『ちつのトリセツ 劣化はとまる』原田 純 径書房

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 女性同士でもなかなかしづらい「膣(ちつ)」の話。本書『ちつのトリセツ 劣化はとまる』は、他人にはちょっと聞きづらい「膣ケア」の必要性や方法について詳しく教えてくれる一冊です。

 本書の著者は原田純さんですが、指導・監修をしているのは「Be born 助産院・産後養生院」院長のたつのゆりこさん。たつのさんは看護師・助産師として大学病院などに勤務しながら東洋医学を学び、鍼灸師の資格を取得。その後、インドで世界三大伝統医学のひとつであるアーユルヴェーダを学び、これらの知識を生かしてこれまでに1000人以上の女性の出産介助や産前産後ケアをおこなってきました。

 そんなたつのさんが危機感を抱いているのが、「日本人女性の"産む力"が弱くなっている」ということ。お産のときにやわらかくなるはずの膣や会陰がいつまでたっても硬いままという女性が非常に多いのだそうです。

 「膣は無理なダイエットをしたり、冷え症だったり、長期間、挿入をともなうセックスをしていなかったり、40歳を過ぎて更年期が近づいたりすると、乾燥したり硬くなったりして、放っておけば、そのうち干からびてカチカチになってしまうのですが、きちんとケアすれば、それもかなり改善されます」(本書より)とたつのさんは話します。そして膣が冷たく硬くなると、生理痛、頭痛、肩こり、腰痛、痔、便秘、尿もれ、難産などの症状につながることも多いのだとか。

 年齢にかかわらず、出産するしないにかかわらず、セックスのパートナーがいるいないにかかわらず、膣ケアがすべての女性にとっていかに重要か、皆さんも少しずつ感じ取れてきたでしょうか? 本書に出てくる「世界では常識! 日本は、ちつケア後進国」とはなかなかショッキングな言葉ですが、このあたりで女性たちは真剣に自分の「膣」について考えてみてもよいのかもしれません。

 では、具体的にどのようにケアをすればよいのでしょうか。たつのさんが本書で教えてくれるのは、オイルケア入浴、会陰マッサージ、骨盤底筋体操の3つ。どれも丁寧に解説されているので初めての人でも問題なくおこなえそうです。会陰マッサージについては、妊婦さんであればすでにおなじみかとは思いますが、かなり念入りに時間をかけておこなう点に驚かされます。「膣のなかの状態を確認する」と書かれていますが、膣壁の状態や尿道や膀胱の位置、子宮口の位置などまで! 自分の体であれど「そんなところまで触って確認したことなんてなかった!」という女性も多いのではないでしょうか。

 このほか、アーユルヴェーダにもとづく「10の穴のケア」(目、鼻、口、耳は穴が二つずつ。口、尿道口、膣、肛門が一つずつで合計10個)が大事とし、膣ケア以外にもオイル耳栓や目、鼻などのオイルケア、呼吸法などについても紹介されています。

 日本の性文化の中で育った私たちにとって、膣の話というのはあまり積極的にしにくいという意識があります。「膣のケア」や「膣のトレーニング」と聞くと、なんだか下品に思える人もいるかもしれません。けれど実際は、膣は女性にとって大切な体の一部であり、それをケアすることはまったくいやらしいことではないのです。

 本書ではたつのさんの教えのもと、著者の原田さんがオイルケア入浴、会陰マッサージ、骨盤底筋体操などを実践していくのですが、体の不調が治っていくだけでなく、精神的にもポジティブな変化が見られるところが興味深く感じます。膣ケアを始めるかどうか悩む女性たちの背中を押してくれる、原田さんの体験レポート。こちらもぜひあわせて読んでみてください。