韓国は、9月30日土曜日から「10連休」が始まる。これまでで最長の連休になるという。政府は、「内需拡大」を狙うが、「長い連休に海外旅行」の人気が高く、目論み通りにいくかどうかは未知数だ。

 韓国は、正月とお盆を「旧暦(太陰暦)」で祝う。

 旧盆にあたる「秋夕(チュソク)」は今年は10月4日だ。この前後1日ずつ、合わせて3日間が連休になる。

 10月3日は「開天節」という神話に基づく建国記念日で休日だ。休日が重なるため、6日の金曜日が振り替え休日となった。さらに、9日月曜日は「ハングルの日」で休日だ。

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10月2日を臨時休日に

 政府は、9月5日の国務会議(閣議)で10月2日月曜日を「臨時休日」と決めた。これで9月30日の土曜日から10月9日の月曜日まで、10連休となったのだ。

 「どうせなら臨時休日をもっと早く決めてくれれば・・・」という声もないわけではないが、会社員などは大歓迎だ。

 韓国メディアによると「過去最長の連休」だという。これだけ長い連休だから、海外旅行が高い人気だ。

 2016年は秋夕連休が9月13〜18日でそれなりに長かった。この期間の出国者数は46万9000人だったが、2017年は、これを大幅に上回ることは確実だ。

 100万人突破は確実で、120万〜130万人に達するとの見方が出ている。

 準備のいい会社員は年初から航空券などを手配している。こういう人たちは少数派で、たいがいの場合、夏になって計画を立てるから、旅行費用はどんどん高くなる。それでも高い人気だ。

価格3倍でも人気

 だいたい、欧州や米国に行く場合、通常なら往復100万ウォン(1円=10ウォン)前後の往復航空券でも、300万ウォンを超える例が多い。それでも、航空券は売り切れ続出だ。

 日本旅行も高い人気だ。

 筆者に対しても、8月以降、「航空券はどこで買うのがいいのか」「ホテルが予約できない」という知人からの問い合わせが相次いでいる。9月になると「日本に行こうと思ったが、あまりに高くてあきらめた」という連絡が多くなったほどだ。

 日本政府観光局がまとめた統計によると、2017年1〜8月の韓国からの来訪者数は、466万800人で、前年同期比41.7%増だった。中国からの来訪者数が488万2200万人で同8.9%増だから、すさまじい伸びだ。

 8月の韓国からの来訪者数は、62万900人で前年同月比35.3%増。8月としては過去最高だったが、10連休で、9月、10月も引き続き高い伸びが期待されている。

旅行収支赤字幅拡大は必至

 「旅行収支の悪化が心配だ」

 韓国紙デスクからはこんな指摘も聞こえてきた。

 2017年7月に韓国からの出国者数は、238万9000人で前年同月比14.5%増だった。問題は、韓国への来訪者が、同40.8%減の100万9000人で惨憺たる数字になっているのだ。

 地上配備型ミサイル迎撃システム(サード)の韓国内配備に中国政府が反発し手いる影響で、中国からの来訪者が7月も同69.3%減の28万1000人と急減しているのだ。

 7月の旅行収支は、17億9000万ドルと史上最大の赤字だった。

 「10月初めは中国での連休があるが、どれほどの観光客が見込めるのか」

 この韓国紙デスクは嘆く。

国内高コストを敬遠

 海外旅行が人気を呼ぶのは、韓国内の旅行費用が決して安くないこともその一因だ。

 韓国メディアによると、1日あたりかかる旅行費用は、韓国内の場合11万9000ウォンだが、日本に行っても12万9700ウォンで、あまり変わらないという。それなら海外に行こうということになるのだ。

 ちなみに、海外旅行に使う費用はざっと1000ドルだという。100万人が出かけると、それだけで費用は10億ドルになる計算だ。このおカネがどこに落ちるかは、経済にも少なからぬ影響を与える。

 「内需活性化効果に期待する」

 9月5日、臨時休日を決めた際、韓国政府はこう明らかにした。

 2016年5月に、臨時休日を作った際には、百貨店、免税店、大型スーパー、野球場、博物館などでの売り上げが大幅増になった。

 2017年の秋夕連休についても、あの手この手の「内需振興策」が決まった。国内の高速鉄道の割引、高速道路の一部無料化、駐車場や博物館などの割引や無料化…政府も、自治体も、「連休対策」を相次いで打ち出している。

 この連休が、経済に対する影響には政府も神経を使っている。

 韓国政府は、2017年に「3%成長」を目指している。

 韓国銀行によると、GDP(国内総生産)成長率は1月〜3月に1.1%、4月〜6月に0.6%だった。7月〜9月、10月から2月に、それぞれ0.77%成長すれば、「3%成長」が可能になる。

 10連休で、製造業の稼働率はもちろん影響を受ける。輸出にも、多少の影響が出るだろう。オフィス街の食堂や、遊興街の飲食店、零細商店などからは、「1日休むだけでどれだけ打撃を受けるか」という声も聞こえる。

 それを上回る内需の盛り上がりがあるのか。はたまた、海外で大散財をして、連休以降の国内消費にも悪影響を与えるのか。

 10連休という「未体験ゾーン」を前に、エコノミストの間での見方が錯綜している。

筆者:玉置 直司