【ライターコラムfrom鳥栖】浦和戦、田川の鮮烈ゴールの裏には、小野裕二の絶妙な観察眼があった

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 明治安田生命J1リーグ第27節・浦和レッズ戦の開始1分足らずで豪快なゴールを決めたFW田川亨介。第6節・アルビレックス新潟戦で相手DFを振り切って見事な初ゴールを決めたが、観る者にその時以上の衝撃を与える鮮烈なゴールだった。実はこのゴールの裏には公式戦2カ月ぶりの出場となったFW小野裕二の計算されたパスがあった。

「いける(パスが通る)かなと思って適当に蹴った」と最初はおどけたように話してた小野だが詳しく聞くとこのような答えが返ってきた。

「(味方が)2人くらい前に走っていたのはわかっていましたし、相手DFの裏が空いているのも見えていました。ピッチもあまり滑らなかったし、水を撒いていないと思います。だから深めに蹴ってもボールが止まって、(走った選手が)追いつくと思いました。あとはシュートが素晴らしかったと思います」

 水が撒かれたピッチではロングパスがピッチで弾む際に滑ってその勢いが弱まらないことが多い。しかし、この試合では散水されておらず、ワンバウンドしたボールの勢いは弱まり、走り込む田川の足元にゆっくりとした弧を描きながら落ちて来て、ゴールへとつながった。足のケガで公式戦から2カ月も遠ざかっていれば試合勘が鈍るはずだが、それを感じさせない観察眼と状況判断で先制点を導いた。田川もこのパスを「相手のウィークポイントをわかってのプレーで流石です。いいパスでした」と絶賛した。

 鳥栖に加入後、小野はケガに泣かされてきた。そのため今は選手で一番早い練習開始の2時間前にクラブハウスに来て、入念にストレッチなどを行い再発防止に務めている。「これからは練習もそうですが、試合でどんどんコンディションを上げていきます」と力強く話した。

 当然、週末の第28節・鹿島アントラーズ戦へも「アウェイの対戦では先制しながら逆転負けしているので、ホームでしっかり勝ちたいです」と意気込む。さらにこの試合は、「満員のスタジアムを見たい」という小学生の夢からスタートしたブリジストンデーの12回目。クラブ、企業、地域が協力して試合を盛り上げていることに「自分たちにできることは試合に勝つこと。初めてサッカー観戦する人もいると思うので、また来てもらえるように、楽しかったと思って帰ってもらえるように、自分たちはプレーするだけです」と首位からの勝利を誓った。

 再び好パスでゴールを演出するのか、それとも自らゴールを決めるのか。戻って来た小野のプレーに注目だ。

文=荒木英喜