ニューシングル「To Know You」をリリースするDo As Infinity (撮影=大西 基)

 伴 都美子(Vo.)と大渡 亮(Gt.&Vo.)による音楽グループのDo As Infinityが9月27日に、ニューシングル「To Know You」を発売する。今回サウンドプロデュースを務めたのは、前作「Alive / Iron Hornet」から引き続き澤野弘之氏。さらにミュージックビデオでは、クリエイティヴカンパニーNAKED Inc.のアート展『TOKYO ART CITY by NAKED』ともコラボレーション。今年デビュー18周年を迎えるDo As Infinityが更なる進化を続けていく事を予感させる。新曲は全英詞ながら、伴は「心から歌えている実感があります」と自身の想いとリンクしていると話す。7月に開催したメキシコやアルゼンチンなど4カ国を回る自身初の南米ツアーや台湾公演など海外での公演を経て、大渡は演奏にも自信が持てたと言い、活動18年を迎えたことをラジオ体操のスタンプカードに例え、「スタンプがまた1つ増えた感じ」とその充実感を示す。今回は新作の経緯と狙い、海外公演でのエピソード、さらにはこの18年を経ての今についてなど2人に話を聞いた。

心から歌えている実感

Do As Infinity 

――新作「To Know You」の手応えはいかがですか?

伴 都美子 澤野さんプロデュースとしては第2弾です。前作はダークな側面があったと思うので、「明るい曲が良い」という提案をさせて頂きました。自分が最近見たり聴いたりして「Do Asにはこういう雰囲気が合うんじゃないかな」というものを集めてスタッフやメンバーに見て貰い、澤野さんともやりとりしてスタートした感じです。曲が上がってきた時は良い曲だったので、単純に嬉しかったですね。

大渡 亮 伴ちゃんが持ってきてくれた「こういうテイストのサウンドを歌いたい。これはどうかな?」という資料が明確だったんです。YouTubeに転がっている様な物だったと思いますけど。それは予期せぬサウンドではあったのですが、意外と合うなと。「澤野さんだったら、こういう感じになるかもしれないね」と僕含め、スタッフ全員の方向性が定まった感じがありました。

 そのおかげで「次にどういうサウンドをまとってシングルを作るのか」という軸がしっかりしたので、全てが上手く回って満足しています。改めて、最初のビジョンがしっかりしていると、迷う事がないなと痛感しました。

 伴ちゃんが持ってきてくれたのは何曲かだったのですが、雰囲気やテンポがわかりやすかったです。聴かせてくれた曲はマイナー(暗い雰囲気の調性・曲調)だったんですけど、「これはメジャー(明るい雰囲気の調性・曲調)に変えられるな」と。こういう浮遊感のある曲はやってきた事なかったなと思っていたら、想像以上の物が澤野さんから上がってきました。

――前作の「Alive / Iron Hornet」は小説の様なプロットからイメージを膨らませたそうですが、今回はいかがでしょうか?

大渡 亮 今回はNAKEDさんとのコラボレーションの話がありましたので、前作とは作り方が多少異なりますが、プロットに寄り添う流れは続いています。

――というのも、今回のテーマである「東京」が前作もキーワードとして登場していたので。

大渡 亮 前作は「起こってほしくない未来の東京」、今回は「今を生きる2017年の東京」という様な感じですね。

伴 都美子 コラボレーションさせて頂いた、『TOKYO ART CITY by NAKED』のテーマが「東京」だったんです。会場にも都内の名所が登場します。渋谷も出てくるのですが、私達も渋谷で路上ライブをやっていた時期があるので、その経緯もあり、MVもその展示の中で撮影させて頂きました。作詞家さんとも、アイディアやキーワードを出し合いましたね。

(*TOKYO ART CITY by NAKED=東京ドームGallery AaMoで6月〜9月にかけて開催されていた、クリエイティヴカンパニーNAKED Inc.による“TOKYO”をテーマに、東京の巨大模型にプロジェクションマッピングなど最新テクノロジーを駆使し、都市の持つ魅力をアートとして表現する企画展)

――お二人の東京のイメージを教えてください。

大渡 亮 『TOKYO ART CITY by NAKED』に際してコメントしたのですが、年齢のせいなのかネガティブな事しか感じられていないんですよ(笑)。とても華やかに繁栄を謳歌している様に見えるけど、その裏側で異常気象だったり、雨が降らないと水が足りなくなる現実など。言いたくはないんですけど、それしか感じる事がないというか。でも、この取材では伴ちゃんが言ってくれる事が正しいです(笑)。

