by Alex Graves

インドでは3分間に1人、1時間に17人のペースで、交通事故を理由に人が死亡しており、この10年で交通事故の死者は150万人に上ります。道路利用者の80%が「危険を感じる」という最悪の交通状態を打破するため、NPO・NGO団体やテクノロジー企業が協力して改善の試みを行っています。

1.5 million dead in a decade: Just what is wrong with India's roads and vehicles? - Quartz

https://qz.com/1086057/1-5-million-dead-in-a-decade-just-what-is-wrong-with-indias-roads-and-vehicles/



2017年9月、インドのホスアーという都市の高速道路で3人の少年が車のレースを行い、うち1人が死亡しました。少年らは、雨の降るなか、電気代未払いのためライトがついていない道路を時速150kmで走行。3人のうち1人の少年は高速道路の欄干に突っ込み、欄干を跳ね返った車は道の終わりにある障害物に猛スピードで突っ込みました。少年の頭は車の窓から出ていたため切断されたとのこと。また、別の車は中央分離帯を越えてトラックと衝突しましたが、幸いなことに軽傷で済みました。3台目の車も中央分離帯に乗り込んだものの停止したそうですが、17歳の少年が首を切断されるという衝撃的なニュースはインドで大きく報じられました。



上記の事故は交通事故の多いインドの中でもひどいのですが、少年たちが事故を起こした大都市バンガロールへと続くホスアーの高速道路は「地獄への高速道路」と呼ばれており、約9.2km、4レーンの道において半年で32人の死者を出しています。また、ホスアー近郊にあるバンガロールはインドで5番目に人口が多い都市ですが、交通事故の発生数もインドで3番目に高く、99分に1件の交通事故が起きているとのこと。

インドの交通事故の84%はドライバーのミスを原因としており、そのうち66%はスピード違反だと言われています。また78%はシートベルトを着用しておらず、二輪車のドライバーの46%もヘルメットを着用していません。交通マナーの悪さから、道路を利用する人の80%が道路の利用について「危険だと感じている」ことも判明しています。



by Mat McDermott

交通安全を説くインドのNPO・NGO団体SaveLIFE Foundationの創業者であるPiyush Tewariさんは、インドの交通事情の悪さは、免許の取得において必要とされる技術がメカニクスに関することに限られており、「安全運転」が求められていないためだと語っています。「訓練されていない人の手に渡れば、車は武器になります」とのこと。Tewariさんの従兄弟も交通事故で亡くなっており、従兄弟の死後、Tewariさんは自分の財産を築く道を捨て、インドの交通安全に身を捧げています。2008年2月に創設されてから民間に向けての訓練を行い、積載オーバーのトラックを禁止するなどして多くの成果を上げており、数々の賞も受賞しています。Tewariさんはインドの交通事故を「パンデミック」と呼んでいるとのこと。2017年現在、SaveLIFE Foundationは安全運転のための法案を通過させることを目標の1つとしています。

インドの道路交通局には全国的にも賄賂がはびこり非効率なシステムが使われているとTewariさん。2007年のレポートによると貨物産業では年間34億円近い贈賄が行われており、43%以上は道路交通局に対して、45%ほどが警察に対して支払われていると報告されています。そのため、まずは不適格なドライバーを明確にし、その後に役人が受け取った賄賂を清算する必要があるとのこと。インドの地方パスポート局では職務の多くをテスラにアウトソースすることで、テクノロジーが導入されて贈賄が減り、また裁量が限定されることで比較的効率的に機能するようになったそうですが、道路交通局にもまたこのような改革が必要とされています。

中央政府の管轄であるパスポート局とは異なり、道路交通局は州の管轄なので、比較的改革に取りかかりやすく、1つの州が道路交通局を見直せば、他の州もそれにならうだろうと見られています。テクノロジーを利用し、アプリから運転免許の申し込みや資料の提出ができたり、シミュレーターを使って安全運転の技術を身につけることができれば、状況は改善する可能性があります。



by Alex Graves

インドはブラジリア宣言によって2020年までに交通事故を減らすことを約束しており、残り3年でどう動くかが注目されています。道路交通省のYudhvir Singh Malik氏はこれについて「我々の目の前には大きな課題がある」と語りました。