核実験による放射能汚染がないことをトップページ掲載する延辺朝鮮族自治州政府公式サイト

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 9月3日、北朝鮮東北部を震源とするマグニチュード6.1(日本・気象庁発表)の人工地震は、隣接する中国・延吉もこれまで体験したことのない強烈な揺れに襲われた。多くの延吉市民は北朝鮮による核実験だとすぐに分かったという。北朝鮮による6度目となる核実験にともなう人工地震の被害だった。

 「こんな大切な日に何てことを。北朝鮮政府は朝鮮族を軽んじているのか……」と恨み節をこぼすのも無理はない。9月3日は、延辺朝鮮族自治州誕生65周年の日で、自治州政府がある延吉では、朝から様々な式典が行われている最中での核実験だったからだ。

 延吉在住者によると揺れは10秒ほどの横揺れが続き、窓枠がギシギシときしみ、戸棚の中がぐちゃぐちゃになったという。

 しかし、3日夕方の国営『CCTV』は、北朝鮮を震源とする人工地震が中国東北部を襲ったが、家屋の被害はなく、けが人もいないと発表した。被害なしと国営放送が発表した手前か、地震でシャンデリアがカチャンカチャン音を立てながら揺れる映像や地震後にアパートの壁にヒビが入ったと訴える動画などインターネット上へアップされた動画は次々と削除された。

◆微信(Wechat)に溢れる北朝鮮非難の声

 現在、中国人が日常的に連絡を取り合うのが「微信(WeChat)」なのだが、地震発生直後、北朝鮮の核実験を止められない中国政府への不満や政府は損害補償をするのかなどの中国政府への不満、批判は、即刻で削除された。一方で、北朝鮮を非難する内容は削除されず残されたので、中国政府への不満を北朝鮮政府不満へ転嫁させたような書き込みが多数見られた。

 延吉出身で川崎在住の全さんは、「両親の安否が心配で、微信で連絡しました。無事であることは確認できたのですが、日本から中国政府への不満を書いたらすぐに消されました。家族に何かあると怖いので普段から政治関係の話題は微信上ではしないようにしています」

 日本にいながらも常に監視の目に気を配らないといけない現状が見て取れる。

 「日本から日本語で書いたとしても、中国政府や共産党への不満を少しでも書くと消されるので、私のある知人は書くときには全部ひらながや仲間内で決めた隠語のような言葉でやり取りしています」(同)

 と、さながらスパイのような感じでやり取りもしているようだ。

 地震直後に微信や「微博(ウェイボー)」などへアップされ削除された動画の一部は、「ユーチューブ」へ転載されており残っている。ユーチューブがこのような使われ方をするのは不思議な感じもするが。

 中国の少数民族朝鮮族は、約183万人(2010年人口調査)と中国の56民族の中で唯一減少しており、延吉や延辺朝鮮族自治州でも漢民族の割合が5割を越えており、自治州消滅が囁かれ始めている。

 朝鮮族減少の一因とされるのが韓国への移住である。ある報道によると現在、韓国に移住した朝鮮族は50万人を超えているという。記者の知り合いの朝鮮族も4年ほど前に家族5人でソウルへ移住して貿易業を営んでいる。

 朝鮮族にはこのような特徴もある。全民族の中でも教育水準や所得水準はトップレベル。また語学力にも長けており、歴史的な経緯もあり日本語を流暢に話す人も多く、日系企業が集結する大連などで活躍している人も少なくない。

 朝鮮族誕生の歴史的な経緯は、日本の在日朝鮮、韓国人と同じで、戦前の日本統治時代の大連や満州国へ朝鮮半島から移住してきた人たちの子孫だ。在日朝鮮、韓国人との違いは、中国籍を持っており、少数民族に組み込まれている点で、民族学校はあるが、漢民族が習っている教育内容をそのまま朝鮮語へ翻訳したものが教えられている。