下痢止め薬は飲まない方がいい?食事は?――気になるギモンを専門医が解説

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どんなに健康な人でも一度は苦しんだことがあるであろう下痢。治るまでは美味しいものも食べられないし、出かけるのも億劫になってしまう。早く楽になりたいという思いで下痢止め薬に手を伸ばす人もいるだろうが、実はこの行為、体の回復を遅らせているのだそうだ。食事制限など、下痢のときの正しい対処法について医師に聞いてみた。

■下痢ってどんな状態?

青山内科クリニック院長で消化器内科医の青山伸郎先生によると、普通便では、含まれる水分の割合が75%ほどで、下痢便はより多い割合で水分が含まれる状態を指す。

「下痢は、(1)炎症=腸がただれて、水分を分泌したり、水分を吸収する力が低下した場合と、(2)機能異常=腸のぜん動が進み、便の通過が早くなって水分を吸収する時間が十分とれない場合に大別され、下痢状態では多くは排便回数が増えます」(青山先生)

下痢は急に発症し、長くても1〜2週間で改善する「急性下痢」が最も多くみられるという。

「食事など経口摂取による腸炎(刺激物、飲酒、過剰な水分)、感染性腸炎(細菌、ウイルス:感冒など)、薬剤性腸炎(抗生剤、消炎鎮痛剤など)といった、体の外から入ってくるものが原因です」(青山先生)

では、どのように対処したらよいのだろうか?

■下痢止め薬は飲んだ方がいい?それとも排出し切った方がいい?

「急性下痢の場合、体にとって好ましくない物が侵入した結果ですので、早く対外に排出させてしまうことが重要です。すなわち、下痢は、侵入物を除外するために体が反応している=『治療』なのです。したがって下痢止めは使用しない、または日常生活で支障がある際に最小限使用するようにとどめるべきです」(青山先生)

なんと、下痢止めを使用すると、その分回復が遅れてしまうのだそうだ。体にとって良くないものをできる限り早く排出すべきとのことだが、その間の食事はどうすればよいのだろうか。

「水分は失われていますので、脱水回避のため電解質入りの水分を経口的に十分補給することが重要です。しかし、無理に食事を再開すると腸に負担がかかって逆戻りすることがありますので、食事は徐々に戻してゆくことが重要です。極論すると、発症直後は一時的でも絶食にするのが効果的です」(青山先生)

その後は、最小限の液体カロリー補給が有効とのこと。脂肪は消化管運動を促進してしまうため、糖質中心にカロリー摂取できるものを選ぼう。

「つまり、下痢=水分や栄養が不足=早く口から入れて回復、ではなく、腸が回復するまで負担をかけないことが重要です。なお、液体カロリー補給でも口に入れると下痢する場合は、点滴でカロリーを入れることになりますが、点滴のカロリー補給は限界がありますので、重篤な場合は入院対応になります。なお、個々の原因により、抗生剤や整腸剤を投与する場合がありますが、大きな効果を期待できるものではありません」(青山先生)

まとめると、下痢になった場合は腸に負担をかけず、安静にしておくことが大事なようだ。

■下痢が止まらない場合は病院に

下痢の多くは自然治癒するが、1〜2週間経っても改善しない場合、「慢性下痢」を疑う必要があるとのこと。

「慢性下痢の原因として一番多いものは、機能異常である過敏性腸症候群(IBS)ですが、炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎、クローン病)や、大腸癌などの器質的異常、腸結核、など慢性に持続する感染性腸炎、さらには甲状腺機能亢進証など、他の内科疾患の随伴症状の場合があります」(青山先生)

原因不明の難病といわれるIBDをはじめ、慢性下痢は恐ろしい病気の可能性を含んでいるという。さらに、急性下痢でも下血を伴う場合、重篤な感染性腸炎など、急な処置が必要な場合がある。少しでもおかしいと思ったら、医療機関を受診しよう。

なお、「教えて!goo」では「あなたはお腹の調子が良くない時は何を食べていますか?」ということで皆さんの回答を募集中だ。

●専門家プロフィール:青山 伸郎
消化器内科医。神戸大学医学部卒業後、同大学病院で内科医、光学医学診療部(内視鏡部)部長を務め、2007年青山内科クリニックを開業。胃・大腸合わせて年間26,000件、開業9年で胃11,800件、大腸14,200件施行。内視鏡診断治療、ピロリ、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)治療を専門的に行い、炎症性腸疾患では県下では兵庫医科大学に次ぐ通院患者数。

(酒井理恵)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)