グループステージでの対戦では、浦和を翻弄したオスカール(8番)。浦和にとっては抑えなければならないキーマンだ。写真:サッカーダイジェスト

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 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の準決勝第1レグ、上海上港浦和レッズの一戦は9月27日、中国・上海の上海体育場で日本時間の21時にキックオフされる。
 
 見どころはズバリ、上海上港の圧倒的な個の力に対し、浦和がいかに組織力で対抗できるかだろう。両チームはグループステージで同組となり、今季すでに二度対戦している。結果は、互いのホームで勝ちを分け合い1勝1敗の五分だ。

 
 3月15日の1戦目は、まざまざと上海上港のブラジル人トリオの凄さを見せつけられる試合となった。開始10分で阿部勇樹のクリアボールが相手選手に当たって入るアンラッキーな失点で先制を許すと、前線のオスカール、フッキ、エウケソンを軸に繰り出す波状攻撃に、後手に回る展開に。前半終了間際にはGK西川周作のパスミスから最後はエウケソンに流し込まれ2点のビハインドを負う。
 
 52分には圧巻のボディバランスと巧みな足技を駆使したフッキが浦和のディフェンス陣をごぼう抜き。最後は西川の股間を抜くシュートを決め3-0とリードを広げた。
 
 一方の浦和は、上海上港のペースが落ちた終盤に追い上げを見せた。73分にラファエル・シルバがペナルティエリア内で倒されPKを獲得。これをR・シルバ自ら決めて2点差とすると、85分にはCKからのこぼれ球を遠藤航が押し込み1点差に。さらに後半アディショナルタイムにはFKから森脇の惜しいヘディングシュートがあったが、3-2で上海上港に軍配が上がった。
 
 迎えた4月11日の埼玉での2戦目は、上海上港はフッキが欠場、浦和は興梠慎三が出場停止に。今回も上海上港のブラジル人アタッカーが脅威となったものの、浦和の粘りが際立った。
 
 浦和はこの試合、ズラタンとR・シルバの2トップでスタート。柏木陽介がトップ下に位置取る布陣を採用した。1戦目とは異なり、前半を抑え気味に戦った上海上港に対して、浦和は立ち上がりからボールを支配して相手ゴールを襲う。そして44分、青木の縦パスを起点にチャンスを広げると、ズラタンのポストプレーからR・シルバが決めて浦和が先制。1点をリードして前半を折り返す。
 
 しかし後半は上海上港が猛反撃に転じる。オスカール、エウケソンのブラジル人コンビが浦和の守備網を翻弄。上手さ、強さ、巧みな駆け引きをいかんなく発揮し、再三ゴールに迫る。
 
 この浦和の窮地を救ったのは守護神の西川だった。チームは、二度PKを献上するものの64分の最初のPKは西川が右手ではじき出し、75分の二度目のPKはオスカールに重圧がかかったのか、大きく枠を外れた。
 
 一方浦和もピンチを粘り強く凌ぎながらカウンターで決定的なチャンスを創出。結局、追加点はならなかったものの、見事なコンビネーションからR・シルバが挙げた1点を守り切り、勝利を飾っている。
 
 上海上港は今回の対戦でも3人のブラジル人アタッカーを前面に押し出し、彼らの個の能力を拠り所に、ホームの大声援の後押しも受けて攻勢に出るはずだ。ブラジル人トリオとともに攻撃の一翼を担う中国代表FWのウー・レイの存在も侮れない。
 
 アウェー戦に臨む浦和としては序盤、ある程度守備的な戦いを強いられるのはやむを得ないとしても、敵の背後を狙いカウンターをちらつかせながら、上手く相手の勢いをいなしたいところだ。
 
 システムは4-3-3を採用する上海上港に対し、浦和はグループステージ時の3バックではなく、ここ数試合の主戦システムとなっている4-1-4-1が濃厚か。前日会見で、「前回はオープンな展開になって個の力でやられたので、そういうところでの後ろのリスクマネジメントが大事」と遠藤が話した通り、コンパクトネスを意識した戦いで、相手のキーマンたちにクオリティの高いスキルを発揮できるスペースを与えてはならない。
 
 直近のJ1リーグ27節の鳥栖戦(△2-2)では、鳥栖の田川亨介に素早くスペースに飛び出され、寄せ切れないままにふたつのゴールを許した。上海上港を相手に同じような対応をとれば間違いなく致命傷になるだろう。
 
 一方で守備面では上海上港にも隙はあるはずだ。広州恒大との第2レグ(※●1-5/2戦合計5-5からのPK戦勝利)が示すように、局面での激しさはあるが連係面にさほど緻密さはなく、浦和が持ち味とするコンビネーションプレーがうまくハマれば、崩すことも十分に可能だろう。また上海上港は、GKとCBの2枚が出場停止とあって、守備面に不安を抱えているのは間違いない。
 
 第2レグを考えれば、アウェーゴールも狙っていきたいところだ。準々決勝・川崎戦の大逆転も第1レグのアウェーゴールがあればこそだった。強敵には違いないが、恐れることなく立ち向かっていきたい。