左サイドで本領を発揮したレアル・マドリーのFWベイル【写真:Getty Images】

写真拡大 (全2枚)

スプリンターとパサーのための試合

 9月26日、UEFAチャンピオンズリーグ・グループステージ第2節が行われ、レアル・マドリーはドルトムントを相手に3-1で勝利。戦術分析記事で人気を博すスペイン・マルカ紙のエンリケ・オルテゴ氏は、ジダン監督率いるエル・ブランコについて、中盤での数的優位、ポジショニングでの優位性を生かして白星を勝ち取ったと評する。(文:エンリケ・オルテゴ【スペイン/マルカ】、翻訳・構成:江間慎一郎)

----------

【ドルトムント 1-3レアル・マドリー チャンピオンズリーグ(CL)グループステージ】

■得点者
18分 ベイル(レアル・マドリー)
49分 クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)
54分 オーバメヤン(ドルトムント)
79分 クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)

 ポデール・ア・ポデール(五分と五分)。前世紀の戦評家ならば、そう口にするだろう。つまり、今で言うところのイダ・イ・ブエルタ(往復、行ったり来たり)といった一戦。決まった支配者が存在せず、ボールが両方のペナルティーエリアを旅し、どちらかに到着したときにチャンスが生じる。

 果たせるかな、ボルシアにとってこの一戦の結果は重要なものであり、レアル・マドリーは最大限の要求を課されることになったが、決定機を決め切ってそれに応じている。

 だがドイツのチームは0-2とされてもあきらめることなく、マドリーは酸素を吸い込むことも時間を稼ぐこともできず。ケイラー・ナバスは苦しんだ。ジダンのチームは、遅かれ早かれもう1点を決めなければならなかった。

 マドリーにとって、決定力不足が恒久のものになるわけがなかった。この一戦では、ここ数試合と似たようなペナルティーエリアへの到達数、シュート数、チャンス数から3点を記録……その得点数を倍にすることもできただろうが。

 マドリーは自分たちの仕事に没頭し、多様なプレーを披露している。サイドからサイドへと長いパス回しを行うポジショナルプレーを実践したかと思えば、スペースを速さでもって駆け抜けて直線的にゴールを目指す。

 カウンターを好む点取り屋クリスティアーノ・ロナウド、ベイルはもちろんのこと、モドリッチ、クロース、イスコといったパサーにとっても、深い所にスルーパスを出すための地平が開けているために、おあつらえ向きの夜となった。

 後方で危険な場面があったとすれば、それはマドリーの欠陥ではなく、相手の美点に基づいたものとすべきだ。ボルシアの攻撃は多彩な手段を持ち合わせており、とりわけオーバメヤンは真に素晴らしいストライカーが有するすべての特徴を備えている。

人数、ポジショニング的に優位に立った中盤、理解し合うクリスティアーノとベイル

 試合開始から1時間は、マドリーが中盤における人数とポジショニングでの優位性を生かした。マドリーの中盤が4人であったのに対して、ボルシアが3人。マドリーはその状況を活用したわけだが、そこにはカルバハルのオーバーラップの効果も付随している。前半の彼は自チームが空けていた右サイドのスペースを使い、5人目の中盤の選手、もっと言えばほぼウィングとしてのプレーを見せていた。

 ボルシアのオランダ人指揮官はヴァイグル、ダフードの投入によってそうした状況の修正を図り、システムを1-4-3-3から1-3-4-3に変更している。そのシステムは中盤を均衡させることに役立ったが、しかしセンターバックが3人となったために後方にさらなるスペースを空けることになった。

 ジダンの1-4-4-2は、クリスティアーノとベイルを攻撃の要としている。彼らの動きは完全に自由。各々が各瞬間に、望む場所で姿を現した。二人はコンスタントにポジションを変えていたが、その動きは中央から左、左から中央に終始。右サイドはカルバハル、またはモドリッチが到着するために空けられていた。

 ベイルは今一度、本来のプレーサイドである左に位置すれば、最高の自分を引き出せると示した。そしてクリスティアーノは、ただひたすらにシュートを打っていた。相手のペナルティーエリア内を、私的な中庭として。

(文:エンリケ・オルテゴ【スペイン/マルカ】、翻訳・構成:江間慎一郎)

text by エンリケ・オルテゴ