人事部が証言「女性管理職」の痛い勘違い

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性別を問わず、管理職に抜擢されればだれでも緊張するだろう。しかし、ベテランの人事部員に聞くと「女性管理職」のマネジメントの失敗には共通点があるという。多くの女性管理職と接してきた3人の男性人事部員が、匿名で体験談を証言する――。

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建設(建設関連会社 人事部長 50代)
人事歴20年以上のベテラン。最近は女性も積極的に採用。管理・設計部門だけではなく、あらゆる分野で女性の登用を推進。
食品(食品関連会社 人事部長 50代)
人事部門の責任者として女性の育児と仕事の両立支援策に積極的に取り組んできた。仕事に前向きで意欲的な女性は高く評価。
小売り(小売関連会社 人事課長 40代)
日本企業数社の人事業務を経験。人事の仕事は天職と、女性の活躍・登用策にも意欲的。女性マネジメント職の支援も積極的に実施。

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■さすがに部下を責めるのはいただけない

【建設】管理職になると気負いすぎて感情的になる人がいますよね。仕事に責任感を持つのはいいことなのですが、部下の失敗を見逃さず「筋が通っていない!」と言って責め立てる。やりすぎて出社拒否になった部下もいますよ。

【小売り】自分が実務に精通している分、自分がやったほうが早いし正確だという意識がある。つい、部下の粗さが目について口を出したくなるんでしょうね。

【食品】そう。プレイヤーとしては優秀なんだけど、それを意識しすぎて自分の価値観だけでマネジメントしてしまう人がいますね。時間に制約がある社員に、制約がない自分と同じようなノリで仕事を頼んじゃうとか。仕事のモチベーションは人によって違うし、勝負して勝つのが好きなタイプもいれば、相手に感謝してもらうのが好きだという人もいる。自分の価値観でメンバーを扱ってしまう女性がたまにいます。

【建設】いますねぇ。勝負好きの女性管理職の中には「あなたは負けて何で悔しくないの」と責める人がいるが、言われた本人は悔しいとは思っていない。

【食品】女性が少ないからこそ、マイノリティとして苦労してきたのだから、逆にいろんな価値観を持った人がいることをちゃんと認識し、いろんな仕事のやり方ができるようにマネジメントしてほしい。自分が上司にされてイヤだったことを部下にしないのが良いマネジャーですね。

【建設】なかには「私だって乗り越えてきたんだから、あなた甘いわよ」と言う年輩管理職もいる。あるいは「あなた男でしょう、しっかりしなさいよ」とも言ったりね。

【小売り】母親を経験した人は子どもを育てるという大事業を成し遂げた人。そうであれば多少わがままな社員がいても、男性よりは話が聞きやすい。その経験を生かしてどうすれば会社に貢献できるか考えてほしいですね。

■弱気が変に出てしまうと、逆に甘く見られるので注意してほしい

【建設】自分の意見が通らなかったり、上司から叱責(しっせき)を受けたりすると泣いてしまう女性管理職がいました。でも、泣きたくても部下の前では泣かないでほしい。泣きたくなったら屋上で泣きなさいと言っています。

【食品】泣こうと思って泣いているわけじゃないので、泣くなと止めるのはなかなか難しい。ウソ泣きはもってのほかですけどね。泣き落としなんて、ビジネス上のルール違反。真剣勝負をしないで、ただ甘えているだけ。

【食品】女性が少ない会社で管理職になると、どうしても周囲は「お手並み拝見」と斜めに見てしまう傾向がある。一生懸命にやっても女性だからと反発する男性部下もいて、1、2度の失敗で折れてしまう人もいます。どうせ周りも協力してくれないし、私がそこまでやることもないかと、弱気が変に出てしまうと逆に甘く見られるので注意してほしい。

【小売り】部下とどう対峙(たいじ)するかは重要ですね。僕は年下の女性上司に付いたことがありますが、その人は常に毅然(きぜん)としていて尊敬できる人だった。当時は子育て中で、時間にも制約があり、僕が助けたりすると、「これやっといたから」と仕事でお返ししてくれたことも。彼女は「借りをつくりたくない」と言っていた。また「時間が限られている以上、頭を使うしかないでしょ」というのがその人の口癖でしたが、本当によく計算し、効率的に働く人だったな。今でも思い出しては、感心させられることが多々ある。

【食品】子育て中の女性にとっては管理職のほうがラクだと思うね。保育園のお迎えがある日は絶対にミーティングを夕方に入れないだろうし、一般社員だと上の指示に逆らえない。早くえらくなったほうがいろんな意味で自由度が高くなるということを知っておいてほしいですね。

■女性の管理職に、男のようなやり方はしてほしくない

【建設】有能な女性管理職には母親の経験がある人が多いですよね。男の生態もよくわかっているので対処もうまい。後輩の子育て中の女性に対して「夫が手伝ってくれなかったから私も苦労したけど、こうやってがんばってみたら」と言えば説得力があるし、手の届きにくいところまで配慮してくれる。

【食品】一度時短勤務を経験した女性はムダなことを極力やりたくないし、つまらない会議なんかもやりたくないから生産性が高い。時間が限られているので段取りがうまいし、周りの部下も動きやすい。

【小売り】大事なのは管理職になったら何をどうやりたいのかを明確にすること。生き生きと仕事をしている人に共通するのは、自分のやりたいことがもともとあり、それをやるために役職が必要だったという点。それから、部下とのコミュニケーションではロジカルに話をする。よく感覚だけで話す女性がいますが、ゴールを意識したうえでその人の話を聞くなど、ロジカルなコミュニケーションスキルを学んでほしい。

【食品】女性は男性と違う独自性があるし、経験も違う。たくさんの男性の中にいることを、むしろ得だと思ったほうがいい。育児経験もこれまではデメリットになることが多かったかもしれないが、今は皆と違う新しいことを考えないといけない時代。女性が少ない職場であれば、それを逆にメリットだと考え、がんばってほしいですよね。 

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▼女性管理職がしがちな、失敗からの回避法
女性管理職は、つい気負いすぎる傾向があるよう。「女だから」とバカにされないように努力することは大切だが、逆に意識しすぎると周囲の反発を買うことに。女性ならではのしなやかさが、女性リーダーには必要だ。

1. 性差を意識しすぎない
2. 変に弱さを見せない
3. ロジカルなコミュニケーション力を身につける
4. 男性社会にいることをメリットと捉える

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(ジャーナリスト 溝上 憲文)