あなたは3月1日からスタートダッシュできますか?(写真:msv / PIXTA)

2019年卒向けの企業の採用情報公開日は、2018年3月1日です。就職活動のスタートまであと半年を切りました。大学3年生の皆さん、就活への備えは始めていますか?

「3月になったら始めればいいんでしょ?」と構えている人は、ハードな就活を余儀なくされる可能性があります。「備えあれば憂いなし」は就活にも当てはまり、首尾よく進めるためには、本番開始の3月までの準備が肝心です。

3月解禁と同時に来る“クライマックス”


2018年卒業予定者の就職内定率は、かなりの高水準で推移していますが、これはあくまで平均の話。たとえば関西のある大学では、8月初旬時点で就活真っ盛りの学生が大半です。まだ一度も内定を得たことがない人も相当数いるということです。

そのほかの大学も含めて、さらに詳しく話を聞いていくと、「3月から流れに乗れた学生」と「乗れなかった学生」の違いが大きい、という実態が見えてきました。

2018年卒学生向けの採用活動スケジュールは、「採用情報公開が3月1日、面接選考解禁が6月1日」。企業にとっての採用広報期間は3カ月と限られていました。

その中で、より自社にふさわしい人材を確保するため、各企業が少しでも早く行動しようとした結果、会社説明会は3月上旬に集中し、エントリーシート(ES)の提出締め切りは3月末日がピークに。そして4月に適性検査の実施が相次ぐなど、「3〜4月」にさまざまな活動が集中したのです。

「3月に入ってから就活準備をしよう」と考えていた先輩たちは、自己分析も企業研究も不十分なまま、突然、さまざまな活動にのまれてしまい、流れに乗りづらかったことでしょう。

2019年卒に当たる現大学3年生の皆さんも、「3〜6月」のガイドラインが踏襲されることは決まっています。先輩たちと同様、3月から「全力疾走」になる可能性が高い。つまり、それまでにしっかりと「準備運動」できるかがカギになるのです。

今から準備運動を始めておけば、やみくもに焦る必要はありません。そろそろ「自分を知る」「企業を知る」に着手してみてはいかがでしょうか。

「自分を知る」:自己分析をして、自身を自分の言葉で表現し、いろいろな人に話し、「何度も練り直す」。練り直した回数が多ければ多いほど、魅力的な自己PRを作り上げることができる。

「企業を知る」:知らないことをやりたいとは思えない。世の中にどんな事業や仕事、働き方があるのかをまず知る必要があります。そして自分が好き、嫌い、大事に思っていることなど、就活の軸を自覚するために、複数の企業を「比較する」ことをお勧めします。比べることにより、自分の中での優先順位が明らかになります。

その自己PRに「再現性」はあるか?

まずは「自分を知る」。自分を知り、それを人に伝える行為が自己PRです。それを考える際に注意すべきことは、内容に「再現性」があるか。つまり、企業に「入社後、自身の魅力や強みを活かして活躍してくれそうだ」と思ってもらえるかです。

たとえば、「高校3年間、1日も休まず毎日3時間、バスケットボールの練習をし続けました。だから自分は継続力があります」などは典型的なPRです。しかし、残念ながら、これでは「再現性」を感じるには不十分。企業は「好きだから続けられたのであって、好きではない仕事で継続力が発揮できるのか?」という疑問を持ちます。

意識するのは、いつ、何をモチベーションに、その「強み(=継続力)」を発揮できたのか。発揮できた「プロセス」を見直してみれば、再現性のヒントが見えてきます。

たとえばこうしてみたらどうでしょう。

「バスケットボールが大好きで、高校3年間、休まず練習を続けましたが、2年生のときにレギュラーから外れ、バスケットボールが嫌になった時期があります。でも、苦手なシュートを練習すれば、いつかチームに必要な人材だと認めてもらえるのではと考え、1時間早く登校して、シュートを毎日100本練習。その結果、3カ月後に、レギュラー復帰できたのです。課題を克服しレギュラーに復帰するということをモチベーションに、頑張り抜くことができました」

レギュラーから外れるという、つらい体験をしたものの、それを機に自分の課題を見つけた。「課題を克服しレギュラーに戻る」という次なる目標を立て、それを実現するために「継続力」を発揮した…。

