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▶ シボレー・コルベット・スティングレー vs ジャガーE-タイプ vs トヨタ2000GT(1)

もくじ

ー お金で買える「速すぎるクルマ」
ー JDクラシックスが仕上げた試乗車
ー 信じられぬ柔軟性 思わず、うっとり
ー ジャガーE-タイプ S1 FHCのスペック

お金で買える「速すぎるクルマ」

ジャガーE-タイプの場合、筆者はとりわけクーペの方を選びたい。

ジャガーのボス、ウイリアム・ライオンズと、空力部門のマルコム・セイヤーが作り上げたボディラインは、一挙に優れた空力特性とセクシーなラインの両方を手に入れた。一目見れば単なるクーペだと認識しかねないが、実際に自らの目で見た際の、得も言われぬ優美さは1961年のジュネーブショーから実に53年が経った今でも全く色褪せることはない。

恐ろしくなめらかなスキンの下には、やはり名声に値するだけの技術を見て取れる。モダンなモノコック、ツインカムのストレート6、四輪が独立したサスペンションなどがその代表だ(挙げればきりがない)。

しかしデビュー当初の3.8ℓエンジンは、モス製の古典的なシンクロメッシュ無しの4速ギアが組み合わされていた(4.2ℓのジャガー・オリジナルのギアボックスが組み合わされたのは1964年のこと)。

もしかするとロードテスト用に特別なチューニングが施されていたのかも知れないけれど当時の0-100km/hタイムは7秒以下、最高速は241km/hと言うことになっている。

当時としては恐れ慄く数値であるということは言うまでもない。超高級車というよりもむしろ、お金で買える「速すぎるクルマ」だったと言うのが当時の人々の印象のようだ。

JDクラシックスが仕上げた試乗車

ジャガーに言わせれば「世界で最も先進的なスポーツカー」と言うことになる。かなり強気ではあるけれど、これに関して反論する余地はない。

「E-タイプが生身の女性ならば、恋に堕ちない男はいない」というのは、ある自動車雑誌が残したコメントである。その他にもロード&トラック誌は「この金額で、これほど優れた運動性能と、快適性を実現したクルマはほかにない」と褒め称えた。

とくに写真の63年式のE-タイプはやや特別で、JDクラシックスなるレストア集団(マジシャンと言っても過言ではない)のヘッドクオーターで徹底的に手が入れられた。

その結果、モダンな仕立てになったシートからは一般的なE-タイプからは考えられない雰囲気が滲んでいるし、クイックでスムーズなパワーアシスト付きステアリングのお陰でリラックスして操舵できる。

ほかにも大径ブレーキやレートが高められたサスペンション、ワイドタイヤ、5速ギアボックス(トヨタ製)などがこのクルマを特別なものにしている。

信じられぬ柔軟性 思わず、うっとり

オリジナルだと操舵にやや硬質な印象があるが、なめらかさを残しながらも扱いやすさが増している点には驚く。ただし下手にオリジナルの味をスポイルしているわけでは全くなく、確かに「あの時」の雰囲気が残っている。

タイトだが窮屈でないキャビンや、ダッシュボード上の慣れ親しんだメーターやトグルもそのままだ。全長がコルベットと同じであるにも関わらず、ジャガーの方が100mmほど幅が小さくも感じた。

E-タイプをE-タイプたらしめるのは素晴らしきXKエンジンだ。3.8ℓと排気量が小さくても、ツインカム6は信じられないくらいに柔軟で、低い回転域から限界点までコンマ1秒たりともつまづくような仕草は見せない。

正直なところ、最初はレヴカウンターの動きに追いつくのに必死だった。思わずうっとりとしてしまうほどの音色は、先駆者でもあるC-タイプやD-タイプを思い起こさせる。そう、ル・マンの栄光を!

2000GTに乗れば、トヨタがE-タイプを意識していたのは一目瞭然だ。

ジャガーE-タイプ S1 FHCのスペック

生産期間1961〜1968年
生産台数 15439台 
シャシー スチール 
エンジン DOHC6気筒3781cc 
エンジン配置 フロント縦置き 
駆動方式 後輪駆動 
最高出力 269ps/5500rpm 
最大トルク 35.9kg-m/4000rpm 
トランスミッション 4速マニュアル(1速ノンシンクロ) 
乾燥重量 1202kg 
0-97km/h加速 6.9秒 
最高速度 240km/h