センチメータ級測位補強サービス(CLAS)概要(図:三菱発表資料より)

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 三菱電機は26日、準天頂衛星システムからのセンチメートル級測位補強サービスCLAS(Centimeter Level Augmentation Service)信号を用いた自動運転の実証実験を19日から高速道路で開始したと発表した。この世界初の画期的な内容の報道が1週間遅れたのも奇妙だが、実証実験を共同実施している関係機関からの発表もこれまでのところない。

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 日本版GPSは、米国のGPSと日本の準天頂衛星を活用した測位補強サービスであり、自動運転に必須のセンチメートル級の測位精度を誇る。この測位技術は国際競争力の源泉である一方、軍事的な脅威と考えることも可能であろう。すると、実証実験での守秘義務、実証実験技術の情報統制、日本近隣国の緊迫した国際情勢への情報統制などの憶測も成り立つ。

●衛星の準備状況

 センチメートル級の精度の位置情報を衛星から得るには、8機以上の衛星が見えることが必要である。米国のGPS衛星は地球全体に配置しており、概ね6機程度しか見られないため、測位誤差は数メートルに達する。

 そのため、日本上空で準天頂軌道の衛星3機と静止軌道の衛星1機を打ち上げ、準天頂軌道衛星3機とGPS衛星6機の計9機で測位する。今までに準天頂軌道衛星2機と静止軌道衛星1機の打ち上げに成功しており、10月10日に「みちびき4号機」を打ち上げる予定である。

●CLASとは

 CLASは、内閣府が整備する準天頂衛星システムから日本全国に無償で配信される高精度測位値を得るための測位補強情報である。CLASの運用開始は2018年4月から予定されており、現在は準天頂軌道衛星2機とGPS衛星を用いた試験期間中である。

 CLASは、測位精度を向上させるために、国土地理院が設置している電子基準点網を活用して衛星や地域毎の誤差を補正する測位補強情報を生成し、準天頂衛星経由で配信する。CLAS信号を受信できる高精度測位端末を使うことで、位置をセンチメータ級で把握する。

●三菱電機の実証実験のパートナーを推測

 三菱のプレスリリースのキーワードは、高精度測位端末、高精度3次元地図、高速道路での実証の3つである。昨年からのプレスリリースを参考に推測を試みる。

 高精度測位端末の受信モジュールは、スイスのu-blox社製であろう。それは、昨年10月のu-boxとの受信モジュールの共同開発発表、8月のボッシュ、Geo++、u-bloxとの高精度測位の合弁会社設立発表から推測する。u-boxの11日発表の最新のGSNNモジュールでの試験の可能性もあるが、実証試験には触れていない。

 高精度3次元地図も合弁会社がパートナーであろうか。昨年、ダイナミックマップ基盤企画を、地図・測量各社と自動車メーカーが共同出資して設立。この会社が3次元地図を活用する実験に絡むのは当然であろう。なお、合弁会社は欧州のデジタル地図大手ヒアとも提携して、グローバルな展開を図っている。

 では、高速道路での実証はどうであろうか。自動車メーカーが名前を伏せるとは思えない。高速移動時のCLAS信号の受信試験や3次元地図の作成確認であろうと推測する。

 ところが、ここに挙げたパートナーにとって、世界初のCLAS信号を用いた自動運転の実証実験で、名前を伏せる理由は少ない。謎は実証実験結果の発表の席で明かされるのであろうか。