自動車メーカーに小売り部門はなくディーラーは販売代理店

 街なかにある新車ディーラーは、メーカーと一定のエリア(各都道府県全域もしくは、都道府県内をいくつかのエリアに分ける)について、メーカーから新車を仕入れ、販売する専属契約を結ぶ、“販売代理店”とすると、その存在がわかりやすいだろう。

 ただトヨタ系ディーラーなどは、ひとつの県にふたつの同じチャンネル(トヨタ店、トヨペット店など)で資本の異なるディーラーが存在し、県内を三分割して、それぞれの専売地域と、お互いが店を出していい“併売地域”を設定しているケースもある。

 メーカーは新車の開発及び生産を行い、完成車両を専属契約を結ぶ系列ディーラーに卸売りをしている。ただディーラーは販売するメーカーのロゴを看板として掲げたり、“●●トヨタ”や、“●●日産”などという社名や屋号でもあり、メーカーの営業所や支店だと思い込んでいるひとも多い。

 あるセールスマンは「お客様とお話をしていると、『いいわよねえ、大企業は給料が良くて』などと冗談まじりに言われることがあります。メーカーの営業所みたいに思われているお客様は結構多いですよ」とのこと。

 またセールスマン側もこのようなお客の感覚を逆手にとって、「トヨタの●●です」などと、電話ではあいまいな挨拶をすることもあったが、さすがに今どきは、「消防署のほうからきました」的な話にもなるからとしているかどうかはわからないが、しっかり社名や屋号を伝えるようになっている。

 メーカーの直轄組織には自動車を小売りする部門はなく、各地で専属代理店契約を結び系列ディーラーが新車を小売りしている。ディーラーはメーカーとの資本関係がなく、地元の有力自動車工場や、自動車関連以外の地元有力企業、大地主などの“土地の名士”がオーナーとなり、新車ディーラーを展開しているのが一般的(“地場資本系”などと呼んでいる)。

 そして最近目だっているのが、メーカーと資本関係や人的交流のある、“メーカー直資系”とも呼ばれるディーラー。“メーカーの子会社的存在”といえばわかりやすいだろう。

 トヨタ系ディーラーは地場資本系が圧倒的に多く、ホンダやマツダなどではメーカー直資系ディーラーの存在感がここのところ目立ってきている。

スズキやダイハツには業販が多い

 スズキやダイハツは軽自動車を中心に“業販比率”が高いことで有名。“業販”とは、“業販店”と呼ばれる、各地のスズキやダイハツのメーカー系ディーラーと、販売協力関係を結んでいる。業販店とは、街なかの“●●モータース”などと呼ばれる自動車修理工場や、中古車販売店などからの紹介や委託販売を行っている業者のことを指す。

 スズキ系の正規販売ディーラーである“スズキ自販●●(●●は県名などの地名)”は、メーカーであるスズキの直営であり、店舗で直接小売り販売するセクションと、業販担当として、いわゆるルート営業するセクションとがある。メーカーであるスズキの社員が出向しており、スズキに入社すると、まず全国の直営ディーラーへ研修として配属されるとも聞いている。

 この業販店はスズキなど単一メーカー車だけではなく、ダイハツなど複数のメーカー系ディーラーと販売協力を結んでいる。そのため、月末で販売台数の締めが近くなると、各メーカー系ディーラーの業販担当者が業販店をまわり、ライバルメーカーの販売動向の探りを入れたりもしているようである。

 今までは、専属契約を結ぶディーラーは、各都道府県に少なくとも1社、都市部や北海道など広大なところなどでは、複数社が存在してきた。

 ただ今後は人口減少社会が進行し、自動車の保有台数すら減少傾向が顕著になるのではないかと言われている。そのため、新車販売だけでは満足な利益を出すことができなくなってきている現状もあり、それらが理由になっているかは定かではないが、マツダや三菱系のメーカー直資系ディーラーでは1ディーラーで、複数の都県をフォローするようになってきている。

 人口減少社会が、今後ディーラー再編を加速させていく要因となっていきそうだ。