<核攻撃後しばらくは連邦政府も助けに来られない、という南カリフォルニアの覚悟>

ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩党委員長の罵り合いが「宣戦布告」した、しないの舌戦にまでエスカレートするなか、米本土への核攻撃の脅威をとりわけ深刻に受け止めている自治体がある──カリフォルニア州だ。

カリフォルニア州ロサンゼルス地区を管轄する情報機関、合同地域情報センター(JRIC)は8月、北朝鮮から核攻撃を受ける脅威が増したとする報告書を発表。ロサンゼルスが位置する南カリフォルニアが核攻撃を受ければ「大惨事」になるとし、周辺の自治体に核攻撃に備えた対策を強化するよう促している。

報告書は、北朝鮮が7月下旬に発射実験を行った大陸間弾道ミサイル(ICBM)について、理論上は米西海岸に到達可能だとする分析を紹介。

「核攻撃に備えた留意事項」と題した16ページに及ぶ報告書は8月16日付けで、「公用に限る」のマークが入っている。従って先月これを閲覧したのは、ロサンゼルス地区の自治体、州政府機関、連邦政府機関の関係者に加え、米国土安全保障省など全米を統括する連邦政府機関だけだった。

報告書の目的は核攻撃に備えた計画や手引きを、関係自治体や政府機関の間でできるだけ広範に共有することだったと、この報告書を受け取った2人の関係者は言う。核攻撃があった時には多数の政府機関が対応に当たるが、そうした機関にはそもそも核攻撃に関する情報にアクセスできない職員が多かったと言う。

報告書に書かれたほとんどの情報は、核爆発の被害についてよく知られた話に基づいている。放射能の人体や環境への影響や、上空で核爆発を起こし都市機能や通信網を破壊する電磁パルス攻撃の可能性、核爆発が人体やインフラに与える被害などにも言及している。

「放射能から身を守るための基本事項」という項目では、核攻撃の間に取るべき行動の手引きを解説する。「うつ伏せで倒れ、皮膚への被曝を避けるために手を体の下側に隠す」「爆発による熱と衝撃波が収まるまで、そのまま倒れた状態で待機する」

住民のパニックも想定

また、政府当局は核爆発の直後に市民のパニックに直面する可能性が高いと警告。市民は直ちに避難する必要があるものの、「放射能に関する十分な理解がなければ不安が高まり、当局の指示に従わなくなる恐れがある」と指摘する。

消防隊や警官など緊急救助に当たる関係者向けには、公衆衛生や物流の確保に関する様々な問題を詳しく説明している。

「南カリフォルニアが核攻撃を受ければ大惨事になる」と報告書は指摘する。「政府機関や緊急救援隊は、核攻撃後も組織として機能を維持することで、人命を守り、秩序を維持し、復旧活動を手助けする役割が期待される」

核攻撃直後の現場に立ち入るのは難しいことから、連邦政府の援助は限られたものになるとも指摘する。「核攻撃後24〜72時間の現場では、連邦政府から大した援助を受けられないだろう」

ある程度、自立した緊急対策が必要になる。

(翻訳:河原里香)

From Foreign Policy Magazine

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

ジャナ・ウィンター