【ライターコラムfrom横浜FM】主将・齋藤の長期離脱が決定…前田直輝は自らの存在意義を示せるか

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 横浜F・マリノスでここまでリーグ戦全27試合にベンチ入りしているのは5選手のみ。フルタイム出場を継続中のDF中澤佑二とGK飯倉大樹の他に、全試合先発で確固たる地位を築いているMF天野純とチームトップの9得点を挙げている点取り屋FWウーゴ・ヴィエイラ。そして5人目がMF前田直輝である。

 先発はわずか6試合のみ。出場時間も570分と少なく、これはチームで数えて15番目である。それでもエリク・モンバエルツ監督は全試合で試合メンバー18人に前田の名前を入れ、定位置の右MFだけでなく、トップ下や1トップの位置でも起用してきた。「(前田)直輝は裏に抜ける動きができる」と一定の評価を与えているのだ。

 本人の希望はもちろん先発出場だろう。だが、そのためにはMF齋藤学とMFマルティノスという両翼の牙城を崩さなければならない。齋藤はここまで1得点と不本意な成績だが、攻撃のけん引車として8アシストを記録。打開力に優れるマルティノスは5得5アシストと攻撃に欠かせない存在だ。試合展開に関係なく、彼らを先発の座から引きずり落とすのは至難の業である。

 残すは7試合のみ。ここでアクシデントが起きた。9月23日の明治安田生命J1リーグ第27節・ヴァンフォーレ甲府戦で負傷交代した齋藤が右ひざ前十字じん帯損傷で全治8カ月の見込みと診断され、今季中の復帰は絶望的となった。

 チームメートのアクシデントによって得たチャンスだが、プロの世界は時に厳しいもの。前田は「(齋藤)学くんがパワーアップして帰ってきてもポジションがないくらい活躍したい」と素直に鼻息を荒くした。確実に増えるであろう出場機会に何をできるか、試されているとも言えるだろう。

 もちろん出場できると決まったわけではない。同じポジションには先日の甲府戦でデビュー戦ゴールを決めたMFイッペイ・シノヅカや19歳のMF遠藤渓太がいる。まずはポジション争いに勝たなければ出場機会は確保されない。

 今、背番号25は静かに燃えている。移籍2年目の終盤に到来した千載一遇のチャンスに、どんな足跡を残せるか。

「誰が先発出場するかは監督が決めることだけど、間違いなくチャンスがあるはず。その場面で自分に何ができるかが大事。どんな形だとしても試合に出場できるのは自分にとってチャンス」

 自身の真価が問われる時間が始まろうとしている。失うものは何もない。前田直輝は目の前の相手を抜き去り、左足でゴールを決めることで存在意義を示そうとしている。

文=藤井雅彦