伴 都美子 (笑)。私は地方出身者なので、とにかく東京に「夢」とか「可能性が詰まった憧れの街」というイメージがあって、「いつか自分もそこに行きたい」と思っていました。それで熊本から飛行機に乗って上京したのが20年位前ですね。羽田空港に着いて、都心に入っていく時のレインボーブリッジやビル群の景色が凄く好きなんですよ。

 上京して月日が経って、同じ場所を通ってもやはり「あ、私はここで生きているんだ」と。自分の人生の半分以上を東京で過ごしていますが、その風景を見ると、当時の気持ちを思い出し、今でもポジティブな気持ちになれます。もちろん良い事ばかりではないですよ(笑)。皆必死で働いているし、競争は激しい。そのスピード感は田舎と違うから。そういうのはわかっていますけど、「To Know You」の歌詞の様に前向きになれるんです。

――歌詞は全編英語ですね。

伴 都美子 いやあ、私この歌詞は泣きそうになるくらい大好きです。ここまで気持ちを汲み取ってくださったというか、言葉たちが本当に素晴らしい。これが歌える事はラッキー、幸せです。英詞はデビュー当時から取り組んできた事ですけど、心から歌えている実感がありますね。

大渡亮 僕は洋楽を中心に聴いてきましたが、耳に食いついてくる様な感じ。作りながらチェックはさせてもらっていたのですが、凄く理解して頂けているなと。感銘を受けました。非の打ちどころがないです。

――MVの撮影はいかがでしたか?

伴 都美子 強力なタッグが組めたという実感はあります。『TOKYO ART CITY by NAKED』営業終了後の会場をお借りして撮影をしました。だから深夜ですね。撮影スタートが既に25時とかで、朝の8時くらいまで。

大渡 亮 久しぶりに長丁場でした。ライティングも監督さんがこだわってくれましたね。素人っぽい話ですけど、いくら機材が向上しても花火などは見たまま撮れないじゃないですか。今回もそういう感じになるのかなと思っていたんです(笑)。そうしたら仕上がりを見て、良い意味で裏切られました。自分が見たままのビビッドな感じでした。

デビュー時にはなかった充実感

伴 都美子

――「唯一の真実」は伴さんが作詞を担当されていますね。

伴 都美子 歌詞のテーマは「命の旅」です。出産を経て、育児をする中で「自分はどこから来たのか?」、「私はどういう人たちと繋がっているのか?」という疑問が生まれてきて。実は私、両親と暮らした事がなくて、叔母さんの家で育ったんですよ。なので色々と考える事がありました。出産したからか、あらゆる事にさらに敏感になっている気がします。

 この曲に関しても、澤野さんからデモが上がってきた時に凄く感動して最初のフレーズが浮かんできて。久しぶりに「書きたいな」という気持ちになったので、挙手して書かせて頂きました。

大渡 亮 伴ちゃんの方から、「音が3つだけの、3人でやっている感じの楽曲を」とリクエストがあって。要はドラムレスというか、アコースティックな感じをオーダーしました。なので、今回の2曲は伴ちゃん発案で全て動いたというか、かなりリードしてくれた感じで、全てが上手く行った感じがしました。やはり、2曲とも澤野さんの出来上がるスピード感が早かったです。

 ノリに乗っている感じというか、彼は凄い才能を持った人だと改めて感服しました。澤野さんとのコミュニケーションは、伴ちゃんも直接やりとりしていました。会社対会社で人を介するよりは、当事者同士が直でイメージを伝えられるので。

――前回や今回の様な第三者とのコラボレーションというのは、どんなお気持ちなのでしょうか?

大渡 亮 最初僕らは澤野さんの事を存じ上げなかったのですが、作品を聴かせて頂いたら共通点がたくさん見つかって「これは有りかもしれないな」と思えた。そういう意味では大きな風呂敷を広げて、出会いを待っていたいですね。

――CDのみ盤のボーナストラック「あいのうた[2 of Us]」はいかがでしょう?

大渡 亮 前回は「ハレルヤ」という曲をリアレンジしたものをCDのみ盤に収録して、評判が良かったんですよ。それで、今回は2年前に取り組んでいた『2 of Us』(既存曲をボーカルとギターのみでリアレンジして演奏したプロジェクト)を継承したものをやらないか、という話を頂いたんです。「まだやるの?」と思いましたが(笑)。

伴 都美子 『2 of Us』の形態でライブをやる機会は今もありますし、私たちの強みだとも思っています。

大渡 亮 僕が過去の物だと考えすぎてしまっていたのかも。結構な量の曲を短期集中で作ったので感覚を思い出すのが大変でした。「あれどうやってたっけな?」と。日々違う事をやり始めてしまうと、その時、凄く集中していた事を思い出せなくて、ちょっとネガティブに感じていたんです。でも、いざまたスタジオに入っておぼろげに弾き始めると、すぐ2年前の記憶が蘇ってきましたね。今回の「あいのうた[2 of Us]」、実は大満足なんです。原曲の良さを上手に『2 of Us』のアレンジに出来たなと。なかなか良い仕事だったと思っています。

