ほくろがメラノーマになる可能性はかなり低い(depositphotos.com)

写真拡大

 ほくろ(母斑)には皮膚がんの1種で非常に悪質はメラノーマ(悪性黒色腫)が発生しやすいと考えている人が多い。

 しかし、過去に発表された38件の観察研究をメタ解析した結果、ほくろから発生したメラノーマの割合は3割ほどで、残る7割は皮膚のほくろがない部位から発生していたことが分かった。この結果は「Journal of the American Academy of Dermatology」8月29日オンライン版に掲載された。

 このメタ解析の結果を報告したのは、Arcispedale Santa Maria Nuova(イタリア)のRiccardo Pampena氏ら。

 38件のコホート研究や症例対照研究に登録されたメラノーマ2万件超のデータを解析した結果、既に存在していたほくろからメラノーマが発生した患者の割合は29.1%で、残る70.9%はほくろのなかった皮膚の部位に新たな病変として発生していたことが分かったという。

 また、ほくろから発生したメラノーマよりも、何もなかった部位から発生したメラノーマの方が悪性度が高い傾向も認められ、発生した部位によってタイプが異なる可能性も示唆されたとしている。

 この結果を踏まえ、Pampena氏は「ほくろがある部位よりも、ない部位の方がメラノーマの発生リスクが高いことを医師や患者は認識しておくべき」と強調。ただし、「皮膚科医は必ず全身を隈なく調べ、非典型的なほくろがないか確認すべき」と付け加えている。

 この報告を受け、米ノースウェル・ヘルスの皮膚科医であるVictoria Sharon氏も「新たな病変の可能性が疑われる部分がないか調べることは、既に存在するほくろのチェックと同じくらい重要だ」と話している。

 一方、米レノックス・ヒル病院の皮膚科医であるDoris Day氏は、自分の皮膚の変化を見逃さないよう常日頃から観察し、背中の皮膚の状態は友人や配偶者とお互いに確認することに加え、年1回は皮膚科医による検診を受けることを勧めている。

注意したいのは異型ののほくろ

 米ハーバード大学公衆衛生学部(ボストン)のAlan Geller氏率いる研究チームでもほくろとメラノーマの相関性の低さが報告されている。

 研究は、昨年3月2日に「JAMA Dermatology」オンライン版に掲載さてたもので、メラノーマと診断されてから3カ月以内の患者566人に対して、全身のほくろの数(通常のほくろと異型のほくろ)、腫瘍の厚さ(進行度の指標となる)を調査した。

 その結果、対象患者の約66%はほくろの数が0〜20個と少なく、約73%は、異型のほくろが全くみられなかった。しかも、60歳未満の患者については、ほくろが計50個以上ある患者は、厚さのある、つまり悪性度の高いメラノーマがみられる確率が低く、「ほくろが多いほど危険」という通説とは逆の結果が得られた。

 ただし、異型のほくろについては、5個以上ある人は、異型のほくろがない人に比べ、厚さのあるメラノーマのみられる確率が高かった。

 <メラノーマはほくろが多い人よりも、むしろ少ない人によくみられることが示唆される>という通説と浜逆の結果だった。このため、「ほくろの数だけを基準にしてメラノーマのリスクを判断するべきではないと」Geller氏は述べている。

※「ほくろが多いヒトは皮膚がんになりやすい」はウソ!? セルフチェックで早期発見が大事

 しかし、ほくろの多い人は若いうちから皮膚科医の検診が推奨されていたためにがんの早期段階で診断され、一方で、ほくろの少ない人は検診を受ける機会が少なく、メラノーマが厚くなってから診断される傾向にあったことが反映されている可能性も多分にある。

 米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のDoris Day 氏は、「ほくろの多い少ないに関わらず、新たなほくろの発生や変化を日頃からセルフチェックし、定期的に皮膚科医による検査を受けることが重要だ」と述べている。
 
 もともとあるほくろではなく、突然できたほくろは要注意らしい。気になったら皮膚がん検診を受けてみてもいいだろう。
(文=編集部)