一風変わった掃除機や扇風機で知られるダイソンが、2020年までに電気自動車に参入することを明らかにしました。すでに開発は400人体制で進んでおり、ダイソンお得意のデジタルモーター(Dyson Digital Motor:DDM)を駆動用とし、10億ポンド(約1506億円)の予算を車体とバッテリー技術の開発に充てるとしています。

創業者のジェームズ・ダイソン卿は社内文書にて、この電気自動車が自身の長年の夢であること、出発点がディーゼルエンジンの排気ガス回収システムのアイデアだったことなどを記しています。そして残念なことに、排気ガス回収システムは当時の自動車メーカーの支持を得られないままプロジェクトは中止したものの「ついに我々の技術を一つの製品(電気自動車)に結集する機会を得た」「ダイソンはバッテリー駆動の電気自動車を2020年までに発売する」と宣言しました。



The Guardianは、その電気自動車がスポーツカーのような見た目や性能を誇示するものではなく、それどころか現在の市販EVともまったく異なって見えるだろうこと、さらにまだ仕様など公開できる情報はないものの価格だけは「高価になる」といったダイソン卿のコメントを伝えました。

一方、Telegraphは、ダイソン卿の「他と同じものを作ることに意味はない。我々はゼロから車体づくりを始めているが、常にラジカルさを保ってやっている」という発言を引き合いに、数年後に姿をあらわすダイソンEVが他社より優れたものになるだろうと報じています。

なお、ダイソンのEV開発は以前から何度かうわさにはあがっていましたが、ダイソンは否定を繰り返していました。しかし昨年3月に政府文書からその計画が明らかになっており、その後アストンマーチンおよびテスラから幹部クラスの人員を雇い入れたことも明らかになっています。また、さかのぼって2015年には固体バッテリーを研究開発していた米Sakti3を買収しています。

ちなみに、市販EVはまだ新しい分野ではあるものの、自動車開発は長年のノウハウがものを言う世界であることに変わりはありません。IT分野から自動運転EVの開発に挑んだアップルやGoogleは、すでに車体開発を諦め、既存メーカーの自動車に搭載する自動運転AIに開発範囲を絞り込んでいます。その点、ダイソンには、家電メーカーならではのメカニカルな部分の開発ノウハウはあるはず。はたしてそれがどう車体開発に効いてくるのかが気になるところです。

※2017年9月27日12:45 ダイソンから開発予算について修正が入ったため金額を変更しました。

[Image : Heathcliff O'Malley / Dyson]