こうしたプロセスを伝えることで、企業に「この人はきっと、仕事で何らかの壁にぶつかっても、自ら乗り越えられるだろう」とイメージさせることができるのです。

比べてみて、どの企業を志望したいかわかる

「企業を知る」ことは、「志望動機」を自覚するために重要なプロセスです。刻々と変化し続ける社会で働き続けるためには、困難を乗り越える力が必要ですが、その原動力の多寡をはかるのが「志望動機」。企業としては「この学生は困難を乗り越えられるような強い動機を持っているか」を見たいのです。

ところが、学生は昨今の売り手市場の中で、企業研究がおろそかになりがち。企業のホームページに載っている情報を羅列して、最後に一言「〜に共感したから御社を志望しました」と、付け加える人があまりに多いように感じます。

とはいえ、自分の中に強い動機を芽生えさせることは、簡単ではありません。時間をかけて志望動機を自覚することが必要です。ポイントは、「比較」。たとえば、「ラーメンの中で塩ラーメンがいちばん好き!」という人は、醤油もみそも食べ比べてみて、「自分は塩がいちばん好きだ」と気づいたはずです。

これと同じで、さまざまな企業のインターンシップ、OB・OG訪問、合同説明会に参加し、比較してみて初めて、「自分は自動車ではなく、飛行機に携わりたいんだ」「自分は企業が何を扱っているかではなく、一緒に働く人を大切にしたいんだ」など、「企業選びの軸」が見えてくるようになるのです。

中には、企業のことを調べただけで満足してしまう人もいますが、比較して掘り下げないのはもったいない。たとえば、企業ヒアリングシートを使って、横並びで企業を見てみると、特徴が浮き彫りになり、比較がしやすくなります。自分が何に惹かれるのか、気づけるようになりますよ。


私は仕事柄、たくさんの学生に接していますが、「あと一歩足りない!」という人が多いと感じます。自分が当てはまっていないか、確認してみてください。

貴重な経験をしただけではPRにならない

<あと一歩足りない就活生の特徴>

●貴重な経験をしただけで「自己PRは万全」と思っている

たとえば、「留学して異文化交流をした」「部活で優勝した」「数百人規模のサークルで部長を務めた」など、貴重な経験をアピールすればOK、と思い込んでいる学生はとても多いです。

しかし、「経験をした」だけでは、再現性は伝えられません。それまでのプロセスを振り返ることが重要です。

●仕事の表面しか見ていない

「CAしか応募しない」「マスコミしか受けない」など、志望業界・職種を初めから絞り込む人が見受けられます。それ自体は悪いことではないのですが、仕事の表面しか見ずに、あこがれだけで突き進んでいる人も多い印象です。

明確な志望業界・職種が定まっていたとしても、あえてほかの業界、職種も調べて、「比較」することは大切です。そのうえで、「やはりCAがやりたい」と思えたのであれば、CAを志望する理由がより明確に掘り下げられているはず。企業側も「この人はCAの仕事の大変な部分も理解し、腹をくくったうえで応募してきた人だ」と認識してくれます。

●インターンシップの成功で満足、その後の練り直しを怠る

いわゆる有名大学に通う学生によく見られるのがこのケース。夏のインターンシップで大した準備をしたつもりもないのに、高倍率のインターンシップに通過してしまい、「この程度でいいんだ」と安心していたら、本番で落ち続ける……という学生も数多く見てきました。

実はインターンシップの選考基準は、採用選考と別、という会社も少なくありません。またインターン参加後の採用選考時は、「伸び率」に注目して見る、という企業も少なくないことを心得ましょう。

●インターンシップの選考に落ち、その企業を早々にあきらめる

これは上記のいわば逆パターンです。インターンシップの選考で落ちたからといって、採用選考でも必ず落ちる、ということはありません。「この人はインターンシップで落としたから」と、マイナス評価する企業も余程の場合を除いてありません。自己PR、志望動機を練ったうえで、胸を張って採用選考に臨みましょう。

●「専門職でいく」ことに固執しすぎている

理系の大学院生など、自分は専門性を強みにやっていく、だから就活なんて必要ない!という方も中にはいらっしゃいます。でもそういう人こそ、「ポータブルスキル」を意識してほしいと思います。

研究テーマと仕事内容が100%、一致する環境はほぼありません。ただし、研究の設計方法、進め方、工夫や苦労などといった「プロセス」、何を実現するために取り組んだのかといった「目標設定方法」には、再現性があります。

また、別の研究室とも、意識的につながりを持っておくことをお勧めします。自分の研究のどこに強み弱みがあるのかは、比べないことには気づけません。ほかの研究室のメンバーと、互いの研究について話し合えば、「比較」ができるようになり、強みや武器が見えてくるでしょう。