彼らは、インド4大都市のひとつ、コルカタで花を売っている。

写真家Ken Hermannが、「ちょっと写真を撮らせてよ」とお願いすると、「その数分、逃したぶんの売り上げを払うならいいよ」と答えたそう。

この場所は、アジア最大のフラワーマーケットと呼ばれている「Mullick Ghat Flower Market」。たった数分でも、歩いていれば売れるのだろう。お客さんがごった返して、歩行が困難になってしまう時間帯もある模様。

彼らの文化において、「花」はとても重要なもの。神仏へのお供え、伝統的な儀式から、お祭りやカジュアルなパーティーまで、色とりどりの花が使われている。

ヒンドゥー教では、とくに「マリーゴールド」は縁起がいいとされているため、どんな場面でも欠かせない大切な存在だ。

混然とした灰色のなかに
優しさを宿す

このマーケットには、毎日2,000人の花売りがいるという。マリーゴールド以外にも、お祝いごと用なのか、ピンクや青の花束をもつ男性も。

ゴミの多い道ではあるけれど、彼らが花を広げたり、売り歩くことで、この場所は色とりどりに染まっていく。

コルカタは、マザーテレサが愛した街。貧困がひどく、病気の人や家のない人たちを助けるため、彼女は命が尽きるまでこの街の人々に寄り添い続けた。

当時建てられた施設は、今でも多くのボランティアスタッフによって運営が続いているけれど、未だ病気、餓死、麻薬、犯罪など、深刻な問題を数多く抱えている。人身売買や、誘拐などの被害者が集まるソナガチ区は、「最悪な風俗街」としても知られている。

悪臭を放つ地区が多いなかで、唯一とも言える“花の香りが充満する場所”をつくる彼らは、心にやすらぎをもたらす存在に思える。

Licensed material used with permission by Ken Hermann,(instagram)