伴 都美子 曲は他にも候補がありましたが、「あいのうた」はファン投票でも結構上位にいる曲でもあるので、これを選びました。

――今年はデビュー18周年となりますが、その心境も教えてください。

大渡 亮 ラジオ体操のスタンプカードがあるじゃないですか。あれが溜まってくると、凄く充実感が得られると思うんですよ。そういうコンプリートする感じの充実感というのがあります。何というか15年と18年って対して変わらない様な気もするんですけど、やっぱり今なら今の魅力があると思います。

 初期の僕らは正直、凄くフレッシュだったかもしれないけど、自分達の立ち位置すらもわからなかった。激流の中、いきなり川下りしていく様なイメージだったので。自分達のやっている事を楽しめなかったし、振り返る事もできなかった。1度解散した時にようやく振り返ったくらいですよ。でも、今は等身大の自分達で、年齢や置かれている状況を把握しながら充実感も得られています。だから「また1つスタンプが増えるな」という感じ。

伴 都美子 やっぱりここまでくると、もう1つの家族というか、ホームだと感じています。自分達がやってきた事を噛み締めながら、これからもやっていけたら良いなと。流行りに乗っているわけではなく、自分たちの音楽を作ってきたし、それはこれからもそうだろうし、「Do AsはDo Asを追及していく」という感じです。

大渡 亮 最近は親の影響で聴いているという若い方もいるんです。ありがたい限りです。どんどん親から影響を受けてもらいたい(笑)。親子連れでライブに来られる方もたまにいらっしゃって、嬉しいですね。

初の南米ツアー

大渡 亮

――先日、初の南米ツアー『Latin America Tour 2017』も終えられましたね。

大渡 亮 ずっと誘われていて、ようやく行けた感じです。僕も伴ちゃんもそうだし、スタッフもほとんど南米に行った事がなかったんですけど、エキサイティングでしたね。こんな地球の裏側で自分たちの事を待ってくれている人たちがいて、自分たちの出した音を楽しんでくれる人がいるという事にビックリしました。「え、こんなに曲知ってるの?」と。

伴 都美子 みんな自由に歌ってくれていました。本当に楽しかったです。

大渡_亮 丸々2週間行っていたのですが、帰って来てから南米ロスみたいになりましたね(笑)。時差ボケとともに治りましたけど。出演オファーは解散前からあったそうで、「何で来ないんだ」位の感じだったみたいです。本当に行けてよかった。

 南米の人は喜びに対して素直なんで、こちらとしてもやりやすいですよ。ともに楽しみやすいし、盛り上がりやすいし。

伴 都美子 日本人気質ってあるよね。「歌ってー!」と呼びかけても、シャイであったり。でも向こうは「うおー!」と歌ってくれる。そういう違いは確かに感じました。

――南米で観光はできましたか?

大渡 亮 ラテンアメリカで共通しているのは、ギョーザの大きい奴みたいな「エンパナーダ」という食べ物をおやつ代わりによく食べている事。どの国にもありましたね。それが凄く美味しくて、知らない食べ物だったので勉強になりました。本場の料理を食べて、日本の料理の美味しさも再確認しました。僕らは“だしの文化”なので、立体的に味わうのが日本人の感覚なんだなと。

伴 都美子 どの国もそれぞれ良かったですけど、まさか自分の人生でチリまで行くとは思いませんでした(笑)。各会場でMeet&Greetという握手会や撮影会の様なイベントをおこなって。その時に泣いている方がいて、ちょっと色々考えちゃって。もらい泣きしそうになりましたね。

大渡 亮 グーグルマップで自分達の現在地点を見た時「なんて所に来たんだ!」と実感しました。

伴都美子 あとはUber(自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリ)が日本にもっと入ってこないかなと感じました。

大渡 亮 僕らの現地での移動はほとんどUberでした。どの国も。

――アニメのイベントにも出演されたそうですね。

伴 都美子 やっぱり日本のアニメは凄いのだなと感じました。

大渡 亮 それは感じたね。

13年前の雪辱を晴らした海外公演

伴 都美子

――台湾公演はいかがでしたか?

