【質疑応答】W杯に向けてリスタート図るハリル監督が日本のポゼッション至上主義に異議! 「多くの指導者がポゼッションに強迫観念」

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▽日本サッカー協会(JFA)は28日、来月初旬に行われるキリンチャレンジカップの2試合に向けた日本代表メンバー24名を発表した。

▽会見に出席した日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、質疑応答を行った。

◆ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(日本代表)

――よく口にする“第3段階”という言葉が具体的に何を指しているか、この2試合で何を試したいのか

「この合宿ではあまり出ていなかった選手にチャンスを与えたい、例えば東口をゴールマウスに立たせることもあるかもしれない。何かが起こったときに東口がプレーすることがあれば、経験が必要になってくる。そういった機会だ。ピッチに立たせることで、そのプレッシャーの中でどういったプレーができるのか、メンタル的な状態もよりよくわかる。車屋がリストに入った。私は左利きのSBを探していた。SBというのは攻撃でも守備でも非常に大きな役割を担う。車屋の場合は攻撃も守備もできる選手だとみている。ただ、どこまでのレベルでできるか、ということをみたい」

「ワールドカップでの要求は非常に高いものになる。今までよりさらに高くなる。そして、選手たちのメンタル的な部分で、自分のクラブで良いパフォーマンスをみせなければ、ワールドカップに行けないということを理解してもらいたい。ロシアへ確実に行けるという選手は誰1人としていない。45人から50人の代表選手の間での競争を促していきたい。今までよりもさらに、要求の高くなるワールドカップに向けていくということを、理解しなくてはならない」

「今回はキリンチャレンジカップがあり、今後も親善試合などでプレーしていく。より強いチームと当たった時に、自分たちの立ち位置がわかる。フィジカル的、戦術的、メンタル的、あらゆる面でこのチームの成長を要求する。そして、選手たちは9カ月間努力しなくてはならない」

――本田圭佑選手は落選と捉えて構わないか

「彼は移籍した。そして、ケガをしていた。現時点のコンディションでは、代表でのプレーはできないと思う。彼にはしっかりとトレーニングしてもらいたい。彼だけではなく、どの選手もしっかりとトレーニングをして、クラブでポジションを勝ち取ってもらわなければならない。また、クラブでのポジション、代表での要求、役割が違う場合がある。そういったところも、しっかりとやっていかなければならない。全員が、高いパフォーマンスということがロシアに行く条件になる。これと違った考え方で準備をしている選手がいれば、それが間違いだったと後に気付くことになるだろう。ワールドカップに向けて、最終的に23人のリストを作ることになる。選手を選ぶ時には、あらゆる基準を使っていく。まだまだ先のことだから、あまりこういった話はできないが」

「今はこの2試合を勝つ。非常に魅力的な相手チームだ。まず、ニュージーランドは、プレーオフに残っている。ラグビーのチームのようなスピリットを持った、戦うチームだ。オーストラリアと比較しても、ニュージーランドの方がアグレッシブかもしれない。ワールドカップに向けての準備が始まっているということを、まずは激しいニュージーランドを相手にして、選手たちにみせてもらいたいと思う」

――チームを成熟させていく上でのテーマはどのようなものか

「チームの強化ではまず、良い選手がいるということが大事になる。それが、国内でプレーしているのか、海外でプレーしているのか。今のところ50人前後を常に、コーチングスタッフ全員で追跡している。主役である選手の状態がまずは重要。そして、私がずっと言っていることだが、コンディションが良ければプレーするということだ。20歳前後の井手口もそうであれば、34歳の今野(泰幸)が出た試合も同様だ。私はこのように話もするが、話すだけではなく実行することも重要だ。まずは選手。そして、選手1人1人がしっかりパフォーマンスを上げて、自分を見せなくてはならないと思う。もちろん12月には、E1カップがあって、それは国内の選手たちにとって、自分たちを見せる非常に良い機会だ。つまり、選手たちそれぞれが努力して、それを見せることが代表の強化に繋がる」

「戦う姿勢と意欲というものは常に持っていてもらいたい。親善試合ということで軽い気持ちで受け取って、気を抜いてしまってはいけない。ワールドカップに向けての気持ち、意欲といったものを作り上げていく試合として使わなくてはならない」

「初めて日本代表監督として指導した合宿の時のことを覚えている。その時の選手たちのメンタル的な状況のことをよく覚えている。代表の引退を考えるところまでいってしまっていた選手もいた。メンタル的な状況が良くなかった。そして、ワールドカップは準備して挑まなくてはならない大会だ」

「選手たちは選手たちの部分を、スタッフはスタッフの部分を、しっかりとそれぞれが準備しなくてはならない。大会が始まるまで待って、飛行機に乗って行くというだけではいけない。私は大きな意欲を持って、行きたいと思う。ブラジルワールドカップで(アルジェリア代表を率いて)成し遂げたことを、再現したい。それ対しては、全員が同じ気持ちだ。もちろん、言うだけではなく実行しなければならない」

――会見の冒頭ではUEFAチャンピオンズリーグのパリ・サンジェルマンvsバイエルンを例に挙げて、ポゼッションではなくデュエルが重要だと語っていたが、来月の試合では日本がポゼッションする立場になるのでは

「このような親善全試合に挑む際は、まずはゲームプランを組み立てるが、ゲームの途中で変化していく可能性がある。今回は、もしかしたら日本の方が、ポゼッション率が高く、自分たちがボールを持つという可能性が高いかもしれない。我々がとある試合でハイプレスをかけていこうというゲームプランを組み立てていたとしても、それが上手くいかない時は一旦引いてブロックを作り、そこからもう1度作り直すことも必要だ。だからといって、守備的ということではない。速攻なのかビルドアップなのか、そういったところ全てがゲームマネジメントだと思う。それは、選手たちがピッチの中で感じながら実行しないといけない」

「90分の中では前線からのハイプレッシャーもあり、引いたブロックもあり、高さが中くらいのブロックもある。経験のあるチームというのは、そういったゲームの状況を見ながらコントロールしていくものだ。そういったところの発展が、もしかしたら必要かもしれない。そのためにはコミュニケーションが必要だ。ゲーム中に声を聞いたことのない選手もいる。朝、おはようございますと言った後、声を聞かない選手もいる。そういった選手には、少なくとも試合中は声を出してもらいたい」

「今となっては、私も選手たちのことをよく把握できるようになったと思うが、それぞれの選手に向上させてもらいたいところがある。それは、フィジカル的なところや、メンタル的なところ、技術的なところなど、色々な面がある。それぞれに成長してもらって、チームという組織に生かしてもらいたいと思っている。そういった修正点がまだまだ沢山あるため、伸びる余地がある」

「ポゼッションが高い方のチームが勝つというのは、私も正常だと思うが、ポゼッションが高いから勝つということではない。現代のモダンなサッカーの中では、それとは違った側面もある。そして、ポゼッションが高ければ勝てるという罠に、日本のサッカーには陥ってもらいたくないと思う。A代表のコーチングスタッフや、U-20、U-17といったアンダーカテゴリーのコーチングスタッフや監督などにはしっかりとこのメッセージを伝えたい。多くの指導者が、ポゼッションに関して強迫観念に近い気持ちを持っていると思う。しかし、ポゼッションが全てではない。それのみが真実ではないということを理解してもらいたいというのが、私の意見だ」