『微霊感体質まちこ』灯まちこ 1000円(税別)KADOKAWA

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「絶対にいる」とはいえないけれど、微妙に感じるなにかの存在……。読んでいるとぞわぞわと鳥肌が立ってくる実話ホラーコミックエッセイ『微霊感体質まちこ』。実際に体験したあれこれをマンガにして大反響を呼んでいます。著者の微霊感体質の持ち主、灯まちこさんにお話を伺いました。

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――第2回新コミックエッセイプチ大賞を受賞され、『微霊感体質まちこ』で単行本デビューされましたが、そもそも、コミックエッセイを描こうと思ったきっかけを教えいただけますか?

元々コミックエッセイが好きで、特にたかぎなおこさんのファンで、このジャンルに興味がありました。ずっと読む専門だったのですが、親しい人達に話していた「微妙に不思議な体験」をマンガで読んでみたいと言われ、ちょうどその時、賞の募集記事を拝見し、ダメ元で応募しました。

――一歩踏み出されたことで、コミックエッセイ作家への道が拓かれたのですね! おめでとうございます! 読者からはどんな反響が届いていますか? ご家族や周囲の反応も教えてください。

読者の皆様からは「実は自分も似たような体験をしたことがあります!」というお声を沢山いただきました。内容が内容なので、自分の胸の中にしまっておく方が多いようです。「ホラーに興味はあるが苦手なので今まで見られなかったけれど、これくらいの話なら読める」とおっしゃってくださる読者の方達もいらっしゃいました。

家族や友人達からは特に反応はありません(笑)。見てくれてはいるようなのですが、元々話したことがある内容なので……。でもマンガの方がわかりやすいとは言われました。

――『微霊感体質まちこ』は怖いけれど誰でも読める絶妙な面白さだと思います。初の書籍制作で印象に残っている部分や、読みどころ、大変だった点などがあれば教えてください。

特に読んで頂きたいのは、自分の体験談ではなく友人マリリン(仮)の体験談です。私にとっては未知の世界である「生霊」の話が印象に残っています。

大変だったのは母の実家の話と黒い影の話でしょうか。どちらも書籍描き下ろしなのですが、うまくまとめるのに苦労した記憶があります。特に母の実家の話は詳細には描けない部分もあり、かといってあまりにも内容を伏せてしまうと意味が分からなくなってしまうので、どこまで描いて大丈夫か悩みました。

あとは描き下ろし原稿を描く期間が結構短かったので、そこが一番大変でした(笑)。

――本の中で、たくさんの微霊感体験が紹介されています。特に思い出深いエピソードはどれですか?

自分の体験では、やはり「黒い影」と「母の実家」の話でしょうか。黒い影の体験はここ数年内の体験なので記憶も鮮明ですし、今までで一番恐怖を感じた体験でした。引き声での呟きは本当に怖かったです……!

母の実家の話は、不可解な出来事に対する恐怖や生きている人間に対する恐怖、物悲しさなど色んな感情がこみ上げてくる体験でした。「首を絞めてくる女」を描いている時は、亡くなった祖母のことを思い出して何度も泣いてしまいました。

――お祖母様のお話、泣けました。こういうあたたかい不思議は怖くないですよね。灯さんが怖いことを避けるためにやっていることがあれば教えてください。

やっていることは特にないのですが、昔から父に「遊び半分で心霊スポットに行ったりこっくりさんなどをやったりするな」と言われていたので、小学生の頃にそれらが流行った時も絶対に参加しませんでしたし、心霊スポットに肝試しと称して行ったこともありません。

興味がないと言ったら嘘になりますが、もし本当に「霊」というものがいるとして、彼らの場所を土足で踏み荒らすような真似をするのは失礼だと思うので多分今後も行かないと思います。仕事ならば話は別ですが……(笑)。でももしそういう機会が今後いただけたとしても、ふざけ半分で行くのだけはやめようと思っています。

――目に見えないことを絵にされるのは大変だったのではと思います。特にうまく表現できた、と思うエピソードやシーンがあれば、教えてください。

私の場合、はっきりとその姿を見たという経験はないので(影などは省きますが)ほとんどがイメージ画なんですが、一番うまく表現できたかなと思うのは、友人Yと一緒に内見しに行った時の話です。

鮮明におじいさんが寂しそうに背を向けている姿が頭の中に浮かんだのですが、そのシーンは自分では上手く表現できたんじゃないかなあと思っています。

――この本を通じて、読者に伝えたいことはなんですか?

私と同じような「はっきりと霊感がある」とは言えない、でも科学的に説明できるような内容ではないという体験をされてる方々に共感していただけたら嬉しいなあと思います。こういう体験をまったくしたことがない方には、「へー、こんなこともあるんだ」と読み物として楽しんでいただけたら幸いです。

――最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いいたします。

最初は「はっきりと証明できない体験」を公の場で公表することが怖くもありました。しかし、多くの方に共感や応援のメッセージをいただくことができ、とても心強く思いました。

とはいえ、「私の体験は絶対に心霊的なものだ」とは思っていません。けれど、科学では証明ができない事もきっと沢山あるのだろうと思っています。色んな可能性を感じられたらなあ、そう思います。そんなあやふやで曖昧なお話ではありますが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

そして、書籍化していただけたのはひとえに読者の皆様のおかげです。

心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました!

(構成/波多野公美)