安倍政権は主に外交・安保にばかり力を注ぎ、経済政策では金融緩和と財政による景気刺激以外に目新しさは見受けられません。しかし、最近の大手メディアでは、アベノミクスの効用をあおるような論調が目立ちます。無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では著者の嶌信彦さんが、国民の2割しか実感できていない景気浮揚の実態についてわかりやすく解説しています。

調査では景気回復あおるが…

このところ活字メディアで、アベノミクスの成果を伝える記事が目立つ。安倍政権は安保・外交には熱心だが「経済対策は超金融緩和と財政の刺激策だけで目新しいものがない。景気も曇り空続きで元気がなく市場からも評価されていない」という声が目立っていた。これに反論するため、アベノミクスの成果を一斉にキャンペーンし始めたかのような印象だ。

直近では産経新聞がアベノミクスを数字で見ると…バブル期上回る雇用水準 女性就業者200万人増「デフレ脱却」課題と題して第二次安倍政権が発足した2012(平成24)年以降、様々な数字で景気回復を実現してきたと指摘する。

たとえば企業の経常利益は過去最大の68兆円で24年度から約20兆円増大、日経平均株価は24年末より9,000円高い。景気の拡大も今年の4月まで53ヵ月間続いており、バブル期を抜き戦後3番目の長さだし、名目GDPは実額で54兆円とこの5年で50兆円以上増えたとしている。さらに有効求人倍率は1.51倍でバブル期の1.46倍を上回り正社員の有効求人倍率も1.01倍と初めて1倍を超えたという。女性の就業者も200万人増え、賃上げ率は4年連続2%を上回ったと誇っている。

また他の新聞でも観光競争力で過去最高の4位に浮上。17年7月の訪日外国人旅行者数は前年同月比16.8%増の268万人と過去最高を更新した。さらに今年4-6月期のGDPは4.0%増で個人消費と設備投資が引っ張る内需主導型が鮮明となり、今年度の成長率も民間調査会社の予測では1.8%と底固く「いざなぎ景気」超えも視野に入ってきたと調子のよい見通しだ。

しかし、こうした数字の好調さとは裏腹に日本の景気上昇気運には全く迫力がみられない。「バブル期超えも」といわれても70〜80年代の熱気は全く無いし、将来への不安は依然消えず、2割前後のボロ儲けをした人達を除けば、みんな将来に不安を感じ、たまにほんのわずかな贅沢で気を紛らわせているのが実情だろう。

消費景気は一部のカネ持ちを除けば完全に低迷したままで、80年代のように爆発する予感は誰ももっていないのではないか。

政府は良い数字を並べて世の中の空気を変えたいのだろうが、その兆候はまだ見えない。空気が変わるには賃金、ボーナス、企業投資が目にみえ、国民が実感しないとダメだ。安保と外交では支持率の低下を止められても一気に上昇というわけにはいかないだろう。

ただ期待もある。中小・零細企業の中にユニークな経営をしている所が目立つ。これまでの事業を宇宙医療に転換し、2年で売上を数倍に伸ばした企業などだ。戦後の創業時のような雰囲気を国中で盛り上げたいものだ。(財界 2017年10月3日)

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出典元:まぐまぐニュース!