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 コニカミノルタは7月6日、産業革新機構と共同で、10月に遺伝子検査でがんを診断する米アンブリー・ジェネティクスを買収することを発表していた。買収総額は8億ドル(発表時で約900億円)で、コニカミノルタグループが6割、産業革新機構が4割を出資する(コニカミノルタの負担は540億円となる)。この買収額はコニカミノルタとしては過去最大規模のもので、同社が重視するプレシジョン・メディシン(個別化医療)分野への挑戦の大きな一歩である。

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 プレシジョン・メディシンとは医療のオーダーメイドと表現する向きもあり、個々の患者に最適な治療方法を分析・選択し、それを施術することと要約される。アンブリー社は遺伝子診断企業として100万件以上の診断実績を持つ斯界の有力企業で、その技術とノウハウを生かした遺伝子診断などにより、患者の病気の特徴を把握して、最適な治療法を選択するプレシジョン・メディシンへの足掛かりとなる。

 またコニカミノルタは7月28日の日本経済新聞による報道で、10月に同社初の劣後ローンの導入に踏み切り1,000億円の調達を行うことが報じられた。M&A(合併・買収)など今後の成長投資に充てるのが目的で返済期限は60年だという。

 現在、格付投資情報センター(R&I)による、同社の発行体格付けは「シングルA」であるという。劣後ローンは通常の借入よりも金利が高い反面、他の借入と比較すると返済順位が低い(劣後する)ため、格付け会社からローンの一部を資本に算入して計上することが認められている。このため格付けを維持しやすくなるメリットがある。

 さらにコニカミノルタは9月25日、創薬支援の米インヴィクロ社を320億円で買収すると発表した。インヴィクロ社は2008年の設立で非上場ながら、創薬支援のための画像解析技術などを得意とする。前述のアンブリー社の買収資金540億円を加算すると合計860億円となり、劣後ローンが有効に活用されることになりそうだ。

 コニカミノルタは自社技術である「HSTT」(たんぱく質高感度定量検出技術=蛍光ナノ粒子でがん細胞に発現する特定の蛋白質の分布や量を分析することでがん患者の特徴に迫る)とアンブリー社の遺伝子診断技術とのシナジー効果を追求するとともに、「HSTT」とインヴィクロ社の技術を組合わせて製薬会社の新薬開発を支援し、開発期間の大幅な短縮を目指すとしている。

 コニカミノルタの山名昌衛CEOはこのプレシジョン・メディシン事業だけで「5年後には1,000億円の売り上げ、20%の利益率を狙う」と意気込みを語っており、患者(病院)向けと製薬企業向けの2大領域を想定している。

 日本企業の海外M&Aには派手な失敗事例が続いているが、コニカミノルタが買収目的を存分に達成し所期の成果を計上して、日本企業に漂う“海外M&A苦手意識”を払拭してもらいたいものである。