トリノダービーに続き、ベンチスタートとなったユベントスのイグアイン【写真:Getty Images】

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ポゼッション率69%、シュート数20本も…

 9月28日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第2節の試合が行われ、ユベントスはオリンピアコスを相手に2-0で勝利した。第1節でバルセロナに0-3と惨敗を喫してしまったユーベ。ホームに戻っての2戦目となったが、好調な国内リーグとは対照的に大苦戦。まだ歯車が噛み合っていないのだろうか。(文:神尾光臣【イタリア】)

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【UEFA チャンピオンズリーグ GS第2節】
ユベントス 2-0 オリンピアコス
得点者:イグアイン(69分)、マンジュキッチ(80分)

 グループリーグ初戦でバルセロナに敗れたユベントスは、オリンピアコス相手に勝利を収めた。スコアは2-0、UEFA公式のスタッツによればボール支配率は69%、総シュート数20本。しかし、統計は時にウソをつく。ユーベは苦戦していたのである。

 オリンピアコスの守備が硬く、それをこじ開けるのに70分近くを要した。しかもミスを待ってのカウンター狙いが丸分かりだった相手に対し、危ない形でのボールロストからピンチすら作っていた。バルサ戦での惨敗を経て、国内リーグでは連勝を続け復調基調に見えたユーベだが、まだ歯車が噛み合っていない、ということなのだろうか?

 実際のところ、彼らがまだベストの状態を模索している様子はスタメンの選択にも現れていた。マッティア・デ・シーリオの故障(並びにシュテファン・リヒトシュタイナーのUEFAR登録リスト除外)により、右サイドバックには引き続きステファノ・ストゥラーロがコンバート中。

 何より、ゴンサロ・イグアインがベンチに置かれたことが象徴的だ。バルサ戦では沈黙し、セリエAでもパウロ・ディバラが得点を量産する一方でキレを欠いたプレーを続け、コンディションの悪化が指摘されていた。マッシミリアーノ・アッレグリ監督は、土曜日のトリノダービーに続いて彼をスタメンから外した。

 おまけにウォーミングアップの段階で、ゲームメイカーのミラレム・ピャニッチが筋肉に違和感を訴えて離脱を余儀なくされる。サイド攻撃の新しい軸として補強されたドグラス・コスタも、まだチームにフィットしているとは言えない状態。相手に守備的な戦いをされたら、形を作るのに手こずるのではないかという予感はしたが、その通りの試合展開となってしまった。

周到な守備組織を準備してきたオリンピアコス

 オリンピアコスのタキス・レモニス監督は、かなり周到な組織守備を準備してきた。中盤にはアンカーを置き、ボールを保持していない時には両ウイングを下げて4-1-4-1の並びでブロックを作る。むやみに前線からプレスを掛けてボールを追うよりも、引いて後方のスペースを埋めることを優先する。ユーベがボールをキープした際は、迷うことなく10人が自陣へと下がった。

 しかし、ただ引くだけではなかった。ユーベがビルドアップを図った際は、ボールホルダーの前に収縮させて壁を作る。右ではストゥラーロからクアドラードへのパスを、左ではアレックス・サンドロからドグラス・コスタへのパスを寸断。そしてピャニッチの代役として先発起用されたロドリゴ・ベンタンクールがボールを持った際には厳しく寄せに行き、ディバラが中盤に下がってボールを貰おうとした場合は取り囲んでスペースを消した。

 このようにして厳しく守備の戦略を立ててきたオリンピアコスの前に、ユベントスはパスのスピードが上げられなかった。両翼に力量のあるドリブラーを抱えていても、パス出しが遅れ、スペースでボールがもらえなければ突破力は半減する。

 ディバラは密集地に埋まり、しかもピャニッチがいない状態ではパスに変化を出すこともままならない。組み立てに困った挙句、パスミスを拾われて危険なカウンターに繋がることも数度。オリンピアコスの攻撃陣に精度が足りなかったことでなんとか難を逃れるといった有様だった。

 前半終了間際から後半にかけては、サイドを使って左右に揺さぶりつつ、久々にCFとして起用されたマリオ・マンジュキッチを狙ったパワープレーで崩そうとする意図も見られた。ただ相手GKシルビオ・プロトの好セーブもあり、試合を動かすまでには至らない。

 60分、アッレグリ監督は故障上がりのクアドラードをベンチに下げ、先発から外したイグアインを投入することになる。オリンピアコスよりも先に修正に入ったことが、彼らの苦境を表していた。

選手のコンディションが整わないなかでのやり繰り

 だが、これで選手たちにきちんと攻撃のスイッチが入るところが、ユーベのしたたかなところである。そして69分、沈滞気味だった攻撃のリズムに変化をつけたのは、イグアインの投入によってCFからサイドへと”戻った”マンジュキッチだった。

 左サイドからやや中へ絞って対面のサイドバックを引きつけたのち、空いたスペースにアレックス・サンドロが上がったことを確認。そしてDFを背負ってゴールに背を向けたまま、ポジションを取って後方からパスを呼び込んだ。そしてジョルジョ・キエッリーニから縦パスが入ると、ダイレクトで左のスペースへと流した。

 それはアレックス・サンドロに向けた絶妙なスルーパスとなり、虚を突かれたオリンピアコスのDFラインに乱れができた。そのギャップをめがけてクロスが放たれ、目ざとく反応したのはイグアイン。シュートは一度DFに弾かれたものの、そのこぼれ球を拾って正確にシュートを流し込んだ。

 こうして先制し、相手が前に出ざるを得ない状態になれば追加点も決められる。80分、今度はイグアインが下がってパスを出し、動きが幾分自由になったディバラがエリア内を突破。柔らかいタッチでGKを超えたシュートはDFにクリアされるも、チャンスを信じてゴール前に詰めていたマンジュキッチの眼前にこぼれた。

 現時点では、サイドにマンジュキッチを置いたほうが連係は成り立つ。イグアインも出せば即座に点に絡んだ。だが、それを最初からやっておけば楽に戦えたのではないか、と考えるのは結果論にしても早計である。あくまで選手のコンディションが整わないからそうせざるを得なかったという事情があるのだ。「今月で6試合目。そうなれば疲れるのは当然のこと」とアッレグリは試合後の記者会見は語った。

 そしてアッレグリは「イグアインにも言ったことなのだが」と断ってこう続けた。

「彼はユーベにとって間違いなく重要。だがもし自分が本来の自分でないときは、他の選手が上に来る。ユーベのようなチームでは当然のことだ。今日は出てきてから、この1ヶ月半出来てなかったキレのあるプレーをやってくれた。彼はコンディションを上げてきている。そして、故障した他の選手も復帰して来る」

 選手のコンディションアップとともに、もっと良いサッカーが見せられるという確信を、指揮官は抱いている。

(文:神尾光臣【イタリア】)

text by 神尾光臣