管理職になることのメリット・デメリット

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厚生労働省のデータによれば、日本の民間大企業の管理職比率は1割程度。管理職に昇進したいと思っても、10人に1人しかなれないということだ。しかし最近は、管理職になることに対してネガティブなイメージをもつ人も多いという。そこで今回、組織開発と人材開発のコンサルティング事業などを展開している、株式会社ビジネスコンサルタントの伊藤清隆さん、廣瀬沙織さんの二人に、管理職になることのメリット、デメリットについてお話を伺った。

■管理職になることのメリット

まず、管理職になることのメリットについて伊藤さんに聞いた。

「やはり権限が大きくなり、自由裁量の余地が増えるという点をメリットに挙げる人が多いです。また、部下が育ったり、成長してくれたりすることにモチベーションを感じている人も多いです。金銭的な理由が挙がることもありますが、それほど多くはありません」(伊藤さん)

やりがいに強くメリットを感じる人が多いようだ。

「仕事に対する目線が高くなる点もメリットです。これまでは見えなかった会社の全容が見えてくるので、仕事の捉え方も変わりますし、仕事自体にさらに意味を見いだせるようになります」(廣瀬さん)

なりたくないと思っていた人も、実際に管理職になると、仕事に対してポジティブになるケースも多いという。

■管理職になることのデメリット

では、デメリットはどうだろう。

「報酬が見合わないという意見は必ず出ます。たとえば、管理職手前の係長クラスの人が、月30時間程度残業すると、賃金的に管理職と同等になることも多いのが実状です。残業時間がさらに増えれば、それを上回ってしまうこともあります」(伊藤さん)

管理職には残業代がつかないのが一般的であるため、これは多くの企業にとって根深い問題といえるかもしれない。

「職場に尊敬できる上司がいる場合、昇進意欲が高まる傾向にあります。しかし、ロールモデルとなりうる上司がいない場合は、『管理職になってもあんなものか』とネガティブなイメージばかりをもつ傾向があります」(伊藤さん)

一方、女性の場合は少し違う傾向があるというので廣瀬さんに聞いてみた。

「女性は、有能過ぎる女性のロールモデルがいると、『自分には無理』と感じる傾向が強くなります。私生活や家庭を顧みず、なりふり構わず仕事に専念するということに対して、抵抗がある人が多いようです」(廣瀬さん)

女性経営者のセミナーなどでは、受講者から「どうしてそこまでやるのですか?」という質問がよく出るらしい。周囲からは辛そうに見えるようだ。

「時間の融通がきかなくなる点を、デメリットと考える人も多いです。管理職になると会議なども増え、どうしても仕事に拘束される時間が増えてしまいます。残業が増えるといった話ではなく、自由に動ける時間が減るのが嫌ということです」(廣瀬さん)

日本はプレイングマネージャーが多いため、部下の面倒をみるのがわずらわしいという管理職も多いそうだ。

■管理職に向いている人、向いていない人

管理職の適性についても、興味深い話を聞くことができた。

「『影響指向』と呼ばれる、自分の行動や言動が他の人に影響を与えて、その人が頑張って結果を出すことがうれしいという指向が強い人の方が、管理職に向いています。逆に、この指向が低い人ほど、プレーヤーの仕事をしてしまう傾向があります」(伊藤さん)

部下をマネジメントして結果を出す管理職にとっては、必須の適正条件といえよう。

「成長に対するモチベーションの高い人の方が、管理職には向いています。しかし、男女で若干傾向が異なり、管理職になりたい比率は、女性の方が圧倒的に低いという調査結果もあります」(伊藤さん)