中国の高速列車「復興号」(写真:時事通信フォト)

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 8月下旬、中国で開かれた展示会で驚きの発表があった。宇宙開発企業「中国航天科工集団公司」が、最大時速4000キロに達する「高速飛行列車」の実現に向けた研究を始めていると発表したのだ。現在、日本が開発するリニアモーターカーは最高時速600キロであり、時速4000キロは飛行機の4倍という未知のスピードだ。

 中国の高速鉄道といえば、2011年7月に死者40人、負傷者約200人を出した浙江省温州市の脱線事故が記憶に残る。しかも事故翌日に車両を地面に埋めて事故隠しをした経緯もあり、「中国に高速鉄道の開発は無理だ」と感じさせた。

 だが、今もそう思っているのは日本人だけかもしれない。『経済界』編集局長の関慎夫氏が指摘する。

「『高速飛行列車』は空気抵抗のない真空チューブ内をリニアモーターカーが走る『真空リニア』という特殊な方式が採用されています。米国なども開発を進めているのですが、中国はすでに200以上の特許を取得し、国内外で20を超える開発研究機構との共同開発プロジェクトを進行させている。実現が難しい技術ですが、中国がこの分野のトップランナーであることは間違いないでしょう」

 かつては中国の技術を見下していた欧米の見方も変わりつつある。英紙『デイリーメール』は「高速飛行列車」を華々しく紹介、唯一の懸念として「中に乗っている人間はその超高速に耐えられるのだろうか」と付け加えた。

“日本のお家芸”とされる技術が、いつの間にか中国に追い越されていた例は他にもある。中国製ロケットの打ち上げ成功率は、1990年以降でみると94.5%に達する。これは日本(91.4%)や米国(94.4%)を上回り、宇宙開発の先駆者であるロシア(95.2%)に迫る数字だ。

 航空産業でも、三菱航空機の「MRJ」が度重なるトラブルで納期を延長している間に、中国産の「C919」が試験飛行を開始。すでに570機の受注を決めてMRJ(447機)を抜き去った。

 スーパーコンピューターの性能を競うランキング(2017年)では、中国製が1位と2位に輝く一方、日本製は7位と8位。民主党政権時代、事業仕分けで蓮舫氏が「2位じゃダメなんですか」と言い放ってから8年で、差はここまで開いてしまった。

 科学技術を発展させるための研究開発分野でも中国がリードを広げつつある。文科省所管の科学技術振興機構の調査では、「コンピューター科学・数学」「化学」「材料科学」「工学」の4分野における論文で中国が世界一で、日本はいずれもトップ3に入らない。論文の“質”を示す被引用件数でも中国は世界2位で(1位は米国)、日本は10位だ。

 英国の教育専門誌が選ぶ世界大学ランキングの2016〜2017年度版でも、中国の清華大学は24位で東アジアのトップだったが、東大は34位だった。「技術大国」の名誉は中国に奪われつつある。

※週刊ポスト2017年10月6日号