会見前に異例の講義!? ハリルがデュエルの重要性を語る「ポゼッションが高ければ勝てるというのは真ではない」

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▽日本サッカー協会(JFA)は28日、来月初旬に行われるキリンチャレンジカップ2017の2試合に向けた日本代表メンバー24名を発表した。

▽日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、メンバー発表を行う前に異例となる講義を実施。昨夜行われたパリ・サンジェルマンvsバイエルンを引き合いに出し、デュエルの重要性について語った。さらに日本のサッカー独自のアイデンティティを築かなければいけないと強調して、自身のサッカーに関する見方を説明している。

◆ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(日本代表)

「私は日本に来てから、みなさんと話をしているし、指導者とも話をしている。そして、指導者の方からもメディアの方からもポゼッションという言葉を聞いている。日本のサッカーの教育はポゼッションをベースに作られていると感じていた。もちろん、点を取るためにはボールは必要だ。そして、ボールを持つことがポゼッションだが、相手よりボールを持ったところで勝てるとは限らない」

「ポゼッションが高ければ勝てるというのは真ではない。たくさんの指導者が日本にいるが、彼らはビジョンなどたくさんの見方をを伝えてきたと思う。例えばスペインのサッカー、オランダ、フランス、ブラジル、ドイツ、イングランド…それぞれの国に、それぞれの国にそれぞれのサッカーのアイデンティティがある。そして、何世紀もサッカーをプレーしている強豪と、現時点の日本では比較できない。日本ではサッカーは若いスポーツだ。しかし、サッカーは世界で一番人気のあるスポーツだ。日本でもより人気のあるスポーツになってもらいたい」
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「私のサッカーの見方をみなさんに伝えている。そして、1つの資料を作った。日本のサッカーのアイデンティティなるものを、選手たちの組織的、個人的、そしてメンタル、フィジカル、テクニカルの特徴を元に、日本のサッカーのアイデンティティが書いてある。そして、独自のアイデンティティを持たなくてはいけないが、モダンサッカーをベースにしなくてはいけない。そして、世界のサッカーの発展をしっかり見なくてはいけない。それぞれの国でサッカーが発展している。日本でも同じことをしなくてはいけない」

「よく覚えているが、アウェイでオーストラリアと対戦した時、私は守備面でほぼ完璧なプレーができたと思う。それはアウェイでアジアのチャンピオンと対戦した試合であり、チームのコンディションも良くなかった。それに合わせた戦術を選んだ。そして、選手たちはしっっかりと実行してくれた。あと少しで勝利を収められた試合だったかもしれない」

「しかし、それだけではなく、アジアチャンピオンが日本のゴールを脅かす試合が全くなかった。その試合でのポゼッションはオーストラリアの方が高かった。しかし、決定機を作れなかった。逆に我々は前半から決定機を作っていた。小林悠、浅野拓磨が決定機に絡んでいた。悠の場合は相手GKの素晴らしいセーブがあったが、そういったところで点を取っていれば勝てた試合だった。その試合後、日本に帰ってきたら多くの批判をされていた。それはポゼッション率が低かったから。私と批判している方のサッカーの見方は違うと感じる」

「そしてオーストラリアとの2戦目はまったく違う戦術を準備した。我々の今後の基準となる試合だったかもしれない。90分間しっかりとゲームをコントロールできた試合だった。高い位置でプレスをかけていたし、しっかりと引いて守ることも状況に合わせてしていた。そして、攻撃はスピードなど日本人の特徴を活かしたグラウンダーのパスを使った。日本人のフィジカル、テクニックに合わせた戦い方だった。非常に高い位置でプレーし、結果を残した」

「選手2人が重要な得点を奪ったことも嬉しかった。そういった意味でも、私の見解をみなさんに伝えたい。若い選手がそんなに信頼されていないのか、彼らが表現できていないのか、プレーする機会が少ない。私は私の考えで、そういった選手を使う。それで結果を残せなければ意味がない。しかし純粋に能力を見て、ベテラン選手より状態が良ければ、私はその時点で最も状態の良い選手を使うべきだと思う。もちろん全員が同意してくれるわけではないが、私はそう感じている」

「チャンピオンズリーグの話をしたいが、チャンピオンズリーグは、試合によってはワールドカップよりもレベルが高いかもしれない。私は監督として選手として参加したことがある。そして、常に観ている大会だ。私はパリ・サンジェルマンの監督として参加した。今とは違うチームだが同じチャンピオンズリーグだ。今のPSGはヨーロッパのビッグクラブでも最も大きなクラブの1つだ。昨夜、皆さんがこの試合をご覧になったかわからないが、非常に高いレベルの試合だった。パルク・デ・プランスでのバイエルンとの試合だった」
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「オールドチャンピオン対新たに出てきているチームという印象だった。この試合でのPSGのポゼッションは38%、ポゼッションではバイエルンが支配していた。パスの数も368対568、シュートもバイエルンの方が多い。コーナーキックも18本と4本でPSGの方が少ない。クロスも4対36だ」

「そしてここでPSGが上回ったのはデュエルの成功率だ。ここではPSGがバイエルンを上回っている。地上戦、空中戦、ともに重要になる。結果はPSGの決定率の高さもあり、3-0だった。ポゼッションのみでは全く意味がない。モダンサッカーでは、ゲームプラン、ゲームコントロールが大事になる。例えば引いてブロックを使って深い位置で守るというのも1つの形だ。ネイマール、カバーニなどの個人プレーがボールを奪った時に活かされる形だ。決定率も高かった」

「現代のサッカーでは、GKとストライカーの役割が非常に大きい。PSGのGKは偉業を成し遂げた。相手チームはそこまで効果的な守りができなかった。そういった意味でもモダンサッカーでは重要なポジションであることがわかる。日本のサッカーでもどの様にストライカーを育てるのか、GKを育てるのかを自問しなくてはいけない」
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「Jリーグでは外国人GKが7、8人いる。なぜそうなっているのかはわかるだろう。この件については西野さんとも話をしている。日本のサッカーではGKのところに力を入れている。能力はあると思っている。そしてストライカーのところも能力はあると思うが、しっかりとトレーニングをして選手それぞれを成長させなくてはいけない。そしていつの日か、偉大なGK、偉大なストライカーが生まれると思う」

「私の意見をお伝えしたくお話させていただいた。私の話が伝わっているかわからなかったので、伝えさせてもらった。デュエルについても、地上戦、空中戦どちらでも重要だった。昨夜のPSGとバイエルンの試合を観て、この試合を使いながら私の考えを伝えたかった。日本のサッカー独自のアイデンティティを築くべきだと思う。それは日本人選手の特徴を活かしたものにしなければならない」

「例えばネイマールがいれば違うという人がいるかもしれない。彼は天才であって、別枠で考えなければいけない。将来的にそういった選手が生まれるかもしれない。世界中、どこに行っても能力がある選手はいる。ただ、それをベースにトレーニングをしなければいけない」

「これがみなさんにとって興味深い話だったかわからないが、会見の前に伝えたかった。私にとっては興味深いものであり、不確実な化学だ。もしかしたら、もう一度対戦すればバイエルンが勝つかもしれない。私にとってはここ(デュエルの勝率)。ここが重要であり、ここで試合が変わる。そして最終的にサッカーでは結果のみが大事だ。結果が唯一の真実。話を聞いていただいてありがとうございました。この話が伝わったかわからないが、ありがとうございました」