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 日立製作所は20日、デジタルソリューションを提供する「日立ヴァンタラ社」を米国に発足させた。あらゆるモノがつながり、AIやロボティクスなどの最先端技術が大きく社会を変えていく中で、同社は世界130カ国以上を統括する司令塔としてIoT事業を推進していく。

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 日立は1910年に久原鉱業所の修理工場として発足し、「技術の日立」として優れた技術を持つ多くの関連会社を生み出し拡大してきた。更なる発展を目指して中期計画を策定、ユーザーとの「協創」で事業を推進していく日立の動きを見ていこう。

■前期(2017年3月期)実績と今期(2018年3月期)見通し

 前期売上高は9兆1,622億円(前年比91%)、営業利益は5,873億円(同93%)と下記の要因により、売上高で前年よりも8,720億円、営業利益で475億円の大幅な落ち込みとなった。

 要因1: 海外比率48%の中、前年より大幅な円高(1ドル120→108円、1ユーロ133→119円)により売上高4,900億円、営業利益730億円の減。

 要因2: 連結子会社を持分法適用会社に再編する事業の選択と集中により従来の子会社の売上高7,090億円、営業利益550億円が減。 (子会社日立物流は、社外の物流と効率的に運営するため佐川急便の資本受け入れ、子会社日立キャピタルは金融業界で効率的に運営するため三菱UFJグループの資本を受け入れた。出資比率50%未満の持分法適用会社になったため、今後は持分法投資損益が営業外損益に計上されるのみ)

 要因を除い場合、前年比では実質増収増益であった。

 今期見通しは売上高9兆500億円(同99%)、営業利益6,300億円(同107%)である。前期と同じく事業再編により売上高4,160億円、営業利益410億円が減少していることを考慮すると、実質増収増益の見通しになる。

■中期計画(2017年3月期〜2019年3月期)で10兆円に挑戦

 来期(2019年3月期)は売上高10兆円(対前期比109%)、営業利益8,000億円(同136%)を目標として下記の戦略を推進する。

 1.三階層の事業推進体制 ・フロント: 電力・エネルギーなどの4分野で顧客の近くでサービスを推進する。 ・プラットフォーム: 顧客協創で得られた知見を蓄積し、ソフトウェアを開発、ソリューションとして活用するプラットフォーム事業「Lumada」を立ち上げる。 ・プロダクト: フロントとの連携強化、M&Aやプラットフォームと連携しての製造分野の強化拡充を図る。  2.事業の選択と集中 引き続き子会社の再編と不採算事業の整理を進める。

 3.成長事業の強化推進 鉄道事業は年率10%超の成長でグローバルに展開、金融はブロックチェーン技術を活用しアジア市場の拡大、電力は洋上風力発電システムの開発。

 製造主体の事業から協創へと大きく舵を切った巨大企業日立の改革を見守っていきたい。