80〜90年代の日本車からグッドデザインを振り返るシリーズ。第13回は、後のプリメーラの原型となる、先進の超合理的小型セダンとハッチバックに太鼓判です。

1981年、日産の小型ファミリーカー3兄弟、スタンザ、オースター、バイオレットが2代目に移行。本格FF小型車として、ネジ以外はすべて新設計という世界戦略の中、もっともスポーティに仕立てられたのがオースターJXです。

左右を絞ったフロントとハイデッキのリアが先進的なボディは、当時トップクラスの空力を誇るもの。FFらしく、広大な室内空間を実現したビッグキャビンとのバランスも絶妙です。

厚みを持たせたフロントグリルは、3兄弟で唯一モールを廃したシンプルな表情。コーナーランプ一体の異形大型ライトとのマッチングもよく、3兄弟の中でオースターがオリジナルデザインであったことを物語ります。

バンバーに施された塗装やAピラー、3ドアのリアハッチなど、随所をブラックで引き締めることでスポーティさを演出。トレイタイプのインパネやグラデーション処理のシートとともに「FFグランツーリスモ」を具現します。

デザインチームは、FFの合理性を最優先に表面的な「スタイリング」は行わないことを標榜。空力とパッケージを磨き上げる姿勢は非常に先進的で、910ブルーバードがヒットする当時には、あまりに早すぎる登場でした。

しかし、その遺伝子は10年後に名作プリメーラとして開花するなど、日産が時折見せる欧州タッチの秀作たちにしっかりと引き継がれたのです。

●主要諸元 日産オースターJX 4ドアセダン 1800GT-EX(5MT)
型式 E-PT11
全長4405mm×全幅1665mm×全高1385mm
車両重量 970kg
ホイールベース 2470mm
エンジン 1809cc 4気筒OHC
出力 110ps/5600rpm 16.5kg-m/3600rpm

(すぎもと たかよし)

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