シンガー・ソングライターの山下達郎さんが、9月17日放送のラジオ番組「山下達郎のサンデー・ソングブック」に出演。自身のコンサートに来て、大声で熱唱する客について「一番迷惑。あなたの歌を聞きに来ているのではない」と話したことがネット上を中心に大きな話題となりました。

 山下さんは、盛り上がる場面でついつい大声で合唱してしまい、妻のひんしゅくを買っているというリスナーの相談について「ダメです」と一刀両断。先の言葉とともに「自分の隣にそういうオジサンがいたら私は言います」としました。

 これを受けて、SNS上では「ライブや曲のタイプによりますよね」「達郎さんの場合は、大きな声で歌うより、聴いた方がいい」など、さまざまな意見が飛び交っています。

 山下さんに限らず、音楽コンサートにおける観客の態度はどうあるべきなのでしょうか。オトナンサー編集部では、企業や大学などで人財育成や接待・会食などのマナー指導を行い、新著「かつてない結果を導く 超『接待』術」など国内外で70冊以上のマナー本があるマナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。

大切にしたい「TPPPO」の観点とは

Q.今回、山下さんが示した見解についてどのようにお感じですか。

西出さん「相手の立場に立つというマナーの観点からすると、山下さんも含めて考え方は人それぞれなので、山下さんの今回の発言も尊重されてしかるべきでしょう」

Q.コンサートでは、盛り上がって大きな声で歌うこともしばしばですが、それが迷惑になることもあります。どのように振る舞うのがよいのでしょうか。

西出さん「お金を払っている以上、好きに楽しみたいお客さんの気持ちも分かりますが、マナーは『TPPPO』(Time=時、Place=場所、Person=人・相手、Position=立場、Occasion=場合)の観点が大切です。アーティストが一緒に歌ってほしくない場合は歌わない、みんなで一緒に歌おうという場合は歌うのがよいでしょう」

心と心のハーモニーを奏でること

Q.今回のように、コンサート中に周りの客からクレームを言われた場合、どのように対処すべきでしょうか。

西出さん「仮に他人であっても、コンサートはそのアーティストを好きな仲間が集まっていると思います。相手から『歌ってほしくない』と言われたら歌わないのがマナーです。『あなたの歌を聞きに来ているのではない』という山下さんの厳しく聞こえる発言には『一緒にいる人(仲間)の言うことを尊重して』との気持ちが込められているでしょう」

西出さん「一方、注意する側もマナーが必要です。まずは『すみません』『申し訳ありません』『失礼します』などのひと言を伝え、『楽しんでいるところ申し訳ないのですが』などのクッション言葉を使って『声を小さくしてもらえますか』『声を出さないでいただけますか』とお願いする言い方で伝えることがマナーです。また、感じ良い表情で『シー』のジェスチャーを付け足すことで、相手も素直に『申し訳なかった』『ごめんなさい』と返すことができるでしょう。そして、終演時に改めて『先ほどは失礼しました』と言い合えたら素敵ですね」

Q.今回のケースに関してまとめをお願いします。

西出さん「音楽はハーモニーが大切だと思います。ハーモニーとは『調和』のこと。コンサートに行く人同士、またアーティストと観客、運営などの関係者を含めた全員が、互いに相手を思いやる心と心のハーモニーを奏でることで、愛する音楽を心地良く満喫できるはずです。マナーの心をもってコンサートを楽しみましょう」

(オトナンサー編集部)