グーグルホームの製品発表の模様(’16年5月)。日本でも10月に発売との報道が出たが、グーグル側は正式に発表していない

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 AIスピーカーが話題だ。米国ではすでに800万世帯で利用され、’17年には世界の累計販売台数が3300万台以上になると予想されている。この爆発的な市場を牽引するのは「アマゾン・エコー」、そして来月日本でも発売される見通しの「グーグル・ホーム」だ。需要が大きい市場だけに、ほかも続々と参入を計画している。では、実際にどんな機能を持った製品なのか。テクニカルライターの神崎洋治氏は言う。

「現状で『声で指示して音楽を聴いたり、情報を得る』というのがメインの使い方。好きな曲をリクエストしたり、天気予報を聞いたり、野球の試合結果を尋ねると応えてくれます。日本では先の話になりますが、スマート家電と連携も進めば、話しかけることでテレビをつけたり、エアコンの温度調節をすることもできます。つまりハブができるということで、家庭からリモコンが消えるというのが、AIスピーカーの未来図です」

 AIスピーカーは現在、家事を軽減し、生活を便利にする夢のような製品として語られている。だが、急速に普及するにつれ、いくつかの“不安要素”も顕在化してきている。なかでも、最も懸念されているのがセキュリティ面だ。ビッグデータや個人情報保護に詳しい中央大学の宮下紘准教授はこう指摘する。

「まず想定されるリスクのひとつに個人情報の流出があります。悪意あるハッカーに侵入され、音声データや画像・映像などを奪われてしまう可能性があります」

 技術的に言えば、スピーカーとマイクを搭載したAIスピーカーは、インターネットに繋がっていれば世界中どこからでも盗聴することができる。また多くのAIスピーカーは将来的にカメラが搭載される予定だが、そうなれば家の中を常時、盗撮することも不可能ではないのだ。

 一方、AIスピーカーには音声や画像だけではなく、ユーザーの生活情報も蓄積されている。こうしたデータは悪意あるハッカーだけでなく、政府や捜査機関に無断で提供される可能性もあるようだ。

 米アーカンソー州で昨年12月に起きた殺人事件に絡み、アマゾン・エコーが拾った犯人の会話内容を警察に提供したのだ。音声や行動履歴などの情報はアマゾンのサーバに送信され、保存されていることが判明し、米国ではちょっとした騒動となった。

「例えば、日本でもLINEは警察から任意のデータ提供を求められ、うち約6割に応じていると発表されています。AIスピーカーで集められた個人情報が、捜査に使われていくというシナリオは充分に考えられる。また米シカゴでは、ビックデータやAIを駆使して、まだ犯罪を起こしていない人々を監視するシステムを運用しています。日本では京都府警が地域や時間帯に限ってですが、似たような用途で使っている。AIスピーカーが犯罪予知のデータ収集機器として使われる可能性はないとは言い切れません」(宮下氏)

 AIスピーカーはジョージ・オーウェルの小説『1984』を彷彿とさせる家庭監視端末にもなりうるということなのか……。

取材・文/河 鐘基、写真/AFP=時事
※週刊SPA!9/26発売号「本当は恐ろしいAIスピーカー」特集より