大渡 亮 去年の秋、台湾のフェスに出演した際に「ワンマンできるんじゃないか」と現地スタッフの声があり実現しました。本当に石垣島の隣なんですよ。でも、フルで公演をおこなったのは初めてだったので、皆さんの純粋な笑顔を見て「本当に楽しんでくれているな」と感じました。アンコールの時は、お客さんの1人がリーダーになって、デビュー曲「Tangerine Dream」をアカペラで歌って僕らを呼んでくれたんです。

伴 都美子 後から聴いた話だと、歌詞の書かれた紙を用意して配ってくれたみたいです。

大渡_亮 それから出ていって、急遽「Tangerine Dream」を2人でやりました。その後アンコールの演奏を終えて楽屋に戻ったんですけど、それでもアンコールが鳴りやまないんですよ。
伴 都美子 「これは何かやらないと」と。それで2人で「遠雷」(2001年)をやりました。

大渡 亮 凄く楽しんで頂けた様で、胸いっぱいで帰ってきました。日本はもっと「アジアの国の一部だ」という考えがあって良いと思うんです。やっぱり高度経済成長で西側諸国ばかりを見てきて「君らとは違う」みたいな意識があった様な気がするんです。行ってみたらインターネットも発達していて、どの国も全然変わりませんよ。もちろん、貧富の差はあるかもしれませんけど、アジア諸国の経済発展は日本の比じゃない。目線を同じにして、ユナイトしないといけないなと強く感じますね。だから仲間が呼んでくれて、そこに行くのは必然であるし、当然の事だと思います。

伴 都美子 仲間と言えば、ジャカルタで出演したフェスは『NAKAMA Festival 2017』というイベントです。ジャカルタにも「Do As Indonesia」という非公式ファンクラブがあるくらいファンの方が沢山いらっしゃるようです。

――今後も海外展開は精力的にされていくのでしょうか?

大渡 亮 そうですね。周りが海外に出ていっているのに自分達が出ることができない現状に随分ジレンマを感じていたので、今は願ったり叶ったりです。ちょっと前だとそれはできなかった。自分達を限定しない活動ができているので、これを継続してやっていけたら思っています。

 あとは、限度ある機材の中で自分たちのパフォーマンスをする事が出来たという自信が付きました。スキルがなければ、もっと道具を沢山持っていかないといけないとか、サポートしてくれるスタッフ大勢で行かなければいけなかったりする。だから、必要最低限の荷物と人員で自分達のフルショウが出来る、という自信。これは国内での活動にも良いフィードバックが出来ると思うんですよ。そういう実感があります。

伴 都美子 アクシデントが起きても動じないし、対応できる。自己責任です(笑)。

大渡_亮 それぞれのセクションがしっかりしていれば、そういう事が出来るという18年目ならではの強みですね。昨日や今日デビューしたバンドには、多分出来ないんじゃないですか(笑)。

――海外の機材環境というのはいかがでしょうか?

大渡 亮 一緒です。あまり変わらない。こちらから前持ってオーダーしておくのですが、それっぽいものがあれば、何でも良いというスタンスですね。エンターテインメントで使うギターのアンプは大体わかるので、何が来ても大丈夫な様に準備しています。

――海外でのコミュニケーションについて、何か感じた事はありましたか?

伴 都美子 英語は喋れるに越した事はないですね。

大渡_亮 南米4カ国で、思ったよりも英語を喋る国、思ったよりも英語を喋らない国というのがありました。アルゼンチンはほとんど英語でしたね。チリも英語が結構多かった。メキシコはホテルの人以外は誰も英語は喋らず、スペイン語でした。

伴 都美子 コミュニケーションは意気込みだと思います。「伝えたい」、「話したい」という気持ち。おとなしくしていたら現地の人とはいつまで経っても距離は縮まらないので。

大渡 亮

大渡 亮 MCはかなり現地通訳の人と積極的に打ち合わせていました。伴ちゃんがしっかり勉強してくれていたおかげで、ライブが上手く転がって凄く助かりました。スペイン語もちゃんと学習していましたよ。中国語もね。結構ネタを持っていて(笑)。

伴 都美子 以前アメリカでライブした時(2004年)の後悔の念があるんです。「あの時こうしとけばよかった」という。当時は、実感や自信も少なくて戸惑いの方が大きかった。だから、今回はその時の雪辱を晴らすじゃないけど、ちゃんと準備して積極的に取り組みました。

大渡 亮 バンドのボーカリストとして頼もしかったです。

――では、最後に読者にメッセージをお願いします。

伴 都美子 手応えのあるシングルが出来ました。楽しんで頂ければ幸いです。

大渡 亮 とにかく曲が良いので、楽しめる事請け合いです。新たな僕たちのサウンドを是非チェックしてみてください。

【取材=小池直也/撮影=大西 基】

ニューシングル「To Know You」をリリースするDo As Infinity (撮影=大西 基) Do As Infinity  伴 都美子 大渡 亮 伴 都美子
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