人類共通「お金を増やす3つのステップ」

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豊かな老後のためには、まとまった老後資金が必要だ。どのように準備すればいいのか。経済評論家の山崎元さんは「どんな金額でも投資の基本は同じ。お金の『置き場所』と『配分』を決める必要がある」という。目指す利率は年5%。これなら14年余りで資産が倍になる。その具体的な方法とは――。

■確定拠出年金を真っ先に利用せよ

「投資においては、初級者も上級者も、300万円の運用でも3億円の運用でも基本はみんな同じです」と経済評論家の山崎元さんは断言する。その“人類共通”とも言えそうな投資の基本とはどのようなものか。

「まず、お金の置き場所を決める。次に、全体として自分が取るリスクの大きさに合わせてお金の配分を決める。最後に、お金の置き場所別にどんな商品を割り当てるか決める。このたった3ステップ」

お金の置き場所は、税制上有利な「確定拠出年金」と「NISA口座」、一般的な「課税口座」の3つ。まず使うべきなのは、最も税制面で優遇される確定拠出年金制度だ。

確定拠出年金制度には、(1)掛け金が所得控除される、(2)運用で得た利益は運用期間中は非課税、(3)受け取る際には「退職所得控除」または「公的年金等控除」が適用される――という3つの優遇がある。原則として60歳まで引き出せないが、老後資金を増やすには最適だ。

ただし、加入対象者ごとに年間の拠出限度額が決められている。例えば、国民年金第2号被保険者(いわゆる民間サラリーマン)の場合、勤め先に「企業型」の確定拠出年金があり、その他の企業年金がない場合は66万円(月額5万5000円)まで、確定拠出年金も企業年金もない場合は「個人型」に加入して27万6000円(月額2万3000円)まで利用できる。

「確定拠出年金で拠出する掛け金は非課税となり、掛け金の額に応じて所得税・住民税の節税になります。例えば、年収400万円(所得税率10%、住民税率10%)の会社員が『個人型』に加入して毎月2万3000円を確定拠出年金で運用すると、年間5万5200円の節税効果になる。運用商品を考える以前に、まずは自分がどれだけ使えるのかをチェックすべき」(山崎さん)

NISA(少額投資非課税制度)は年間120万円までの運用益が5年間、非課税になる制度で、使えるのは最大600万円(120万円×5年間)まで。ただし、途中で売却すると非課税枠はもう使えないから長期保有の資産向きだ。

以上2つを目一杯使い、それでも残ったお金は、課税口座で運用。そしてお金の置き場所が決まったら、自分が取るリスクの大きさに合わせて、リスク有の国内株式と外国株式、リスク無に配分する。

最後に決めるのは運用商品だが、山崎さんのお勧めは、確定拠出年金の国内株式が「TOPIXインデックスファンド」、外国株式が「先進国株式インデックスファンド」、そしてNISA口座が「TOPIX連動ETF(証券取引所に上場されている投資信託)」。そして「投資信託を選ぶ唯一のコツは、ノーロード(販売手数料無料)で、運用管理手数料が一番安いものを選ぶこと」とアドバイスする。

以上の投資法を実践すれば万全なのか。「そうとは言えませんね。機関投資家が想定しているリターンは5%くらい、成功した場合はプラス40%、失敗した場合は3分の1を失う可能性があります。過大評価はダメ」。

リスクを見極めたうえで、税制優遇のメリットを活かすことが、老後資金を増やす近道になる。「リターンを上げるためにも、非課税効果の大きい制度を有効活用すべきです」(山崎さん)。

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山崎 元
経済評論家。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表取締役。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友信託など12回の転職を経て現職。
 

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(河合 起季 撮影=澁谷高晴)