2000GT いたるところにエランの影
ー 走らせて、はじめて気がつくこと
ー 3台 すべて価格が一緒なら、何えらぶ?
ー トヨタ2000GTのスペック

2000GT いたるところにエランの影

2000GTに乗ると、ロータス・エランからも学び取ろうとしていたことがわかる。例えばシャシー(ロータスのバックボーンにそっくりだ)、そして形(ジャガーの6分の5スケールと言ったとしても言い過ぎではないと思う)などから明確に伝わってくる。

ヤマハが日産と協力する形で生み出そうとしていたA550Xも同様だ。それほど当時のデザイン部門チーフの野崎喩は、ジャガーに大きな影響を受けていたのだろう。

さまざまな制約の中で作られた2000GT。中でも高さを確保するためにリトラクタブル・ヘッドライトを採用した点など、考えに考え抜かれたパーツたちも魅力のひとつだ。

BMW 507からインスピレーションを受けたマグネシウム製アロイ・ホイールやテール周辺のマセラティを思い起こさせるライン、C1コルベットのような小さなリアウイングランプや、ザガートが見出したダブルバブルルーフなどさまざまな要素からも野崎氏の見識の広さが伺える。

風の抵抗まで考え抜かれた可憐なドアノブを引き、乗り込む。ショーン・コネリーが「007は二度死ぬ」でルーフ無しのモデルに乗った理由がすぐわかるほど、キャビン内部のルーフは低い。足元は思った以上に広さがあり、タイプライターのキーのような美しいスイッチを見れば、「嗚呼こんな所にも拘りが」と思わず声に出してしまった。

それほどに細部にまで努力の跡が見て取れる。熱成形のステッチなどチープな部分は見逃せないが、ロータス・エランのようなスラリとしたバケットは快適だし、美しくラウンドするフロントガラスは見ているだけで満足させてくれる。

こちらのクルマもJDクラシックスがレストアを施したのだが、ヤマハがピアノにも使用したというローズウッドの内装パネルや、当時の正方形のクロックやストップウォッチ、シガレット・ライターなど「男らしさ」を象徴するパーツはオリジナルのまま残したのだと言う。

イグニッションキーを回せば、2000GTはいかにも日本車らしい目覚め方をする。

走らせて、はじめて気がつくこと

日本車らしいというのはつまり、「うららか」なのだ。

排気量はE-タイプより2ℓ控え目なのだけれど、低回転域の吹け上がりはE-タイプの6気筒そっくりなのには驚いた。

マホガニー(赤褐色)のギアレバーを押しこむにはやや力を要すが、日本製の5速ギアボックスは精緻でポジティブ。7000rpmまで熱烈に吹け上がり、どの回転域をとっても安心感がある。ギアボックスの滑りひとつ見せない出来栄えにも驚かされた。

E-タイプに101psも差を付けられているにも関わらず、クラウン・ベースのヤマハによってチューンアップされたエンジンは驚くほど溌溂としている。確かにE-タイプには速さにおいて一歩及ばないのだが、少なくとも数値が示す以上の体感的な速さがある。

ステアリングは軽くはないものの、入力に対する反応はかなり素早い。シャシーの性能による貢献も大きいはずだ。

乗り心地は非常によくロールは大きめ。ただし、予告なくアンダーステア気味になることがあった。スリムな165 SR15ミシュラン製XZXに起因するオーバーステアも突如として顔を出すため、ミドルコーナーの脱出時には注意が必要だ。

3台 すべて価格が一緒なら、何えらぶ?

この3台の中で「スポーツカー」であると断言できるのは、このクルマだけ。しかし価格がずば抜けて上昇しているのは、われわれにとっては不運としか言いようがない。

2007年に運転した際は£150,000(2262万円)程度だったのだが、現在はミリオンダラーカーにまで上り詰めた。これじゃあ、コルベット・スティングレーとE-タイプ、2000GTのうち、どのクルマを買うべきか、と言う結論には持っていけそうにない。

今回の取材を通して筆者は英国流のデザインがどのように世界に影響を及ぼしたか、また、コルベットの雰囲気作りの上手さ、サウンドや独特のキャラクターがどれほどの人々の心を揺り動かしたかが理解できた。

どのクルマも非常に秀でている。したがってどれを選んだとしてもきっと心の底から満足できるはずだ。

しかし中でもE-タイプだけに言えることがある。なぜこれほどまでに全世界のエンスージァストの憧れの的になり得たかという根拠だ。それは、速く、美しく、扱いやすい、という3つの重大要素を見事に両立させることができたからではないだろうか。

では仮に2000GTの価格がE-タイプと同程度だったとしたらどうだろう? そう思うのは筆者だけではないはずだ。

手仕事によって作られたクルマと言うのはかなりの威力がある。ダットサン240Zが踵を接したことからも、2000GTの魔力を物語っていると言えるだろう。すべて価格が一律だったとしたら……。

もちろんトヨタ2000GTが一番だ。二言はない。

トヨタ2000GTのスペック

生産期間1966〜1970年
生産台数 337台 
シャシー スチール 
エンジン DOHC6気筒1988cc 
エンジン配置 フロント縦置き 
駆動方式 後輪駆動 
最高出力 152ps/6600rpm 
最大トルク 18.0kg-m/5000rpm 
トランスミッション 5速マニュアル 
乾燥重量 1161kg 
0-97km/h加速 10.0秒 
最高速度 208km/h