魚を食べるとうつ病の予防に

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「さかな・さかな・さかな〜、さかな〜を食べると〜、あたま・あたま・あたま〜、あたま〜が良くなる〜♪」――。こんな歌がひと昔前にはやったが、魚を多く食べる人はうつ病になりにくいという研究を国立がん研究センターと慶応大学のチームがまとめた。

青魚に多く含まれる「オメガ3脂肪酸」にうつ病の予防効果が考えられるという。世界初の発見で、米精神医学専門誌「Translational Psychiatry」(電子版)の2017年9月27日号に発表した。

魚油に含まれるEPAとDPAが脳に素晴らしい働き

国立がん研究センターの発表資料によると、研究チームは1990年に40〜59歳だった長野県南佐久郡の住民1181人を25年間追跡調査し、19種の魚介類の摂取量とうつ病発症リスクとの関係を調べた。魚介類は、サケ、マス、カツオ、マグロ、アジ、イワシ、ウナギ、イカ、タコ、アサリなどに加え、カマボコ、干物などの加工食品も入っている。調査期間中に95人(8.0%)が精神科医によってうつ病と診断された。

1日当たりの摂取量が多い順に4グループに分けると、最も少ない人々に比べ、2番目に多い人々は発症率が56%も低かった。最も多く摂取した人々の発症率は26%の低減にとどまり、必ずしも食べる量が多いほどリスクが下がるわけではなかった。これは発表資料によると、「魚介類を多く食べる人は野菜を食べる量も最も多い傾向があります。そして、魚や野菜をサラダ油で揚げたり、炒めたりして調理することが多くなります。サラダ油に含まれる不飽和脂肪酸には炎症を引き起こす弊害があり、魚介類が持つうつ病の予防効果が打ち消された可能性があります」と説明している。

また、魚介類に含まれる油(脂肪酸)の摂取量で比較すると、オメガ3脂肪酸に分類されるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサペンタエン酸(DPA)が多いと、発症率が最高で46〜58%も低くなることがわかった。

EPAやDPAには、血管の詰まりの原因となる血栓を溶かし血液をサラサラにする働きがあり、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化を予防する効果がある。うつ病予防にも効果があるのはどういう理由だろうか。研究チームは発表資料の中でこう説明している。

「オメガ3脂肪酸には炎症を抑えたり、免疫機能を調整したりする働きがあります。さらに脳に関しては、情報伝達に関わる成分を合成したり、脳神経の栄養になる物質を増やしたりするなど、脳の機能を保護する役割を果たしています。こうした多様な働きが、抗うつ効果を発揮していると考えられます」

ちなみに、もっともうつ病の予防効果が高かった魚介類の摂取量は、1日約110グラムだ。これは、小さめのアジなら1匹、イワシなら1匹半ほどに相当する。