ドイツのオークションに2008年に出品されていた不思議な薬箱が、海外のネット掲示板redditで話題になっています。

薬箱は本物の書籍を切り出して作られたもので、中に11個の小さな引き出しと小瓶が入っています。当時5200ユーロ(約7000ドル、約80万円)で落札されました。

hermann-historica-archiv.de

hermann-historica-archiv.de

小さな引き出しには植物の種類が書かれたラベルが貼られており、ラベルに書かれている植物は有毒物質を持つ植物ばかり。さらに、表紙裏にある骸骨(がいこつ)の絵がまがまがしさを強調しています。

そのため、コレクターたちの間やオークションカタログでも暗殺者の道具だったのではと予想され、「暗殺者のキャビネット」と呼ばれました。

すべての「毒」は薬でもあった

hermann-historica-archiv.de

ラベルに書かれている文字はそれぞれ植物あるいは成分名ですが、例えば次の4つについて見てみましょう。

●Hyoscyamus NIGER

幻覚症状が現れる効果を持つ。フルーツの共通成分で、ビールの風味にも使用されています。

●Papaver-Somnif

ポピーのこと。モルヒネの成分でもある。ぜん息や胃、視力の治療に使用されていました。

●Atropa Bella

ベラドンナとして知られている植物で、ローマ帝国の皇帝と妻たちはこの毒で殺されたという説があります。しかし、化粧品や医薬品としての長い歴史を持っています。

●Bryonia Alba

“Devil’s turnip”というツル科の植物で毒性を持ちますが、いっぽうで水腫の治療薬としても使用されていました。

こうしたキャビネットは当時、旅行時に持っていくことがあったそうです。旅先で体調を崩した時に使用していたのかもしれません。毒は一方で、薬にもなり得るということがあらためて分かります。

それにしてもこのキャビネット、とてもオシャレな道具箱にも見えるので、こんな小箱が欲しくなりますね。