制作発表会見に出席した中谷美紀

 女優の中谷美紀とミュージカル俳優の井上芳雄が28日、都内でおこなわれた、戯曲『黒蜥蜴』の制作発表会見に出席。舞台作品のオファーを受けた時の思いや、作品、役柄に対する印象等を語った。またこの日は、共演の相楽樹、朝海ひかる、成河と演出のデヴィッド・ルヴォーも登壇。中谷を始め出演者は、舞台のイメージをファッションショーのランウェイを用いて表現した。

 『黒蜥蜴』は、怪奇小説を世に送り出した江戸川乱歩の傑作の一つ、美貌の女盗賊“黒蜥蜴”と名探偵“明智小五郎”が繰り広げる耽美と闇の世界を、三島由紀夫が戯曲化した舞台作品。今回は主演の“黒蜥蜴”役を中谷、探偵“明智小五郎”役を井上、黒蜥蜴の部下“雨宮潤一”役を成河が演じる。

 また、その美貌ゆえに黒蜥蜴に誘拐される岩瀬早苗役に相楽、岩瀬家の家政婦・ひな役に朝海、宝石商・岩瀬庄兵衛役にたかお鷹らと、個性派俳優陣が名を連ねる。今回演出を手掛けるルヴォーは英国人演出家で、日本でも『テレーズ・ラカン』や『ナイン』、『ETERNAL CHIKAMATSU』など、数多くの作品を手掛けている。

ランウェイを歩く中谷美紀

「黒蜥蜴」の世界観をランウェイで表現した中谷美紀ら

 内心、舞台に立つことにいつも自信が持てないという中谷は、今回のオファーを受けた際に、嬉しさの反面、尻込みもしていたことを明かしながらも「でも実際にルヴォーさんにお目にかかってみると、本当に温かい眼差しで自信のなさというものを懐深く受け入れてくださって、何か新しい旅に誘っていただけるような気がして、自分の能力を顧みず、ついイエスと言ってしまいました」と出演に踏み切った経緯を振り返る。

 さらに中谷は未だに本番が嫌いで、稽古だけをして本番は別の女優に代わってもらいたいくらいと語りながら「それでもいいとルヴォーさんが言ってくださったので…ですよね? だからお稽古を存分に楽しみたいと思います」と悪戯ぽくルヴォーに冗談を投げかけると、ルヴォーは「ジュディ・ガーランドみたいだな!」と冗談っぽい言葉を優しく返し、笑いを誘っていた。

 井上はルヴォーとは5年ほど前にミュージカル『ルドルフ 〜ザ・ラスト・キス〜』で仕事を共にした間柄。「その時の経験がすごく鮮烈で忘れられなくて、ルヴォーに魔法に掛けられたような稽古・公演期間でした。それからもう一度魔法に掛けられたいと思い、再びその魔法に掛けられる時が来て、これは是が非でもやりたいと思って、逃す手はないと何とかこの仕事をやりたいと、しがみつくようにやらせていただきます」と今回の出演に対する思いを語る。

左からデヴィッド、相楽、中谷、井上、朝海、成河

 その一方で「一応ミュージカル界では『プリンス』と呼ばれて、王子様の役などを結構やってきたんですけど、もう38歳ですし、ルヴォーさんからも『もうお前はプリンスじゃないだろう? ハードボイルドな明智をやったらいい』と言っていただいたので、精いっぱいのハードボイルドを頑張りたいと思います」と冗談を交えながら今回の意気込みをコメントしていた。

 20年以上前、初めて日本に来た時に、三島由紀夫の世界に魅せられたというルヴォー。「日本に始めてきた当時は、この国は謎めいていたけど、三島という作家はそのとっかかりを作ってくれた。今まで出会った作家の中で、三島の様に夢を見るような作風を持っている作家に出会ったことはない。劇作家も、小説でも」とその出会いを振り返りながら、三島の作品に寄せる想いを明かす。

 この日は、舞台のイメージをファッションショーのランウェイを用いて表現。そのプランとして三島自身が興味を持っていた、演劇、ダンス、音楽などの要素を組み合わせて演出がおこなわれ、生演奏のバンドも登場するものとなっているという。【取材・撮影=桂 伸也】

左からデヴィッド、相楽、中谷、井上、朝海、成河 「黒蜥蜴」の世界観をランウェイで表現した中谷美紀ら ランウェイを歩く中谷美紀 ランウェイを歩く中谷美紀 ランウェイを歩く中谷美紀
制作発表会見に出席した中谷美紀