<94年に在韓米軍司令官がクリントン大統領に行った報告では死者は100万人とされたが、今ではその比ではない>

アメリカと北朝鮮が戦争をしたら、どのくらい人的被害が出るのか。通常兵器による戦闘でも、膨大な数の死者が出るのは確実だ。

戦争が始まれば、韓国と日本に駐留する米兵、さらにグアム、ハワイなど太平洋諸島にいる米兵と民間人ら、多くのアメリカ人が直接的な脅威に直面する。また、運用能力は万全ではないにせよ、北朝鮮は米本土を攻撃できるICBMを既に開発済みとの見方も強まっている。

94年に韓国駐留米軍の司令官がビル・クリントン大統領(当時)に行った報告によると、北朝鮮との戦争による死者は100万人、経済損失はおよそ1兆ドルに上ると試算されていた。当時より北朝鮮の軍事技術は当時より格段に進歩しており、戦争が起きたら人的・経済的損失はこの比ではない。

ただ、アメリカは北朝鮮の軍事能力を正確に把握できているわけではなく、確実な被害予測はむずかしい。米民主党の議員団は、ジェームズ・マティス米国防長官に予想される犠牲者数を早急に発表するよう求めている。

核戦争の確率は10%

「トランプ政権がアメリカを北朝鮮との暗く血みどろの不確実な戦争に引きずり込む前に、答えを知る権利がアメリカ人にはある」 民主党のテッド・リュー、ルーベン・ガレゴ両下院議員はマティス長官に宛てた26日付けの書簡でそう主張した。

ベテラン議員のリューとガレゴは北朝鮮に対する軍事力行使に反対しており、マティスに30日以内の回答を求めている。マティスに回答する用意があるのか、本誌は米国防総省に問い合わせたが、今のところ返事はない。

北朝鮮の核開発とミサイル実験をめぐり、ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)の挑発合戦はヒートアップしており、「宣戦布告」といった危険なレトリックまで飛び出している。トランプ政権は経済制裁など外交手段による状況打開を模索してきたが、事態はいっこうに動かない。

「第2の選択肢の準備は万端だ。望ましい選択肢ではないが、われわれがそれを選べば、壊滅的な事態になる。北朝鮮にとって壊滅的な事態だ」トランプは26日の記者会見でそう語った。「それは軍事オプションだ。必要とあらば、われわれはそれを選ぶ」

この状況では、通常兵器による米朝戦争が起こる確率はフィフティ・フィフティで、核戦争の確率は10%だと、元米海軍大将ジェームズ・スタブリディスは予想する。

ジョン・ハルティワンガー