PSG対バイエルン戦のスタッツで、モダンフットボールの潮流を説明したハリルホジッチ監督。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 9月28日の日本代表メンバー発表会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がまさかの“独演会”を見せた。
 
 10月6日のニュージーランド戦(豊田スタジアム)、同10日のハイチ戦(日産スタジアム)に向けたメンバーの名前に注目が集まる中、立ち上がった指揮官はこう語り始めたのだ。
 
「今回の会見を始める前に少し話をしたい。私は日本に来てから、様々な方と話をしています。その中で指導者の方からもメディアの方からも、ポゼッションという言葉を聞きます。日本のサッカーの教育は、ポゼッションをベースに考えられているのかと感じました。もちろん、得点を取るにはボールを保持しなければいけません。それがポゼッションですが、相手よりもボールを持ったからと言って、勝てるとは限りません。ですので、ポゼッションが高いから勝てるというのは真実ではありません」
 
 さらにハリルホジッチ監督は、「それぞれの国にアイデンティティーがある。スペイン、フランス、ブラジル、ドイツ、イングランドなどの伝統国と日本をまだ比較することはできないが、日本独自のアイデンティティーを作るために私の見方と見解を伝えていきたい」とは発言。そのうえで「モダンサッカーをベースにすべきだ。世界のサッカーも発展しているし、日本も同じことをしなければいけない」と強調し、アジア最終予選4節のオーストラリア戦(2016年10月11日/△1-1)の例を引き合いに出した。
 
「アウェーでオーストラリアと対戦した時、私は守備の面でほぼ完璧だと言えるゲームを見せたと思っています。チームはコンディションが良くなく、アウェーでのアジア・チャンピオンとの対戦だったので、それに合わせた戦術を選び、選手が実行してくれました。オーストラリアのほうがポゼッション率は上だったが、決定機はこちらのほうが多く、あと少しで勝利を収められた試合だった」
 
 ハリルホジッチ監督としては、置かれた環境でのベストゲームという自負があったのだろう。しかし、日本のメディアやファンの反応は真逆だったと嘆いた。
 
「しかし、日本に戻ってくると、たくさんの方に批判されていました。それは、ポゼッション率が低かったからです。そういう批判を聞くと、その方々とのサッカー観の違いを感じます」
 しかし指揮官は、オーストラリアとのホームゲーム(17年8月31日/アジア最終予選9節/○2-0)では、「まったく違う戦術を採用した」と告白した。
 
「今後の基準となる試合だったかもしれません。90分間、しっかりゲームコントロールができた。高い位置でのハイプレッシャーと、引いてブロックを作る形も状況に合わせて使いました。攻撃はスピードあるプレーをベースにして、日本人の特長を生かしたグラウンダーでのパス回しもありました。日本人のフィジカル、技術に合わせた戦い方です。非常に高いレベルでプレーでき、結果も残すことができたので、たくさんの方に喜んでいただきました」
 
 たしかに世界基準のモダンフットボールでは、スペイン代表とバルセロナが代表格だったポゼッション至上主義の時代が終焉を迎えて、ポゼッションとカウンターを融合させたインテンシティーの高い折衷型のスタイルが主流となりつつある。ハリルホジッチ監督がその象徴として挙げたのが、いまや世界最高レベルのコンペティションである欧州チャンピオンズ・リーグだ。
 
「チャンピオンズ・リーグは試合によって、ワールドカップよりもレベルが高い試合が見られます。私は選手としても監督としても経験しており、現在も常に見ている大会です」としたうえで、パリ・サンジェルマン(以下PSG)がバイエルンを3-0で下した現地時間9月27日の一戦を引き合いに出した。