生活保護の29歳女性が卵巣がんに…足りない生活費は体を売って補う日々

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「奨学金を借りないと大学に行けない」「仕事は非正規」「お金がないからずっと実家に住んでいる」――こういった状況を、あなたは“普通”だと思うだろうか? 若者の貧困化が叫ばれて久しいなか、当事者たちが頻繁に口にする「自分が貧困だとは思わなかった」という声。我々は一体、彼らの状況をどれだけ理解できているのか。ここではあるエピソードを紹介しよう。

◆生活保護受給中にがんが発覚。足りない生活費を売春に頼る

 10代の頃から水商売を転々としてきた黒田沙紀さん(仮名・29歳)は、摂食障害で働けなくなり、4年前から生活保護を受けている。とはいえ、ずっと保護にすがるつもりはなく、体調と相談しつつスナック勤務も始めていた。そんな矢先、彼女はがんであることが判明する。

「かかりつけの病院で診断を受けたら、卵巣がんのステージ1だと。それで3か月後には手術をすることになったんです」

 そのことを、妻を同じ卵巣がんで亡くしたスナックの客に話すと「ダメだ。一刻も早く手術したほうがいい」と断言されたという。そこで、もう一度診察を受けようと別の病院を訪ねた。だが、そこでは生活保護受給者の決まりで、診断を受けられなかったという。

「実は、生活保護受給者には同じ病気でセカンドオピニオンを求めることが許されていないんです。それでガン患者の相談を受けるNPO法人を訪ねて、違う病名で紹介状を書いてもらう方法を知りました。そうして再度向かった病院で出された答えは、即手術。子宮全摘出でした」

 すぐに手術チームが編成され、無事に手術を終えた彼女だが、それで万事解決ではない。

「それから約1年、再発に怯えながら抗がん剤治療の日々です。ただ、私は癌保険にも入っていなかったし、もし生活保護の受給がなければ、最低でも数百万円の借金を負うことになる。そう考えるとまだついていたのかも」

 抗がん剤の副作用で髪はすべて抜け、退院後にスナックで働くことができなくなった黒田さん。今は生活保護だけでは足りない生活費を援助交際で補っているそうだ。

「髪のないコとしたいと思う男はまずいません。だからこの髪、エクステなんですよ。稼いだお金も結局ほとんどエクステ代に消えてしまう。一体、何のためにこんな生活を送っているんでしょうね」

※9/26発売の週刊SPA!『[若者の貧困]どん底ルポ』特集より
<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>