韓国、金正恩氏の暗殺部隊結成へ 計画公表、真の狙いとは?

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 北朝鮮への対応に手を焼く韓国だが、同国の宋永武(ソン・ヨンム)国防相は今月4日、金正恩氏の暗殺を目的とした「斬首部隊」を12月までに結成すると発表した。しかし、暗殺計画が公表されることは稀であることから、実際には韓国には別の狙いがあるとする見方も出ているようだ。

◆3000人規模の大規模部隊
 今回の暗殺計画は大規模な編成が一般に公表されており、水面下で進行する通常の暗殺の形態とは一線を画す。イギリスのテレグラフ紙によると3000人規模の部隊となり、朝鮮半島のいかなる地点にも24時間以内に展開可能な体制を取るようだ。北朝鮮の軍事基地を襲撃し、金正恩氏を殺害することが目的だとしている。

 アメリカのヴォックス誌によると、この計画は前首相によって2019年までの準備完了を意図して進められていた。しかし昨今の北朝鮮の攻撃的な姿勢を鑑みて前倒しされた模様だ。発表は9月3日の核実験の翌日というタイミングで行われている。

◆暗殺を目的としない暗殺部隊?
 ヴォックス誌では、先制攻撃として夜襲を仕掛け、金氏を斬首する可能性があると見ている。しかし、実際には暗殺は行われないのではないかと見るメディアもあるようだ。

 米誌ビジネス・インサイダー(9月12日)では、仮に斬首作戦を決行したならば、韓国は北朝鮮から致命的な報復を受けると予想する。ソウルを中心とした首都圏には2500万もの人々が暮らしており、反撃で失われるものは大きい。核兵器の行使はないと専門家らは見るが、砲撃や化学兵器による応酬が懸念されている。

 従って暗殺部隊は圧力をかけるための存在であり、斬首作戦は実行されないとの見方ができる。ニューヨーク・タイムズ紙では政府が暗殺計画を公表すること自体が稀であると指摘しており、真の狙いは核開発を中止させ、韓国の文在寅大統領との交渉のテーブルに着かせることであると分析しているようだ。

 同紙によると、韓国国民の間に核武装を望む声が高まる一方で、文在寅首相は朝鮮半島の非核化を目指している。核保有国である北朝鮮と渡り合う方法が模索されている状況だ。韓国のある退役軍人は、次のように述べる。「講じられる抑止策のうち、韓国自身の核の保有に次ぐ次善策は、金正恩氏に身の安全を懸念させることだ」。

◆過去に暗殺計画に失敗していた韓国 今回の実効性は?
 暗殺部隊が抑止力としての説得力を持つためには、斬首計画にそれなりの成功が見込めることが前提となる。しかし韓国は過去に秘密裏に暗殺を計画し、失敗とも言える形に終わっている。

 ヴォックス誌によると、今回の斬首部隊に似たような非公式の暗殺チームが60年代にも結成されていて、金正恩氏の祖父に当たる金日成をターゲットにしていた。同誌では今回発表された斬首計画はこの計画の現代版だと見ている。

 しかし前回の計画は悲惨な結末を迎えた。ニューヨーク・タイムズ紙の伝えるところでは、(南北融和政策の出現を機に)任務は中止され、元々囚人らの寄せ集めであった暗殺チームは反乱を起こしたという。訓練教官が殺害され、チームは戦闘を繰り広げながらソウルへ向かった。韓国政府の失態とも取れるこの事件は、何十年も隠蔽されてきたとのことだ。

 今回編成された部隊にも不安が残るが、こちらは公式な部隊である点で違いがある。加えてヴォックス誌は、暗殺部隊以外にも複合的な圧力が用意されている点を指摘する。アメリカが韓国により強力な弾道ミサイルの開発を許可するなどしており、暗殺部隊に限らず多数の手法で北朝鮮への圧力を強めていくようだ。